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住宅展示場は夢の国(東京⇄岐阜の遠距離婚夫婦、家を買う#4)

↓こちらの記事の続きです。でも多分ここから読んでも楽しめます。

土地探しでてんやわんやの中、もう一つ重要な決断が残されていた。

それはハウスメーカー。
つまりどの会社で家を建てるかである。

住宅相談カウンターで予算やいくつかのハウスメーカーを教えてもらった後、私達はさっそく岐阜県の住宅展示場を訪れていた。


展示場に入ると、各ハウスメーカーが建てた家がズラリと並び、小さな住宅街となっている。
違和感があるとすれば、どのモデルハウスもそこら辺で見かける住宅の1.5倍はある大豪邸な点と、玄関口で営業のお兄さん・お姉さんが「どうぞご覧ください〜」と風船を片手に手招きをしている点だ。

忘れてはいけない。
ここはマイホーム希望者にとって夢がはち切れんばかりのテーマパークであると同時に、ハウスメーカーの狩り場であることを。

本日の最重要タスクはカウンターで紹介された3つのハウスメーカーの家を見ることなので、そこだけを目指してズンズン進む。


「おっ、ここかな?」

メーカー名を掲げた旗が目に入り、そのままススス…と目線を上げると、どう考えても二世帯住宅サイズの家がそびえ立っている。
モデルハウスはすべてデカいが、さらにもう一回りデカい。

ジブリの背景を切り取ったかのような緑豊かな庭の向こうは、「大学教授の家」といった感じのシックな家具が並ぶ巨大LDKだ。

この家、イキりすぎだろ…。

窓ガラスが大きすぎて南側がほぼスケスケなのはモデルハウス仕様なのか、それともこのメーカーで家を建てる人はキャミソールとパンツでリビングをうろつかない人種なのか。

もしそうだとしたら、もう私に門をくぐる資格は無いのだが、一回くらい夢を見せてもらおうじゃないか。


玄関ドアを開けると、そこには私が住んでいる1Kほどの面積の玄関ホールが広がっており、室内に続く玄関が二手に分かれている。

「ファミリー玄関」だ!
来客が頻繁に来る家では、メインの玄関スペースと、家族が出入りするための小さめの玄関&収納スペースを分けて設けるらしい。
…というのは住宅情報誌から得た知識で、私は人を呼ばないし呼ばれもしないので実態は分からない。
とにかくそういう流行の仕様があるそうだ。

片っ端から扉をパカパカ開けて収納量を確かめたり、見本として置かれた靴や鞄を見て、用途をイメージする。
玄関にコートや鞄を置くスペースが確保されているのは、花粉症の自分にとってはありがたい。こういうスペースがあれば、ソファにバッグを放り投げる生活から脱去できるのだろうか。

「でも、コートの置き場さえあれば玄関を分ける必要はないよね」
「キャンプ用品や冬用タイヤは玄関に置きたいから、人が通り抜けられない収納庫の方がいいなぁ」

こういった会話も、今日の大事な目的だ。

住宅情報誌に「マイホームの工夫」として掲載されている仕様は、大抵が有料オプションだ。
そのため、モデルハウスでリアルなサイズ感と用途を確認しながら、「こんなものもあるのか!」という発見と「我が家には不要」の絞り込みをざっくりと済ませたかった。

会話しながら各部屋を回っていくと、我が家の方針が改めて見えてくる。
家事を楽にするオプションは共働きの我が家にはやはり魅力的だ。

特に食洗機!
引き出し型だと思い込んでいたが、扉が手前に倒れて丸ごと引き出せるフロントオープンなんてものがあるらしい。
飲食店のキッチンのように大皿もボウルもポイポイ放り込めそうで、思わず奥まで手を突っ込んでしまう。
値段は知らないがこれは決定。スマホに「食洗機、フロントオープン」とメモをする。

一方で、人が入れるサイズのパントリー(食品収納庫)や畳スペースは定番とも言える人気仕様らしいが、生で見てもそそられない。
収納庫の片隅で溶けていく野菜と、畳で爪を研ぐ猫が目に浮かんだ。


さらに2階へ登ると、寝室や子供部屋をイメージした個室だけでなく、フローリングの色見本や、耐震構造を説明するパネルが並ぶ。解説のためのスペースを兼ねているようだ。

旦那はこちらのスペースに夢中だ。

柱の特徴や耐震構造を説明する動画が流れる科学館のような一角で、じっと佇み注意書きを丁寧に読み込んでいる。
「耐震等級」「ZEH(ゼッチ)」…知らない用語がたくさんあるが、ここは旦那が得意そうな分野なので頼らせていただこう。

旦那は「記録」「カテゴライズ」「ランク」の類が大好きなのだ。
Excelでスマブラ(格闘ゲーム)の対戦記録をつけて、相手キャラクターやステージごとに勝率と振り返りメモを記録するマメさのある人だ。

そのうち、ハウスメーカーごとの耐震等級やアフターケアの比較一覧が出てくるだろう。


結局この日は5件ほどのモデルハウスを見たが、やはりカウンターで勧められたハウスメーカーはお高めだっただけあり良く見える。
仕様や耐震構造などのスペックを除いても「なんかいい感じ」なのだ。

土地の広さが倍くらい違うので間取りは再現できないが、木目をしっかり出したフローリングや石の質感のキッチンなど、家全体の雰囲気にグッと来るポイントがある。
あの、やや和風とも言える落ち着いた感じはどうにか真似したい。

一方で後半に見たお手頃なハウスメーカーは、どうしても賃貸の部屋をただ広くしただけのような印象が強く、あまりときめかずに終わってしまったのだった。

間取り、仕様、耐震、内装、アフターケア。
土地だけではなく住宅についても考えることが増えていく。

そろそろ二人三脚で走るパートナーが欲しい、そんなタイミングでハウスメーカーとのオンライン打ち合わせ当日が来るのだった。

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