きみのはなし

 きみのズタズタの左手首まで愛することができるのはきっと世界で僕だけなんだよ。  太腿の痣だって直線に、垂直に引かれたアートみたいな傷だって誰よりも愛せるしあいしているよ。きみの傷なんかよりもっと深く深く深く深く。ぼくは思うんだ。ぼくの脳みそは無責任なきみに溶かされた。きみにぼくは覚醒剤とかデパスとかそんなものと比べ物にならないくらい依存しているよ深く深く深く深く。きみが誰かの瞳に行くとき、きっとぼくは自殺配信なんてふざけたことをしているんだろうな。きみのあまい声を独り占めしたいんだ、ばかだよな。ぼくはきみを離したくない、だから閉じ込めるんだ、ぼくに。きみの命になれたらな、心臓になれたらな、脳みそになれたらな。そんなこと思ったってできっこないのにな。ずっとぼくはきみを探していたんだよ。ぼくはきみがすきで、きっと、きっときみもぼくがすき。


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