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間違いなく、雄!

ノアの箱船にオリーブの枝を運んだ鳥が雄か雌かとジュハーに聞いてみた。 ジュハーは「それは間違いなく雄やで」という。「そんなこと、間違いなくて、なんでわかるん?」と聞かれて、ジュハーの答えは 「そら、オリーブの枝をちゃんと箱船まで運んで帰れたからや。もし雌が枝を運んどってみ、箱船に着く前に口から落としてまうやん。雌っちゅーのはほんま生まれつきよう喋るし全然黙ってられへんもんなぁ」

    • キャベツ

      アブドッラーという男、彼はみんなからキャベツと呼ばれていた。ジュハーはそのあだ名に反対していた。曰く 「野菜のキャベツなら、少なくとも有名やし、健康にもいいし、体の役にも立つ。ほんで、アブドッラーのアホンダラは誰の役にも立ってへんし、なんにもええことないやないか」

      • アホなカラス

        ジュハーはホルモン焼きが好きだった。肉屋に行ってホルモンを買って、焼き方を書いた紙を一緒にもらった。家に帰る途中、カラスにホルモンを取られてしまった。ジュハーは笑って 「アホやなぁ…ホルモンだけ持って行ってしもて。焼き方の書いた紙は取らんと行った。」

        • 大きなナイフ

          ティムール王は武器としてナイフを持ち歩くことを禁じた。なのにジュハーはナイフを持ち歩いていた。兵士がジュハーを捕まえて言った。 「なぜナイフを持ち歩いている?王の命令で禁止されているのを知らんのか?」 「いや、知ってますとも。でもね、わたいはリンゴの皮をむくために持ち歩いてるんでっせ」 兵士が言った。「ならそのナイフは大きするぞ!」 ジュハーは即座に「わたい、大きなリンゴが好きなんですわ。」

        間違いなく、雄!

          キツネへの罰

          ラマダーン月のこと、ジュハーはモスクのイマーム(礼拝の指導者)の仕事を探して、村から村へ渡り歩いていた。ある村にやってくると、村人たちが困っていたり怒っていたり。どうやらキツネが村のにわとりやアヒルをたくさん襲って食べてしまったらしい。そこで村の人たちはいまいましいキツネを捕まえて殺してしまおうと狩りをしたのだった。ジュハーは村人たちに「わたしにお任せあれ」と言うと、上着とターバンを脱いでキツネに着せると檻から逃してしまった。村人が驚いて訳を尋ねると 「これであのキツネは信

          キツネへの罰

          ターバンと子ども達

          夕方ジュハーが家へ帰る途中、通りで子ども達が集まって遊んでいた。疲れていたのでやれやれと道端の岩に腰を下ろし子ども達を眺めていたら、子どもらがジュハーの方へとやって来たかと思うと、ふざけてターバンを取って投げ合いを始めた。ジュハーはターバンを取り返そうと走り回るが、とても取り返せない。そこでターバンは諦めて家に帰った。 奥さんがターバンのことを聞いてきたので、答えた。 「ターバンは子どもに返ってしもたんや。まだ子どもらと一緒になって走り回って遊んでんで」

          ターバンと子ども達

          七面鳥

          ジュハーは七面鳥を飼っていた。ある日市場に出かけたジュハーは、小さい鳥が2クルシュで売られているのを見て、それなら七面鳥はもっと高い値段で売れるのではないかと考えた。そこで市場に売りに行ったが、誰も買いに来ない。訳を尋ねたら「さっきのんは喋るオウムでっせ。そんで高うに売れたんですわ」との答え。 ジュハーは少しの間黙ってからこう言った。 「オウムが喋るいうんでしたら、七面鳥はだま〜って考えてるんでっせ」

          喪服

          ある朝、ジュハーは喪服を着て通りを歩いていた。知り合いが見かけて聞いた。 「なんや、なんで喪服なんか着てんねや?ご近所で誰ぞ亡くなったんかいな?」 「ちゃうねんけどな。葬式に備えてんねんわ。今日あたり誰ぞ亡くなるんちゃうか思てなぁ」

          パン屋

          ある日、無一文でお腹をすかせたジュハーが町へやってきた。一軒のパン屋からいい匂いがしていたので、店へ入っていき主人に言った。 「あんたさんがこの天から下された贈り物のようにステキなパンのご主人で?」 「そうです。わたしが主人です」 ジュハーはもう一度聞いた。 「あんたさんが預言者ムハンマドがお住いになる天国のパンとおんなじくらいええ匂いのするパンのご主人で?」 「そうです。わたしが主人です」 パン屋の主人はジュハーがお腹が空いているのでパンを一つもらいたいと遠回し

          さからうロバ

          ある日、ジュハーのロバが川に落ちた。みんながそれをジュハーに知らせた。ジュハーは川に行くと、水の流れと反対方向にロバを探し始めた。みんなは驚いてジュハーに聞いた。 「川の流れと反対に探すて、なんでそんな変なことしはるんですか?」 「うちのロバ、へそまがりですぐにさからいよるんですわ」

          さからうロバ

          王の価値

          ある日、ティムール王がジュハーに尋ねた。 「ジュハーよ、わしのことをどのように評価する?」 「黄金の塊でもちまして評価いたします、陛下」 答えを聞くと王はジュハーを打ち付けて言った。 「その程度の評価か、何ものでもないわ。わしの着物の一枚でもその程度の価値があるのじゃ」 ジュハーはすぐに答えた。 「もちろんでございます。私はお着物について申し上げたまで、お着物の下にあるものにつきましては値段のつけようがなく、黄金と比べるものでもございません」

          結婚式もお葬式も

          夕方ジュハーが家に帰ると、奥さんがめそめそと泣いていた。訳を尋ねてみると、友達の娘さんが亡くなったので、お葬式に行って帰ってきたところだと言う。 ジュハーは話を聞くとゲラゲラ笑った。「いや、おまえ、前に結婚式から帰ってきたときもおんなじように泣いとったで。おまえにかかったら結婚式でも葬式でもおんなじになんねやなぁ」

          結婚式もお葬式も

          なくした指輪

          ある日、ジュハーが指輪をなくした。家の中を探したが見つからない。そこで通りへ出て探し始めた。 通りがかった人が声をかけた。「こんな通りで何してますのんや?」 「指輪をなくしたんで探してますんやわ」 「なんで最初に家の中を探しませんのん?」 「それが、暗いうちに家の中は探したんですわ。そんで見つかりませんねん。そんで通りを探そ思てここへ出てきたんですわ」

          なくした指輪

          ジュハーおじさんのおはなし

          アラブで「ジュハー」、トルコで「ホジャ」として知られているとんち話。 日本では「ゴハおじさんのゆかいなおはなし」という子ども向けの本も出版されています。(エジプトでは「ジュハー」が「グハー」と訛るので、それがまた英語を経由して「ゴハ」となっているようですね。) このジュハーおじさん、ワタシの手元にある本がトルコで出版された本なので、こんな風に紹介されています。 ジュハー、もともとはトルコの「ナスレッディン・ホジャ」。1208年トルコのシウリヒサルの属州の村で生まれる。1

          ジュハーおじさんのおはなし