汽車

汽車を使った。

車内を見渡すと変わらず、ずーっとスマホを見ている人。

その俯いた姿はさながら、とぼとぼと歩いている人を彷彿とさせる。

前を見ようよなんて僕が言うのはおこがましい。。

でも、俯いている時に車窓に写る海や、ぽつんとある電灯。手をつなぐ2人やせかせかした車の波。そういったものを見る機会は少なくなる。

汽車は揺れる。

スマホを持った手も揺れる。

が、スマホのみで心揺れる何かを感じられるのだろうか。

僕は思う。

この景色を見られなくなったとき、気付くのだろうか。

窓に映る泡沫の姿と、故郷の香りを。

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