Story of ...『マスカラ』

SixTONESの5thシングル『マスカラ』のソロアングルを拝見し、6者6様の〈終わりがあるなら 始まらなきゃ良かった〉愛の物語を感じました。
私が感じた物語を、認めておきます。
敢えて、どれが誰の物語か、ということは伏せておきます。どなたかお読みいただいた方の、ソロアングル鑑賞時の1つの見方になれば幸いです。

Scenario 1. Story of ...

僕と貴女とは、長い付き合いだったね。
中学の頃の少し野暮ったい貴女も、
高校に進学してスカートが短くなった貴女も、
大学に入って化粧を覚えて睫毛が長くなった貴女も、
全部僕は知っているよ。
僕は全部知っているのに、僕は貴方だけをずっと見てきたのに、
なのに、今日のあいつは誰だよ。
「話がある」なんてかしこまった連絡に期待していたら、
貴女の隣には僕の知らない男。
「今度、結婚するの」
僕の方が貴女を知っているのに、僕以上の人はいないだろうに、
貴女は僕を選ばないんだね。
まあ、いいよ。好きにしな。
後悔しても、僕は貴女のものにはならないよ。

Scenario 2. Story of ...

貴女と結婚したのは2年前の雨に濡れる紫陽花がひどく美しい日だったね。
僕は貴女に心酔していたし、
きっと貴女も僕に惚れていたでしょう?
でも2年の月日は、移り気な貴方には長すぎたのかな。
近頃帰りの遅い貴女。
すっかり、時計を確認するのが僕の習慣になってしまったよ。
今日だけでも、何度時計を見たのだろう。
そろそろ日を跨ぐ時間帯、きっともう少し後に、僕の知らないボディーソープの香りに包まれた貴女が帰ってくるから。
もうおかしくなりそうだ。
貴女は、もう僕のこと必要としていない。
お願い、僕を棄てないで。
僕には、貴女しかいないんだ。

Scenario 3. Story of ...

取り返しのつかないことをしてしまった。
失ってからわかったよ、
貴女と過ごした凡庸な日々がどれだけ尊いものだったのか。
貴女との愛がわからなくなってつい他の女性に逃げてしまったけれど、
それが貴女を深く傷つけていたんだね。
今更謝っても、戻ってこない。
虚空に僕の自責の言葉が零れていく。
もう貴女はいないのに、左手首のブレスレットだけが二人の仕合わせな頃を思い出させる。
いくら悔やんでも終わったものは取り戻せない。
神様、どうか、出逢った頃の二人に戻して。
できないなら、馬鹿な僕のことを笑ってくれよ。

Scenario 4. Story of ...

この愛は今夜終わらせる。
付き合って、婚約して、きっと貴女は変わってくれるなんて思っていたけれど、そう簡単には変われやしなかったんだね。
貴女は気付くと誰かに抱かれている。
もう隠すことすら辞めたのかな。
ヘラヘラ笑う姿に苛立ちを感じるようになったのは何時からだろうか。
貴女を信じようとした過去の僕も大概だし、
貴女への愛もとっくに枯れてしまったよ。
あるのは腹立たしい気持ちだけ。
「10分遅れる、ごめん」
いつも通り遅刻してくる貴女に、どんな風に別れを告げようか。

Scenario 5. Story of ...

終わりがあるなら始まらなきゃ良かったなんて言うけれど、
僕の場合ははじめから終わっているんだ。
出逢った時には、貴女はもう他の人のものだった。
静かに漂わせる色香に見惚れていると、
否応なしに目に入る左手薬指の指輪。
結婚して数年経つのに、旦那さんとはお熱いらしい。
こんな話も知りたくもないのに耳に入ってくる。
想いを伝えることさえ許されない自分自身とこの状況に
どうしようもない絶望感と悲しみを抱く日々。
何時になったらこの気持ちに幕を引けるのだろうか。
今日もまた、貴女の指に光る輪を思い出しては悲しみに浸ることしかできない惨めな僕を、どうにかしてくれ。

Scenario 6. Story of ...

貴女を失って感じたのは、
悲しみでも、苦しみでもなく、不安だった。
毎日使っていたペンをなくしてしまった時のような
最初は小さな不安だったんだ。
でもきっとすぐ見つかる、きっと貴女は帰ってくるとどこかで思っていたけれど、どこを探したって貴女はもういない。
もう、この世にいないのだから。
最期に交わした言葉は何だっけ。
貴女はもう僕にとって日常で、貴女との生活の断片を追っていくうちに次第に実感が伴っていく。
貴女がいない生活は想像できない。
僕はどうやって過ごしていけばいいの。
ぽっかりと胸に空いた穴に不安と焦燥感が募る。
あぁ、こんな終わりがあるなら、いっそのこと始まらなきゃ良かった。

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