魔法使いと竜の卵 −その5−ハーフリンク

竜の仔の物語 –序章– 魔法使いと竜の卵

−その5− ハーフリンク

 魔法使いは、近くで絶命しているハーフリンクのもとでしゃがみこむ。刺さる矢を抜き、仰向けにして瞳を閉じてやる。それから猟兵と共にいる杜の司を悲しげな顔で見つめる。

 「おまえは司であろう。これがどういうことがわかるな。」

 司は黙って頷く。猟兵たちは弓を構え、魔法使いから目を離さない。

 「ウリアレル殿ですね。」バンバザ

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おぬしは!・・まさかな・・・、だが、とりあえず礼は言っておこう
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魔法使いと竜の卵 −その4−追う者、追われる者

竜の仔の物語 –序章– 魔法使いと竜の卵

−その4− 追う者、追われる者

 守りの魔導師ミダイは、いつものように学園の正門の前に座っていた。雨上がりのよく晴れた陽射しが老いた小さな身体を温めた。老人は五十余年もの間ずっとそうしてきた。そこにただ座り、学園を守り続けていた。

 ふと、ミダイが街へ続く坂道を見ると、誰かがこちらへ歩いてくる姿が見えた。眼を凝らしてみると、それがこの学園の長であるこ

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おぬしは!・・まさかな・・・、だが、とりあえず礼は言っておこう
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探幻花 第五話 元宵

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 一月の望を元宵という。望と云っても月より明るいのはランタンで、燈市照灼、鼓笳喧々な、寒さがぼうっと濁る夜になる。海から離れた衡の街にも、荒波沫は寄せ来るか、ごうと硬い風が吹けば、元日には門戸を閉てた、街の上の家々も、今宵ばかりは女子衆も外に出させて、人影参差、満路の嬉笑に、道の隅は却って暗く、車の螺鈿がちらちら揺れて、ぼろの幡が燈りに透けて、旧情衰謝、新恨惆悵、馬がたて

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覚悟とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開く事だ

こんにちは。またまたお久しぶりのムムリク舎の中の人です。
あれからいかがお過ごしですか…あれからって何だという話ですけども。

ムムリク舎はminneで知り合った刺繍作家さんたちとの合同展「ハリイト」を終えまして。次は、まだお知らせできないのですが、お誘いいただいたお仕事のサンプル製作などをしておりました。
あぁ、早くOKをもらって皆様にお話ししたい。今から楽しみで仕方がありません。

さて、しば

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『闇狩りの二人』07:『獣のごとく』

失敗作【バグ】だ。
 いや、違う。
 これは俺だ。
 午後の繁華街の高級店の硝子に映り込む、ふらふらの迷彩コート姿のスキンヘッド。それが一瞬、鱗に包まれた持つ異形の姿に見えたのだ。赤い瞳を隠す為のサングラスを外してごしごし目をこすり、再びかけて見つめ直せば、いつもの俺が俺を見ている。
 だが、これは重症だ。鈍痛がしてきた頭をおさえながら確信する。
 二十五の時にバグの血を浴びてから、じわじわと進行

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インシオン「あんたも物好きだな。だが、礼は言っておくぜ」
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魔法使いと竜の卵 −その3−レムグレイドの猟兵

竜の仔の物語 –序章– 魔法使いと竜の卵

−その3− レムグレイドの猟兵

 「もうお帰りですか。」サァクラス・ナップがウリアレルに近づき、声を掛けてくる。

 「ああ、師が居眠りをはじめてしまったのでな。」

 そう言いながらウリアレルは若き女魔法使いを観察する。整った顔立ち。浅黒い肌。両方の目元には赤い入れ墨が口元まで引かれている。なんでもそれは、タイロン人の奴隷の印だそうだ。

 「そうで

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Naked Desire〜姫君たちの野望

第一章 心の壁−5

声の方向に視線を向けると、清楚な雰囲気を漂わせた一人の令嬢が、恭しく頭を下げた。
彼女は、ルイーゼ・ヴィクトリーヌ・エリナ・ビルギット・フォン・ゾンネンアウフガング=ホッフヌング。私の妹だ。
「おはよう、ルイーゼ。ずいぶん早いのね」
「わたくしがが早いのではなく、お姉様がお寝坊なのですわ」
やや険のある口調で、妹が応じる。
妹の食卓に目をやると、皿の料理はきれいになくなって

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ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

魔法使いと竜の卵 −その2−アリアトの密命

竜の仔の物語 –序章– 魔法使いと竜の卵

−その2− アリアトの密命

 アムストリスモから魔法学校の長が訪れた旨を聞くと、自室に籠もるレムグレイド九世は重い腰をあげ、謁見の間に出向いた。

 「久しいな、ウリアレル。」レムグレイド王は玉座に着く前に、大きなあくびをしながら言う。玉座の旁らに近衛兵の他に、二人の王国付きの魔法使いがすでに控えている。

 「お久しぶりです、王。」ウリアレルは顔を上

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小説『ベラゴアルドクロニクル』を読もう

ワシがNoteで「ベラゴアルドの世界に飛び込め」と書いてから、二ヵ月が過ぎた。超絶面白ハイファンタジー小説だ。

読みましたか?
・・・読みましたね?
・・・・・・まだ読んでいない?

まだの人はマジで・・・マジソニアンで・・・マジップで読んでみてほしい。だからワシはもう一度、紹介する。

二ヵ月前はまだ、壮大な年代記の初編『小鬼と駆ける者』が完結したばかりだった。その後もベラゴアルドの物語は語ら

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竜の仔の物語 −序章− 魔法使いと竜の卵

−序−

原初に詞が産まれ 魔法と成り 三体の竜と成る

テマアルトが陸を持ち上げ  パズウクがそれを割った

地上に愚かなる文明が築かれると

東の空からセオが飛んで来て 全てを焼き尽くした −−−(中略)

セオは三度 世界を焼き尽し 四度目に大陸が持ち上がると

荒ぶる神々がやって来て −−−(破損が激しく判読不能)

−−−(中略)−−− 

其の大地を エルフの民は

ベラゴアルドと呼ん

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