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『勇者「魔王倒したし帰るか」』という作品を本日知り、打ちのめされております。

曇天ちゃんがよく視聴する怪談朗読チャンネルがあり、136さんという方が朗読されているそのタイトルがおすすめに出て来ましたので、フラットな気持ちで拝聴した所、壮絶なダークファンタジーでした。
『そうだよな、『勇者一行』とか言われても、
『あくまで一国の王が送り出した、旅慣れた訳ではない、特化した能力があるけれど、自分の国しか知らない可能性も大爆発な民草』
に過ぎないんだものなぁ……』
と思わされる艱難辛苦の連続です。地獄だし、ディストピア的なホラーでもあります。個人の都合では、そこから抜け出せないんですからね。
この様な作品を生み出してくれた作者さんと、二時間を超える内容を朗読してくれた136さん達に、曇天ちゃんが深い敬意と感謝を示しながらの今回です。はてさて。

お疲れ様です。曇天スキーです。
時折、ものすげーパンチ力でこちらをK.O.して来る作品に遭遇します。
色々あるのですが、それぞれの作品にそれぞれの良さがあるので、タイトルは挙げません。容易に比較してはいけないものです。

で、今回の作品である『勇者「魔王倒したし帰るか」』に、偶然出会ったのですが、いや〜、目次の通り、説得力に満ちた、凄惨で悲痛な現実をバシバシぶつけて来る作品でした。
冒頭、単独で帰国を果たした勇者の
『何だ、何があった……!?』
という様子から、述懐が進めば進むほど、
『ひでぇ、ひでぇよ……人類の代表やぞ……!!』
という気持ちで一杯になる、戦士(男性)、魔法使い(女性)、僧侶(女性)らと共にした旅先での様子が明らかになり、涙がにじんじゃったもんね。
なるべくネタバレを回避しつつ、作品と世界観を紹介していきます。
頑張るぞ💦

目次で書いた通り、中世をイメージした世界観のRPGで、勇者一行に選ばれたとしても、
『『あくまで一国の王が送り出した、旅慣れた訳ではない、特化した能力があるけれど、自分の国しか知らない可能性も大爆発な民草』
に過ぎない』
ですよね?
で、送り出す方はいいですよ? 送り出すだけですから。
でも、勇者の口ぶりからしますと、帰国したここにも深い因縁があるっぽいんですよね。

魔王を倒す上で、途中経過として向かうべき国々があるんですが、それらの道程で、彼らの立場や安全を補償するものが何もないんですよね。
自分らの技能とこれまで培った心身しかない。
更に、人類代表なので、基本的に魔王とその手の者達から常にロックオンされています。
宿もない。食べ物もない。路銀を稼がないといけない。
魔物は『魔物』と呼ばれていますが、知性があり、群れを作って、集落も作って暮らしている、利害が一致しない、別の文明、別の生態系です。
更に勇者達と言葉が通じた。それで勇者達は自分達の存在意義を疑う羽目になる。
戦闘をしないと最低限の食べるもの(安全かは不明だし、サーチする様な魔法はない)が得られないので、それは繰り返さなければならない。
家族連れだろうが恋人同士だろうが子供ばかりのパーティーであろうが、彼らが発する人語や断末魔を全て耳にしながら殲滅させなければならない。
補償がないせいで、向かったそれぞれの国の都合に蹂躙されまくるから、常に逃げる準備をしてないといけない。
一度向かった場所に転移魔法で向かえますが、そんな有り様なので、使う事が出来ない。
上記の様に人も魔物も基本的に信用出来ない為、常に臨戦態勢で、寝食も共にしている関係で他に吐き出せる場所がない。
蘇生も含む魔法は難易度が高く、安全にそれをこなせる場所も素材もない。
消耗も激しい。
回復に用いるあれこれをやっと見つけても、乱用すれば当然、副作用や中毒性があります。しかし、そういう状態なので乱用せざるを得ない上に、精神安定剤や不安抑制剤に相当するものがそれしかなく、そんな概念もない。

旅先では、彼らの様な責務を背負っておらず、おかげで、彼らより安全に戦闘を遂行出来る手だれ揃いの集団などもたまたまですが、登場します。
『死にかけながら悲願を果たそうと旅をしていたら、本当にたまたま、自分達の上位互換と遭遇してしまう』
という絶望。
街の人達から慕われる彼ら。何かを目的とする集団の様ですが、地獄も散々見て来た様子。
なので、旅を共にするとか、そういう希望は全くありません。
それら全てが、何が起きても
『人を責めまい』
とする彼らの心身にダメージをひたすら、蓄積させ、摩耗させていきます。

元々、送り出されるだけの技能があっても、遠征部隊でもないどころか、旅をする上での訓練も受けていないので、結果的に彼らは……という物語です。
本編自体は適度な長さ。中編くらいです。
その後に『禁書第2491号』という、僧侶が記した記述があります。
そこで明かされる本編に関する情報の数々よ!
『そりゃあ一行はそうなるわ! ひでぇ、ひでぇよ……!!』
と、ずっと歯噛みしていました。
辛い……😭💦

と、同時に続きがとても気になる作品でした。
聞き終えて、
『またすごい作品に出会ってしまった』
と感じました。

なので、あなたも如何。二時間半近い内容ですが、聞き応えはたっぷりあります。
目次の通り、ディストピアものだとも感じました。展開中の現実に立ち向かう技能と肉体はあるけれど、それ以外が圧倒的に不足している、個人で抜け出せない地獄です。

これはしばらく後を引くな……ではまた、次回🤔

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