乃木坂46を撮った意外な映画監督たち
この記事は、アイドルグループ・乃木坂46の映像作品を撮る監督に注目したものだ。
そもそも、乃木坂46は映像作品に力を入れているグループである。結成当初から「芝居のできるアイドル」を目指していることを運営は公言していた。MVなどの映像作品は、芝居の実践の場でもあり、乃木坂46の世界観を表現する場として機能している。
乃木坂46の映像作品で特異なのは、「個人PV」という狂気の企画だ。これは、CDの特典として収録されるもので、メンバー一人一人にそれぞれ監督をつけたショートムービーである。ジャンルはエログロを除いてなんでもあり。各監督の思うようにメンバーを撮っていく。金もかかれば労力もかかる。まさに秋元康とソニーのバックアップがなければ実現しないものだ。
今回は、乃木坂46のMVと個人PVに絞り、これらに携わった著名な映画監督を紹介する。今まで乃木坂46に興味がなかった方は、監督の名前を見て少しでも興味をもってもらえたら幸いだ。
黒沢清
最近でいうと、黒沢清が29枚目のシングル『Actually...』のMVを手がけている。
黒沢は、2020年に『スパイの妻』でヴェネツィア映画祭・銀獅子賞（監督賞）を受賞するなど数々の映画賞をとっている。まさに日本を代表する映画監督だ。他の代表作には、『トウキョウソナタ』や『岸辺の旅』などがある。
内容は、約20分にわたるショートドラマを交えたものである。惜しむらくは、乃木坂46の公式YouTubeチャンネルで予告編ですら公開されていないことだ。CDを購入しなければ、黒沢の作品を見ることができない。
今泉力哉
ここ数年、数多くの商業映画を制作している今泉力哉も乃木坂46にゆかりのある監督だ。代表作は『愛がなんだ』や『あの頃』などがあり、『窓辺にて』や『ちひろさん』が公開予定である。
まずMVでは、北野日奈子がセンターをつとめた『日常』を手がけている。
そして個人PVでは、なんと7作品を監督している。YouTubeに予告編が公開されているので紹介していく。
齋藤飛鳥
衛藤美彩＆桜井玲香
北野日奈子＆堀未央奈
堀未央奈
白石麻衣
相楽伊織
山下美月
ちなみに、今泉が監督している『パンとバスと2度目のハツコイ』と『愛がなんだ』には、元メンバーの深川麻衣が出演している。
山戸結希
『溺れるナイフ』などを手がけ、期待の若手監督として知名度の高い山戸結希も乃木坂46に深く関わっている。
山戸がはじめて手がけた乃木坂46のMVが、西野七瀬のソロ曲である『ごめんねずっと』だ。
このMVで乃木坂ファンから認知を得た山戸は、満を持して表題曲を手がけることになる。それが深川麻衣が最初で最後のセンターをつとめた『ハルジオンが咲く頃』だ。
このMVで深川とともにフューチャーされていたメンバーが、堀未央奈である。その後、山戸は映画『ホットギミック』で堀をヒロインに起用する。
山戸と堀の関係は、ソロ曲である『冷たい水の中』で続いていく。このMVの中で堀は、グループからの卒業を発表しており、二人の信頼関係がうかがえる。
沖田修一
『南極料理人』、『横道世之介』や『子供はわかってあげない』などを監督している沖田修一も乃木坂46のMVを撮っている。
大園桃子・齋藤飛鳥・与田祐希のユニット曲である『地球が丸いなら』だ。沖田は、乃木坂46に関わるのはこの作品のみである。残念ながら、YouTubeにはダイジェストも上がっておらず、シングル『ジコチューで行こう!』を購入しなければ見ることができない。
白石和彌
『凶悪』や『孤狼の血』などで数々の賞を獲っている白石和彌も乃木坂を撮っている。バイオレンスな作品を多く手掛ける白石との組み合わせは意外に思われるかもしれない。
齋藤飛鳥＆橋本奈々未
実は、白石と橋本は同じ高校（北海道旭川西高等学校）出身である。おそらくこの縁があって起用されたのではないかと推測される。
ちなみに白石は映画『孤狼の血 LEVEL2』では、元メンバーの西野七瀬を起用している。
内田けんじ
『運命じゃない人』や『鍵泥棒のメソッド』などを監督した内田けんじが、2022年現在最後に撮った作品は乃木坂46のMVである。生田絵梨花がセンターをつとめる『何度目の青空か？』だ。
山下敦弘
『リンダ リンダ リンダ』や『天然コケッコー』、『苦役列車』などを手がけた山下敦弘は乃木坂にとって重要な作品に関わっている。
生駒里奈がセンターの『君の名は希望』である。ファンにとってもメンバーにとっても乃木坂46の代表曲であり、秋元康の自信作である。
その後山下は、メンバーの秋元真夏・生田絵梨花・橋本奈々未を主役に据えて映画『超能力研究部の3人』を撮っている。
中島哲也
『告白』で多くの賞を獲得した中島哲也は、生駒里奈がセンターである『走れ！Bicycle』を監督している。