181110_映画「ジェイン・ジェイコブズ ーNY都市計画革命ー」 とソーシャルアクション、ソーシャルデザイン

1960年代のアメリカ、ニューヨーク(以下、NY)では、環境問題、女性の権利、黒人人権などなど、すでにたくさんのソーシャルな活動が展開されていました。中でも、まちづくり分野で成果を上げていたのがジェイン・ジェイコブズさん。彼女の活動の軌跡を描いたドキュメンタリー映画「ジェイン・ジェイコブズ ーNY都市計画革命ー」が福岡でも上映され流ということで、併催されるトークイベントと合わせて、拝聴してきました。

http://janejacobs-movie.com/

当時、開発著しいNYでは、スラム化、治安悪化を理由に、大規模な立ち退きと建て替えが次々と行われていました。(「ジェントリフィケーション」と言います)加えて、郊外から都心への交通アクセスをよくするために、都心直結のハイウェイ(高速道路)を建設する計画も次々に立ち上がります。当然、大きな道路ができれば、そこにかかる場所もまた、立ち退きの対象となり、道路によって隣接する地域は大きく分断されます。大きな道路の存在が、あちら側とこちら側を物理的にも心理的にも遠ざけるという経験は、誰しもあるのではないでしょうか。こうした開発は、行政やその外郭団体、開発業者や建設会社など、大きなパワーやお金が動き、良くも悪くも、人々の暮らしを大きく変えていきます。

このような状況に直面して、開発される側、つまり、地域にいる住民たちは、どのように対処していけばいいのでしょうか。ジェイコブズさんは、生活者の目線で、そこに抗していきます。生活する人たち一人一人の権利や開発の矛盾を一つ一つ丁寧に読み解き、粘り強く交渉を繰り返し、ムーブメントを作り出すことで、これまでその場所で積み重ねられてきた時間と空間が織りなす人間の居場所を守り育てていきます。

映画では、割りと、二者の立場の違いを対立軸としてわかりやすく描かれていましたが、トークでは、開発か、保存か、のどちらかではなく、両者がどのようにバランスを取って行けばいいのか?また、その時にどこからどこまでの声を聴き、それを全体の中に位置付けながら、取り入れていく仕組みに反映させることができるのか?そういう視点で話が展開されていたように思います。

ソーシャルアクションを最大限に有効化する、ソーシャルデザインを、より深めていく必要性を強く感じます。

劇場公開は残念ながら5日間と短く、もう終わってしまいましたが、どこかでまた、上映イベントなどという形で、機会を作れたら、と思います。

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