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動き始めたのは秋葉原の喫茶店

同僚のお藤から、noteでお手紙をもらった。なんだかこそばゆくて、ソファに横たわりながらニヤニヤしてしまって、普段表情筋をあまり動かさない僕にとっては異例の事態だ。妻がいたら「なに、珍しいどうしたの。怪しい顔して」なんて質問されたことは容易に想像できたが、1人きりだったので思う存分ニヤニヤしてしまった。

お手紙の仔細は、上記から閲覧できる。そして、これは『お手紙』をもらってからこその『お返事』にあたる文章であり、大変個人的なものであることを事前に書き置きしておく。

個別メッセージでお返事を送ればいいかなと思いつつも、僕の知らない誰かがこれを読むことで、ちょっとほっこりしたり、こういう人間関係もビジネスと言えど存在するんだと知ることで、ちょっと今抱えている人間関係の辛さとかが和らいだら良いなと思って、noteで書くことにした。

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まずは、上記のnoteで書いてあるように僕の存在をみてくれて、本当にありがとう。仕事をしている以上「褒める」という行為の対象は「スキル」や「成果」に対してのものが多い中で「存在」や「人柄」について「褒めてくれる」というのは、大変貴重なことだと思っており、図らずも、お藤からそんな言葉をもらえたことが、なにより嬉しかった。

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昨年、事務採用を強化している最中、お藤はオフィスに訪れた。スーツ姿だったように記憶している。背筋が立って姿勢が綺麗で、年相応の間合いと空気をまとった人だと感じた。

面接というのは、今募集している職種に対して、自社の文化や風土に対して相応しいか、適切なスキルを所持、または学ぶことができるのかを見定めていく行為だ。

まあ、でも僕はそういうことがどちらかといえば苦手で、目の前に座っている「その人」にしか興味が湧かない。故に、質問することも仕事と関係無いことであったりすることが多い気がしているし、発せられる言葉の内容以上に、表情や立ち振舞、声色、トーン、視線、を観察していることが殆どだろうと思う。

ちょっと話は逸れるんだけれど、無印良品(良品計画)の社長さんが書籍で「優秀な人なんていないんですよ。だから、学べあえる環境や、学びやすい環境をつくっていくことしか出来ないんです」的なことをおっしゃられていて、基本僕もそんな考えなもんだから、スキル云々は一旦横に置いている。なんか、人に優劣つけるのっておこがましいじゃない?

ということも相まって、ジロジロと前述したことを観察する。

たぶん、お藤のときもそのようなスタンスでお話したんじゃないかな。面接というか、僕的には互いを知るための「お話」。

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お藤は十数年、大手の割とお硬い企業に勤務していて、そんな中で生きて、離婚もあり、シングルマザーとなり、なかなかエモい人生を歩んで来たのだなと思いつつも、その経験が種となり、対人援助職への興味を持ち、産業カウンセラーの講座に通ったりしているとのことだった。

そして、子どもの頃から「心」を扱う教育が必要なんじゃないでしょうか。とも話していたように記憶しているけれど、間違ってないかな?記憶違いだったらごめんね。

自分の「心」がどうしようもない困難に陥ったとき、人は初めて「心」の扱い方についてあれこれ思案するんだけど、お藤も言っていたとおり、誰も教えてはくれないんだよね。大事なことなのにね。

だから、ある意味で長期的な視点になって「心」を扱っていく仕事に携わりたい、大人から子供まで「心」について学ぶことは大切で、ただ、今目の前で苦しんでいる人にも必要な支援はしていきたい。そんな想いを携えて、cotreeへの入社を決断したんだろうと、受け取っているよ。

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まあ、僕は大手企業に勤務したこともなければ、同じ企業に10年以上も勤務したこともなければ、離婚もしたことがないし、子どももいないし、ただそんな中でスタートアップである弊社への転職を「決断する」という行為は、よほど勇気が必要で、よほど不安で、よほど怖かったんじゃないだろうか。

と勝手に思っては、そんな中で決断したお藤に、少なくない敬意と尊敬の念を、僕は持っている。たぶん、この人は「崖っぷちに立たされたときに、ギリギリまで踏ん張れる胆力を持っているんだろうな」と。それって、とっても素敵なことだよね。あ、年の功かな?

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採用が決定し、1月からちょくちょくとオフィスに顔を出しつつ、プライベートの各種問題をいそいそと片付けながらも必死に仕事を吸収しよう、雰囲気に溶け込もうと頑張っていた姿は印象的で、僕がお藤だったら、同じことができるだろうかと思案しては、偏屈なプライドが邪魔して出来そうもないな〜、凄いな〜って思っていたよ。いや〜なかなか出来ないよね。我々、そろそろ40歳目前だしね。アラフォーってやつ?

