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現代医学の基礎②’

前回は、上皮&結合組織をやったので

今回は筋&神経組織を見ていく。

筋組織

収縮能力が発達した細胞たちの集まり。
筋細胞は細長い形なので、筋線維と呼ばれる。

特徴と分類

筋細胞は、
骨格筋・心筋・平滑筋
のどれを構成しているかによって
形や機能が違う。
※神経の名前とか分類もちょっと出てくるので、途中「え?」ってなったら、
先に神経組織をCHECK

【骨格筋】
 手足のように自分の意志で動かすことの
 できる筋肉。
 (=随意筋=体性神経支配) 
 骨格筋細胞は、
 ・多核横紋筋で、円柱状
 ・主に強縮(連続的な刺激による持続の
  長い収縮)している。
 ・他の筋細胞と違って疲れやすい

【心筋】
 心臓を動かす筋肉で、自分の意志で動かす
 ことはできない。
 (=不随意筋=自律神経支配)
 ・単核横紋筋で、円柱状枝わかれあり。
 ・規則的に単収縮(一回の刺激による
  一回の収縮)している。
 ・死ぬまで休まず働く心臓であるが、
  全身の血液の贅沢に使ってるので、
  エネルギー豊富で疲れにくい
 (体重の0.5%くらいの重さのくせに
  血液の5%は心臓へ)

【平滑筋】
 心臓以外の内臓(胃腸や血管など)を
 動かす筋肉で、内臓筋とも呼ばれる。
 もちろん、自分の意志では動かせない。
 (=不随意筋=自律神経支配)
 ・単核で横紋はなく、紡錘状
 ・強縮をしている場合が多い。

※心筋や一部平滑筋の自動能
 心臓や中空臓器(消化管や膀胱、子宮など)
 には、ペースメーカー細胞がいて、そいつが
 発信する信号は細胞間のギャップ結合により
 器官全体に伝わる。(機能的合胞体

筋細胞の種類


興奮収縮連関

「筋細胞が興奮すると筋収縮が起こるよ」
っていう話。

骨格筋は、筋線維が集まったもので、
筋線維の細胞膜をめくると、
筋小胞体(カルシウムイオン入ってる)や
T管(細胞膜表面が落ち込んだ管)に包まれた
筋原線維が詰まっている。
筋原線維は、
アクチンの間にミオシンが挟まった構造。
ミオシンの部分は暗く(A帯
アクチンの部分は明るく(I帯)見える。
これが交互になっているので、横紋状。
I帯とI帯の真ん中には仕切り(Z帯)があって、Z帯~Z帯を筋節サルコメア)という。
アクチンにはトロポミオシンというタンパク質が結合していて、興奮してないときはトロポニンによって動かないようにロックされている。

骨格筋の構造

これらの構造をもとに、
「筋細胞が興奮すると筋収縮が起こるよ」
を説明してみると↓のような感じ。

筋細胞が興奮すると
①信号はT管を通じて筋小胞体へ伝わり
②筋小胞体からカルシウムイオンが放出される
③カルシウムイオンがトロポニンに結合すると
 ロックが外れたトロポミオシンがずれて
 アクチンのミオシン結合部位が出てくる
④ミオシンの頭部がアクチンと結合して
首振り運動をすることによって(要ATP)
 アクチンがすべる
=筋肉が収縮する。
    「滑り説」
収縮が終わると、
⑥ポンプ作用でカルシウムイオンが
 筋小胞体に回収され(要ATP)
⑦ミオシンの頭部がアクチンから分離する
(要ATP)

