なずなはな

文章を書くことが好きです。映画や本などの感想、たまに日記を書いています。神話や民話、絵…

なずなはな

文章を書くことが好きです。映画や本などの感想、たまに日記を書いています。神話や民話、絵画が好き。

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    思うことをつらつら書いたものです。 Photo by Katrin Hauf on Unsplash

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    映画や小説、漫画や記事の感想です。 Photo by Christopher Sardegna on Unsplash

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しずかで、やさしくて、こころよい。『西の魔女が死んだ(梨木香歩)』感想

私はおばあちゃんっ子と言えるほどではなかったけれど、十一歳という多感な時期に同居していた祖母を亡くしたせいか、「おばあちゃんが出てくる話」にはかなり感情を揺さぶられてしまいます。 最初の数ページで、「泣かずに読めるだろうか?」と少し悩みました。 でもがんばってみよう。物語には、読了後しか得られない魔法がある。 それからすぐ、いい話だな、と思いました。 中学校へ行きたくないと言い、おばあちゃんの家でしばらく暮らすことになった主人公・まいの「子どもの視点で書かれている描写」が

    • 検査記 大腸カメラを受けた話。

      !注意!最初から最後まで排泄の話です!! 経緯大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を受けることになった。 普通に健康診断の便潜血検査で引っかかったのだけど、以下の理由により大腸カメラはそのうち受けたいと思っていたので、すぐさま検査を申し込んだ。 ・大腸がんで亡くなった血縁者がいる ・虫垂を除去してから3年半は大腸がんのリスクが高まる(今ちょうど3年目くらい) ・基本的にいつも便秘、食べすぎると下痢で、普通の状態がない ・胃下垂のため胃に腸が押しつぶされており、常に下っ腹が出てい

      • エゴン・シーレがなぜこんなに好きなのかを考えた

        突然ですが、エゴン・シーレが好きです。 エゴン・シーレはご存知でしょうか。1890年にオーストリアで生まれ、28歳という若さで病死した表現主義の画家です。 パッと見ただけで「エゴン・シーレだな」とわかるぐらいに、かなり特徴的な筆致や色使いをしています。 先日、上野にある東京都美術館にて、エゴン・シーレ展が開催されました。 日本でシーレの展覧会が開催されるのは30年ぶりとのことで、私は喜び勇んで上野に出かけました。 なので今回は、彼の生涯をたどりながら、その時に感じたこ

        • 【短編】成層圏で暮らしている

          僕は、成層圏で暮らしている。  成層圏とは、地球からおおよそ10km上空へのぼった時にあらわれる大気の層だ。だいたい、海外へ行く飛行機が飛ぶギリギリのところ。戦闘機だと、もっと高高度を飛行するらしい。  ここからは、地球が青白くひかって見える。昼間は海や山の照り返しが強く、薄汚れた巨大なジオラマを見下ろしているような感覚だが、夜の景色はほんとうに美しい。眼下で輝く都市の生活光は、まるで銀河のように密集して、ぽつりぽつりと地球の表面を照らしだしている。とはいえ、僕も銀河の全

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          最近楽しかったこと

          最近、楽しかったこと。 探してはみたものの、はっきり言って、見つからなかった。 だから今日は、好きなことをやってみようと思う。 わたしは、簡単なお菓子を作ることが好き。 簡単なお菓子とは、粉をふるったり、角が立つまで泡立てたり、そうしたことを一切やらないレシピで作るもの(自分基準)だ。 作る場所は、自宅。いちばん安心できるところ。 誰と作るかでちょっと悩んで、子どもを誘った。 でも子どもの返事は「めんどくさいから嫌」。 まあ、その気持ちはよくわかる。わたしも、仕事以外

          最近楽しかったこと

          手術&入院記 胆石症からの胆嚢摘出

          突然ですが、胆石症になりました。 胆石って何?と思った方は以下をどうぞ。 胆石は、ざっくり言うと胆嚢(たんのう)にできる結石。これが炎症を起こすと胆石発作となり、炎症が悪化するととても危険。 というわけで、入院&腹腔鏡下の胆嚢摘出手術を受けてきました。 とりとめなしレポ。 長いので、読みたいとこだけ読んでください。特に手術当日は長い。 胆石症の経過(なずなはなの場合)①脂っこい食事やお菓子を食べた後、必ず腹痛&下痢 ②普通の食事でも、食後に右下腹部が痛む ③腹部超音波検