一方で、日に日に増えていく仕事量や、スタートアップならではのスピード感にアップアップになってしまって、パンクしないか、ずっと心配だった。

だから、事あるごとに「プライベート優先で良い」「お子さん優先で良い」ってしつこいかな?ってくらい小言を言っていたように思う。だってねえ、そりゃ大変よ。離婚直後だったし、お子さんも小さいしね。そんな中で、ツライ表情や態度は極力みせずに、逆に周囲に心を配り、目を配り、気を配っていたのは、「さすが」の一言だったな。

いつだって、空気を和らげよう、少しでも円滑なコミュニケーションをしていこうと努力していたお藤を、僕は素敵だな、と思っていたよ。

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4月から正式に社員となって、それと入れ替わるように僕は休職してしまって、個人的に「あ〜やっちまったな〜」と、暗黒期に突入していたんだけどさ、休職してからパタリと外部との接触もなくなるし(slackアプリも削除していたしね)、そんな中でも少なからず僕は学校に通うことで社会性ってものを失わないように生活してたわけなんだけど、あれは5月だったかな?いつもは静かなFacebookメッセンジャーが「ポワン」と音を出したんだ。

あれ?なんだろう。と思って開いたら、なんとお藤。休職以前、特段Facebookメッセンジャーでやりとりするような仲でもなかったし、業務上の連絡かなんかかしら?と恐る恐る開いてみたら、「寺崎さん、最近どうされていますか?」というメッセージだったように記憶している。

なんか、素直に嬉しかったし、日に日に膨らむ瘴気の膜に、プスッと穴をあけてくれたような感覚で、スッと心が軽くなるったような気がした。不思議だよね、たった、1行のメッセージなのにね。

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「メッセージありがとうございます。元気じゃないけど、なんとか生きてますよ。藤原さんこそ、元気すか?少しは落ち着きましたか?」

といった返信をしたんだけど、あれだね、全然大丈夫じゃなかったね笑。

「ちょっと相談したいことがあって。吐き出させてもらっていいですか」

雑にまとめるとこんな内容(雑すぎ?)で、「ええええ、どうしたん、なにがあったん、公私ともに大変なん」と1人アワアワしてしまったんだけど、状況を詳しくメッセージしてくれて、そりゃつらくもなるなって。

僕は、髭も生やしているし、やる気なさそうな風体しているけど、割とまじめだから、送られたメッセージをテキストエディタに貼り付けて、問題を整理して、感情面の状態を見定めて…みたいなことを小一時間やってみたんだけど、そういうことじゃないな、こりゃ対面して「話を聴く」ことでしか何もお返しできなさそうだ、と思った。「お返し」って書くのはさ「相談されること」ってありがたいことだから。僕は別にお藤の上司でもなければ、単なる同僚だし、なんかね、まずお茶しようと。

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そして、当時僕が「引きこもり度」を保持しつつも快適に外にいられるお気に入りの喫茶店へご招待することにしたんだ。その日は、僕もあまり調子が良くなかったんだけど、頓服薬を飲んで、フワフワした状態で秋葉原駅の改札前をウロウロしていた。ずっと待ってるの苦手だから、ついつい徘徊してしまうんだよね。

だから、お藤から「駅についた!」とメッセージ来た時は改札から大分離れていて、やばいやばいと急いで待ち合わせ場所に向かった。いや〜汗かいたよ。久しぶりに走ったから。久しぶり?数年ぶりかな。

久しぶりに会ったお藤は、満面の笑みで迎えてくれて、「あぁ、もう今日これで良くない?これ以上、何もいらなくない?」って、満足してしまったんだけど、いやはやメインディッシュは僕ではないので、グッと堪えて、喫茶店へ。

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喫茶店へついてから、2人でカフェオレに生クリームが乗っかった飲み物(名前覚えてない)を注文して、ゆったりとしたソファーに腰掛け、向かい合って、とりとめのない話をしたね。いや、本当にとりとめのない話だった。仕事の話から、プライベートの話から、未来の話、過去の話。久しぶりに人とこんなに喋ったな〜って思うくらい喋ったね笑

そして、帰り際に8kgあった心の澱みが3kgくらい減ったよ、ありがとう。と言われて、いや、僕は自分の存在がまた視えるようになったくらい、軽くなったから逆にありがとう。という気持ちだった。ちょっと疲れたけど。

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それからというもの、事務手続き関連でメッセージのやりとりしたり、はたまた全然関係ない会話をしたり、お子さんの話、僕の体調の話、などなど、他愛のない会話はポツリポツリと増えていったね。今では、これはもはや「友達」なのでは?と思うほど、裏も表も開示する関係になったね。なんというか、それこそ「喫煙所でいつも話す油断できる相手」的な感じかな。タバコ吸うの僕だけだけど笑。

油断できる相手っていうのは、僕にとってはとても大切(というか誰にでも必要)で、それがお藤であったこと、特段図ることなく、何気なく交わしたコミュニケーションの結果、そういう関係になれたことは、とっても嬉しく思っているよ。

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同僚としても友達としても、正直、今回の手紙は改めて読んでもとても嬉しくて、感謝しかないんだけど、それと同時に、お藤自身の良さ、いびつさ、も大事にしていって欲しいなって思う。お藤は「配慮」の人だから、人一倍「細かな変化」に気がつくだろうし、その分受け取る情報量も多く、頭も心も体も忙しないと思うんだけど、お子さんとの時間を第一に、これからもたわいもない会話を楽しみつつ、共に働き、ハイボールを飲める関係性でいたいなと、僕は思っています。

お手紙ありがとう。これからもよろしく。

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