興奮収縮連関
~実際頑張ってるのはミオシンだが、
A帯は動かずアクチンが動く~


~マッチョさんのクレアチニン~
筋肉ムキムキの人は
血中のクレアチニン値が高い。
筋トレすると腎機能悪化するのか!?
もちろん否。

ここまで見てきたように
筋肉は収縮にも弛緩にもATPが必要なため
運動には大量のATPが必要になる。
そんなわけで、
筋細胞はクレアチンリン酸やグリコーゲンを
ATP合成のストックとして持っている。
無酸素運動の初期(運動開始~10秒未満)は
ローマン反応(クレアチンリン酸+ADP
          →クレアチン+ATP)
によってATPを作る。
この結果できるクレアチンは、
肝臓で代謝されてクレアチニンになり、
腎臓でろ過された分が”そのまま”尿で
体外に排泄される。
そのまま=アシドーシス起こしちゃう水素や
     尿毒症起こしちゃうアンモニア
     みたいにわざわざ分泌してまでは
     排泄しない
なので、腎機能が悪くなってろ過率(GFR)が下がると血中濃度が高くなる。
一方、
クレアチンの絶対量が多くなるマッチョさんは普通に腎臓が働いてても、一定量しか排出されないのでクレアチニンの血中濃度は高くなる。
てことは…
筋肉が萎縮する病気である筋ジストロフィーでは、クレアチニンは低くなる。
ちなみに、
萎縮してできた隙間は”組織の隙間を埋める”でおなじみの結合組織がはりきって埋め尽くす。はりきりすぎて肥大したように見えることも。(仮性肥大


神経組織

情報伝達を担う細胞たちの集まり。
直接情報伝達を行う
神経細胞(ニューロン)
それをサポートする
支持細胞(神経膠細胞・グリア細胞)がある。

特徴と分類

ニューロンは、細胞体とそこから伸びる突起(樹状突起軸索)でできている。
神経系は中枢神経系と末梢神経系に分けられ、中枢神経系=脳・脊髄とシンプルだが、
末梢神経は
・伝える情報の種類によって
 体性(感覚・運動)神経・自律神経
・太さによって
 Aα・Aβ・Aγ・B・C線維
・感覚神経は、温度や痛みなど感覚の種類
 によって
 Ⅰa・Ⅰb・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ線維と分かれている。
※C・Ⅳは無髄線維なので伝わるのが遅め
(1m/秒くらいなので
  青信号ギリ渡り切れるかな?くらい)

神経組織の分類

支持細胞にも、
中枢神経系と末梢神経系がある。
【中枢神経系の支持細胞】
星状膠細胞:ニューロンを支え血管とつなぐ。
      血液脳関門も形成。
希突起膠細胞:髄鞘を作って伝達を補助する。
小膠細胞:食作用で異物から脳を守る。
     (中枢神経版マクロファージ)
上衣細胞:脳室の内面を覆う。

【末梢神経系の支持細胞】
外套細胞:ニューロンを支え血管とつなぐ。
(星状膠細胞の末梢神経版)
シュワン細胞:髄鞘を作って伝達を補助する。
(希突起膠細胞の末梢神経版)

神経細胞たち
~中枢神経Ver.~

~マクロファージの別名シリーズ~
単球が血液から組織に移動してマクロファージになるわけだが、
一部特殊な名前のやつらがいる。
小膠細胞(ミクログリア)
肝臓クッパー細胞
破骨細胞
破骨細胞は、機能的にもわかりやすい名前で
良いね(`・ω・´)b
と思うが、他に関しては、肺胞マクロファージとか胸腺マクロファージみたいに「いる場所+マクロファージ」くらいの命名にしてほしい。
と思ってGoogleさんに聞いてみたけど、
いまいちこれといった回答が得られず( ;∀;)
どうもミクログリアとかクッパー細胞は
単球からできるタイプのマクロファージじゃないっぽい?ので、そのあたりも関係してるのかしら?とか思ったり…
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/53/9/53_530917/_pdf/-char/ja
絶対試験には出ないが、へぇー。と思ったので書いてみた。

伝導と伝達

体の中の情報伝達は、
伝導伝達によって成り立っている。
・ニューロン内を電気信号で伝えるのが伝導
・ニューロン間を伝達物質で伝えるのが伝達
 (シナプス)