          手術&入院記 胆石症からの胆嚢摘出

          長野県の郷土料理「おやき」。丸ナスと甘味噌と懐かしい思い出。

          母方の祖母がつくった「おやき」を、もう一度食べたいなと思うことがある。 おやきは、長野県の郷土料理。 ぶあつく輪切りにした、丸ナスの真ん中に切れ目を入れて。 そこに、甘くした味噌をたっぷり挟み込む。 白くてモチモチしている生地へ丸ナスを乗せて、ぴーんと引っ張りながら伸ばし、ていねいに包みこんでいく。 あとは、それを蒸し器にいれて、しゅんしゅんと蒸す。 できあがったおやきは、ナスがほろほろと崩れながらお味噌と混ざって、まわりの生地にしみたのもまた良くて、泣けてくるほど美

          長野県の郷土料理「おやき」。丸ナスと甘味噌と懐かしい思い出。

          子とゆりかもめに乗った。「デザインあ」展の思い出。

          数年前のこと。 子が保育園児だった頃の話だ。 当時は、私も旦那もフルタイムで働いていた。 私は予定のない休日に子と遊びに出かけるのが得意ではなくて、いつも子の遊び相手を旦那に任せていた。旦那は子を、近くの公園や水族館に連れて行ってあげていた。 私はもともと体力がなく、休日にはよく体調を崩して寝ていたので、旦那にはとても感謝している。 そんな折、私が当時よく見ていたEテレの番組「デザインあ」の展示会が、東京のお台場で行われるというのを知った。旦那はそこまで興味がなさそうだっ

          子とゆりかもめに乗った。「デザインあ」展の思い出。

          残りの人生でやりたいことを考えた(欲の分析)

          自分のやりたいことについて、考える機会が増えました。 いつ死ぬかなんて誰にも分からない。 でも、何を大切にし、何を横に置けばいいのかは、考えておきたい。 そんな折、けいすうさんの記事を拝見し、自分の欲について整理しようと思いました。 #欲の分析 タグの記事を拝見すると、自分以外の人の欲についても知ることができて、面白かったです。 ルールは以下の通り。(上記ブログより) わたしの自己紹介を簡単に。 年齢は不惑に入る頃、学童期の子どもが1人、旦那が1人。 少し前まで雇われ

          残りの人生でやりたいことを考えた(欲の分析)

          いつまでも浸っていたい。全身で。『モーヴ色のあめふる(佐藤弓生)』感想

          2022年8月、熱帯夜。 体温と同じくらい熱がこもった寝室で、冷房が利くのを待ちながら。 Twitterで奇書が読みたいアライさん(https://note.com/kisyo_arai/)のおすすめを拝見し、勢いよく本書を買いました。 Kindleだけれど、確かに勢いはあったように思う。 現代短歌の歌集を読むのは、ほとんど初めてと言って良いかもしれません。 なので、常識から外れた感想を書いていたら、笑ってお流しくださると幸いです。 読み始めて気づいたこと。 五七五七七、

          いつまでも浸っていたい。全身で。『モーヴ色のあめふる(佐藤弓生)』感想

          「自分が間違っているんじゃないか」という不安から抜け出せずにいる。

          たとえば、子どもを叱っている時。 感情に任せて勢いで怒鳴りつけてはいないか? もしくは、他人からの善意を断ってしまった時。 時間の都合があったから遠慮してしまったけど、もっと上手い返し方があったのではないか? 自分は間違っていたんじゃないか? この「呪い」のようなものはどこから来て、私に植えつけられてしまったのか。漠然と思う。原因を探しあてて糾弾したい、という訳でもない。 「この世で私が一番不幸だ」と言えないほどには、世間を見てきた。更にいえば、今はSNSで簡単に他人

