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カトレヤ式ダイエット

自分で勝手に設定した〆切ではあるが、確か昨日だったと記憶している。
間違っていても誰にも迷惑はかからないので、まあいいだろう。
しつこいようだが、ダイエットのはなしである。

結論から言うと、プラマイゼロ。「失敗」である。

そもそも何故、昨日が〆切だったのかというと、明日が推しのライブだからなのだ。
天国から見ている推しに醜い姿を見せたくない。という、切ない?乙女心が原因だったのだ。
しかし、そう。乙女心は煩悩を前にいとも簡単に敗れ去った。

そして、〆切り当日である昨日の夜、食事中に唐突にある大事なことを思い出したのである。

一昨年、親知らずを抜いた時のことだ。

私の親知らずは4本とも私に似て中途半端な生え方をしているため、将来的にはすべて抜いたほうが良いという診断だった。
とりあえず、先に下の2本を大学病院で抜こうという事になり何度か通ったのだが、特に右のヤツはかなりの強敵だった。と先生が言っていた。
そして「術後はかなり痛むと思います。」と言われてはいたが、これが思っていたより痛かった。

食事もいつも通りとはいかず、小ロットずつを口に入れ、慣れない左側でゆっくりゆっくり噛んでから飲み込むしかない。(そこで知ったのだが、どうやら私は右側で噛む癖があるらしい。)
そうしていたら、なんと!1週間で!7キロも!痩せたのだ!!(もちろんその後リバウンドはした)

ざっくり言うと、一口を小さくして必要以上に咀嚼して飲み込んだことで満腹中枢がいい感じになって、たくさん食べなくてもおなかいっぱい。というWIN・WINな感じになった。というカラクリだ。

ここでさらに思い出すのは、偏食なうえに全く食べない子供だった、幼稚園時代である。
幼稚園でのお弁当タイムに限っては、苦行と言って差し支えないタイプの、星一徹ほどではないが、いわゆる昭和なスパルタだった。
居残りの教室でたった一人食べ終わるまで食べ続けねばならず、しかしもう満腹で飲み込むことができない。ペッと出してしましたいが許されない。
ひたすら咀嚼を続けるから、さらに満腹になるし吐き気もしてくる。

これはもう無間地獄である。

今ではそんなやり方はしていないと思うが、当時はそれが普通だったのだ。
だって昭和だったのだ。先生を責めるつもりはないが、今の子供たちにはやらないであげて欲しい。

あの頃の私は、棒のように痩せていた。
成長とともにこんな事になってしまったが。
なので、まあ、食の細いお子さんを持つパパさん・ママさん、幼稚園の先生方へ、心配無用だぞ。

親知らずを抜いたことで、期せずしてあの頃と同じく少しずつひたすら噛む、という食事をせざるを得なくなった。
そう、たったそれだけのことで、マイナス7キロである。
どれだけ余分な脂肪が溜まっていんだ。とも思う。

が、何度も言うが、リバウンドはした。
そう、痛みが引いて普通に食べられるようになってしまったせいである。

そんなわけで、小ロットずつ口に入れ、必要以上に噛む。という方法を、通っていた幼稚園に因み「カトレヤ式ダイエット」と命名した。

つまるところ、私はたった2年前のことなのにそれを忘れてブクブクと太り、あまつさえ痩せたいと宣っていたわけだ。

お恥ずかしい。

昨日の食事中、ご飯のツブツブ感が喉を流れていく感覚で「我ながら噛まないな・・」と感じたことがきっかけで、この「カトレヤ式ダイエット」の存在を思い出した。
食事は半分ほど進んでいたが、残りをしつこく咀嚼してみた。
最初はまだるっこしくてイライラしたが、スマホを眺めたり、ゲームをしたりと気を逸らしつつではあるが、ゆっくり噛んで食べることに違和感はなくなっていった。

するとどうだろう。いつもならペロッと完食し、なんならデザートも食べたい。いや、菓子パンくらいなら普通にイケル。食べちゃおうかな。あ、食べちゃった…。くらいの量なのに「満腹で辛い・・」という現象が起きたではないか。

これは!!!いける!!!!そう確信した。

今日からの食事は「必要以上の咀嚼」がテーマだ。

あのカトレヤ幼稚園で、母の日を前に壁に貼ってあった、自分で描いた母の絵。
それを一人ぼっちの教室で眺め、「ママ」と言って泣きながら咀嚼を続けたあの日を思い出すため、母の絵でも描いてみようか。
中学の美術の成績は1だったな。きっと幼稚園時代と変わらない出来栄えになるだろう。

とりあえず次の誕生日が〆切だ。50歳の節目の日にちょうどいい。
11月25日。
奇跡が起きているかも知れない。

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