伝導と伝達
~神経と神経だけじゃなく
筋や腺細胞との接合部もシナプス~


【伝導】
伝導は、
絶縁性(近くのニューロンに伝わらない)
不減衰性(興奮の大きさが一定)
両方向性(生体外の話)
     ※生体内では順行性伝導
に伝わる。

~活動電位の発生と伝わり方~
細胞内は、イオンポンプ(ナトリウムイオンを外にカリウムイオンを中に移動させる)
によって負に帯電している。
静止電位-90~-60mV
これが正の方向にいくと
活動電位が発生して伝導が始まる。

ちょい詳しめに見ると…
神経細胞への刺激によって
①一部ナトリウムチャネルが開いて
 細胞外からナトリウムイオンが流入
 一定レベル以上の電位になると
 電位依存性のナトリウムチャネルが開いて
 ナトリウムイオンがめちゃ流入し 
 脱分極(細胞内が負→正)が起こる。
 オーバーシュート(細胞内が)がおこると
②神経細胞のカリウムチャネルが開いて
 細胞内からカリウムイオンがめちゃ流出し
 再分極(細胞内が正→負)がおこる。
※途中勢い余って過分極(細胞内がめちゃ負
 する
隣り合った細胞膜上で
「①②①②①②①②①②…→神経終末」
と地道に繰り返して
軸索内を信号が伝わっていく。
髄鞘がある場合は、跳躍伝導がおこる。
「①②ーε≡≡ヘ( ´Д`)ノー①②→神経終末」
てな感じでイオンの交換頻度が少なくて速い。
※活動電位の発生は『全か無の法則』に従う。
(閾値以上の刺激がないと何も起こらないし、閾値以上ならどんなに強くても同じ活動電位)

伝導の流れ
~軸索の途中を刺激すると両方向に伝わるけど、生体では細胞体とか樹上突起で信号受けとるので一方向~

【伝達】
伝達は、伝導と違い
一方向性に伝わり
可塑性(使用頻度による伝達機能の変化)
がある。
神経伝達物質でのやり取りをするため、
シナプス遅延(約0.2m秒)
易疲労(伝達物質が枯渇)
といったことが起こり
・酸素不足や薬物の影響を受けやすい

~神経伝達物質とシナプス後電位~
伝導による信号が
シナプスを介して次のニューロンに伝わる。

ちょい詳しめに見ると…
電気信号が
シナプス前細胞の神経終末に伝わると、
①カルシウムチャネルが開いて
 細胞内に流入したカルシウムイオンを
 シナプス小胞のセンサーが感知、
 末端の細胞膜に移動して
 開口分泌により神経伝達物質を
 シナプス間隙に放出する。
シナプス後細胞のシナプス下膜にある
受容体が神経伝達物質を受け取ると
②興奮性の場合
 ナトリウムチャネルが開いて
 細胞外からナトリウムイオンが流入し
 EPSP(興奮性シナプス後電位)発生
②抑制性の場合~シナプス後抑制
 塩化物イオンチャネルが開いて
 細胞内から塩化物イオンが流出し
 IPSP(抑制性シナプス後電位)発生
後抑制があるってことは、
シナプス前抑制もある。
こっちは、
シナプス前細胞の神経伝達物質を減らす。
=EPSPが小さくなる

伝達の流れ
~塩(NaCl)って必要なんやなって感じるイラスト~

※EPSPやIPSPは荷重により大きくなる。
 空間的荷重:たくさんのシナプス前細胞
       から伝達
 時間的荷重:ちょっとずつ時間ずらして
       何回も伝達

長々書いてきたが、
テンション低めの細胞(静止電位-)が
陽イオンで+方向にシフトすると
興奮して情報を伝えて
陰イオンで-方向にシフトすると
やる気なくして伝達しないって話。


てなわけで、
やっとこさ細胞とか組織の基礎的な話が終了。
最後神経組織の話だったので、
途中になっていた末梢神経に戻りたいと思う。


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