          「自分が間違っているんじゃないか」という不安から抜け出せずにいる。

          まるで魅了の魔法をかけられたよう。『おどる12人のおひめさま(エロール・ル・カイン)』感想

          去年の夏頃のことでした。 同人活動で仲良くなった絵描きさんと、久々にご飯を食べに行き、色々な話をする中で……彼女に勧められた絵本作家、それが「エロール・ル・カイン」です。 その時私は、「アズールとアスマール」という、フランスのアニメ映画について話していました。 今は亡きジブリの高畑監督が、日本語吹替版の監修を行った映画です。 「『アズールとアスマール』っていう映画は、『キリクと魔女』と同じ監督さんなんだけど、絵がとにかく美しいんだよね……独特のタッチで、写実と3Dとアニメ

          まるで魅了の魔法をかけられたよう。『おどる12人のおひめさま(エロール・ル・カイン)』感想

          知を得たいという欲求は、果てしない。『寝ながら学べる構造主義(内田樹)』感想

          まず思ったのは「寝ながら学べない! 寝てしまう!!」ということ。ごめんなさい。 本書は、初心者向けに分かりやすく、ていねいにていねいに、噛み砕きながら語って頂いています。 私の頭では咀嚼するのが精一杯で、理解に至ったとは言いきれませんが…… 構造主義が構造主義たるゆえん、そして、現代に生きる私たちの考え方そのものが、構造主義につよく感化されているということ。 私たちがいま常識だと思っていることは必ずしも普遍的ではなく、「自らの属する社会集団に固有の『民族誌的偏見』にすぎな

          知を得たいという欲求は、果てしない。『寝ながら学べる構造主義(内田樹)』感想

          脳味噌をぐるぐるとかき混ぜられているような感覚。『笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE S&Mシリーズ(森博嗣)』感想

          犀川先生と萌絵ちゃんのシリーズ(S&Mシリーズ)は、十七年前くらいに漫画版の『すべてはFになる(浅田寅ヲ)』を借りて読んだ以来です。 それは非常に特徴的な漫画であり、絵柄も独特で、また物語自体も特殊なので、ちゃんと理解はできなかったものの面白かった、と思ったのを覚えています。その時は個人的に犀川先生が好きで、萌絵ちゃんには特に興味はありませんでした。 今回は、クリスマスにかかわる本を読みたいなあ、と思って買いました。 その関連性はともかくとして。 読了後は、いま読んで良か

          脳味噌をぐるぐるとかき混ぜられているような感覚。『笑わない数学者 MATHEMATICAL GOODBYE S&Mシリーズ(森博嗣)』感想

          「失敗体験」「一人脳内反省会」を消したいわたしへ。この記事を何度でも読んでほしい。

          自身へ向けた言葉です。 「失敗体験」「一人反省会」いずれかが脳内へ湧き上がった瞬間、それを捨て、「最近読んだ本の好きなところ」を思い浮かべる。 捨てられない時は、休養または療養が必要である。 私は物事をランダムに忘れます。 それこそ、些細なことから重要なことまで。今となっては、重要事項は即座にメモをとる癖がついているので事なきを得ていますが、それ以外は自分でも驚くほど覚えていません。 人間の脳内で、短期記憶と長期記憶の保管場所が違うことは理解しています。しかし、私はその

          「失敗体験」「一人脳内反省会」を消したいわたしへ。この記事を何度でも読んでほしい。

          「なずなはなさく垣根」とは。松尾芭蕉の句と羊飼いについて。

          「春の七草」が好きです。 せり、なずな。ごぎょう、はこべら、ほとけのざ。すずな、すずしろ、これぞ七草。 このリズミカルな韻律や、すっぱりとした草の名前の心地よさが好きで、たまに口ずさみます。一月七日には七草がゆも食べます。 私は最初「なずなすずしろ」というペンネームでnoteを始めました。 春の七草の中から「なずな」と「すずしろ」を選んだのは、他になさそうな名前だったためです。しかし数日後、名前を変えました。 理由は、とある有名な俳句を目にしたからです。 「薺(なずな

          「なずなはなさく垣根」とは。松尾芭蕉の句と羊飼いについて。