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審判の判定はシーズンを通した収支で考える【2023年J1第1節 サンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌】

2023/2/18に行われたサンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌は、0-0の引き分けで終わった。

あらかじめ断っておくがこの文章は、いわゆる「マッチレビュー」ではない。しいて言うなら感想文、イメージとしては試合を見た上で書いた「日記」のようなものだ。

前回書いた日記とやらはこちら。

誤審は点ではなく線で考えることにしている

この試合で一番話題になったのは「広島のノーゴール判定」だ。73分の川村のヘディングシュートがゴールラインを割っているように見えたにも関わらず審判もVARもノーゴールと判定した。

これに関して、後日JFAの審判委員会によって誤審であり、ゴールだったと認められた。

この件について色々言いたいのは広島サポであり、救われた側の我々札幌サポがとやかく言うことではないのだが、審判の判定に対する自分の向き合い方を整理するきっかけになったので記しておく。

そもそも僕は審判の判定には興味がない。プレーのようにチームがどうこうできる範囲ではないし、1シーズン何百試合もしていたら審判が判定を間違わないことはあり得ないと思うからだ。つまり判定ミスに青筋を立てても杞憂にすぎず、ただ自分の感情をかき乱してエネルギーを消費するという考えである。

僕は審判の判定をシーズン通して考えるものとしている。1試合に焦点を絞って見てみると審判の判定で得したチーム、損したチームが出てくる。それが何十試合も積み重なると、自分が応援しているチームが判定で得する試合もあれば、損する試合もあるだろうと考えるのだ。その収支はおおむねゼロ、つまり得した試合も損した試合も同じくらいになると思っている。

この試合では札幌が得をして、広島が損をした。だから今後どこかの試合で札幌が損をして、広島が得をすることがあるんだろうなあと僕は信じている。

誤審は点ではなく線で考える。もちろん審判技術の向上は当然のことだが、それを踏まえた上でも誤審はあり得るものと僕はとらえている。

浅野のWB起用からみる「プレッシャー360°問題」

この試合では新加入の浅野が右WBでスタメン起用された。

ミシャがコンサドーレを率いるようになってから、新加入選手がコンサのサッカーに馴染むのはいっそう時間がかかるようになったと感じる。浅野も例によらず、ピッチ上での動きには悪戦苦闘しておりハーフタイムで同じく新加入の小林と交代した。

そもそも浅野はWBではなくシャドーの方が持ち味が発揮できる選手だ。コンサドーレのWBは独力でサイドを突破する能力が最大限求められる。金子やルーカス、菅が不動なのは、その能力が抜きん出ているからだ。

とはいえ、浅野がシャドーなどのFWタイプの選手ということはミシャも分かっている気がする。ではなぜWBで起用したのか。

それは中央とサイドではプレッシャーのかかり方が違うからだ。シャドーやボランチなど中央にポジションを取る選手は四方八方から、すなわち360°プレッシャーにさらされる。それがサイドに位置すると、背中はタッチラインなので180°のプレッシャーで済む。

受けるプレッシャーが軽減されることで、まずはコンサのサッカーに馴染ませようという思いがあったのではないだろうか。浅野についてはある程度経ったらシャドーでがっつり起用される気がしている。

浅野の例とは別だが、中央からサイドにポジションを移して花開いた選手はコンサの関係者で何人かいる。福森はボランチから左CBに、新潟の堀米はボランチからSB・WBにコンバートされて、今の地位を確立している。これはプレッシャーが軽減されたことで自分の持ち味を出しやすくなったこともあると思う。

空白の1トップ

今節は1トップにキム・ゴンヒが起用された。昨季、コンサの1トップは興梠がファーストチョイスで不動であり、次に出場機会が多いと思われるのは本来はシャドーであったガブリエル・シャビエルだ。しかしこの2人は退団してもういない。1トップは空白となり、キャンプからレギュラー奪取の戦場となっている。

コンサの1トップは求められる役割が多い。1トップを中心にコンビネーションを駆使して相手ペナルティエリアを攻略したいからだ。そのためゴールを決めるだけでなく、敵を背負ってタメを作ったり落としやフリックを丁寧に行う必要がある。

さてゴンヒである。この試合を見たところ、ゴールを背に向けたプレーはわりと苦戦していた印象である。それと比較してかもしれないが、前を向いたときの推進力や破壊力は期待させるものがあった。

昨季途中に加入し、はじめてゴンヒのプレーを見たとき「より器用かつ相手サポにうざがられない都倉賢」という印象を受けた。都倉も身体に強さはあるが、前を向いて前進させてなんぼの選手だった。

しばらくはゴンヒが1トップで起用されると思うが、ミシャのお眼鏡にかなうかはまだ分からない。他のFWにもまだまだチャンスはありそうだ。

この試合の札幌にとって最大のビッグチャンスが88分にあった。荒野の縦パスを小林が敵を背負った状態で受けて青木に落とす。青木は左後方からかけ上げる菅に流し、菅がミドルシュートを打ち、残念ながらポストに弾かれた。

このシーンでの前線の立ち位置を見てみると、荒野の縦パスに反応した小林が1トップの位置におり、ゴンヒは右シャドーに構えていた。本来の2人と立ち位置が入れ替わっている。

ここに問題を解決するヒントがあるかもしれない。興梠一人が担っていた役割をゴンヒと小林が都度入れ替わりながら分担しあう。こういう青写真も見えてくる。

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