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人間らしさ



人間らしさって何だろうと考えることがある。
人間らしさ。人道的だとかいう言葉があるけれど、そもそも人の道ってなんだ。

人間の尊厳を踏み潰したアメリカの奴隷制度やアメリカ原住民差別の資料なんかを読んでいると、ふと考えてしまう。

蟻は、ずっと働いているけれど、その事を苦痛に思っているだろうか。
私たちはどうして、一生働く事を苦痛だと思うのか。



それは、公平性だと思う。
チンパンジーにも見られる公平性は、社会を構成する上の進化で獲得してきたもので、だけど時折不思議に思う。

公平性は正しさではない。

いや、人間社会では当然正しさなのだけれど、自然界で見れば必ずしもそうではない。
食う食われるの戦いをしている中で公平性など取り入れていては、生き残れない。あの戦いは相手のことを先に思いやった方が負けるゲームだ。

そうなると、私たちが獲得してきた公平性とは、集団の中での争いを極力抑える道具の一つなのだろうか。
公平性は共感性と共に機能し、共感性は仲間内でしか感じない。



生きるか死ぬかの生存競争が残存する中、私たちが獲得してきた公平性は、曖昧な世界の中では確かに誤魔化されてきたけれど、哲学が発展して科学が発展して、全てがクリアになってしまった世界の中では、内包する矛盾が溢れ出し、私たちを壊しにかかってるのかもしれない。

これが、生存競争の幕引きの一手となるのか。生存競争をやめた種が今後生き残れるのか。それともいずれ何処かで爆発して、また苛烈な生存競争が始まるのか。まだ誰にもわからない。



人間らしさは一種の無駄だと思っていた。
無駄への許容。生きるために獲得してきた快楽システムの上で踊る行為。そこに合理的な利益はない。

だけど人間以外も遊びをするし、無駄もする。
ストレスを抱えれば快楽システムを機能させて誤魔化したくもなるもので、ショウジョウバエが失恋して酒を飲むような現象は色々な所で見られる。

だけど人間らしさはもしかしたら、肥大した公平性と共感性で生存競争を終わらせようと目論むその意思なのかもしれないと、最近はよく考える。

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