見出し画像

料理は発見 … いわしの干物

網代あじろ(静岡県熱海市)から売りにきている干物屋さん、姿を見ると嬉しくなります。サバ.アジ.フグなどいづれも味がいいのですが、特にお気に入りはイワシのしょうゆ漬けの干物。ふっくらとした身で脂がのってあっさりした醤油味、他では食べたことがない美味しさです。

買い物ついでにおしゃべりし、パクパク食べていただけでは分からない、いわしの干物にまつわる面白いお話を伺うことができました。



                          遠くかすんで見える漁港


かたくちいわし?


会話の再現を試みます。私は―線で、干物屋さんはM「」で表します。

ー この前いただいたイワシの丸干し、高知で食べたのとは違いふっくらして美味しかった。ほんと、違うもんですねぇ。
M「あぁ、それはイワシの種類が違うんですよ。高知のは固めのウルメイワシで、この前の丸干しは身が柔らかいカタクチイワシ。でも、好みによるので、噛みしめると味が出てくるウルメの方が好きな人もいますね。」

ー へぇ、イワシにも色んな種類があるんですか?
M「そうですね、日本で食べられるのはマイワシ.ウルメイワシ.カタクチイワシです。我家は代々カタクチイワシ専門の漁師をしてきたんですよ。でも、ここ4、50年は漁獲量がめっきり減って、それで干物屋になった。この前のイワシの丸干しも年に数回しか作れなくて、昔はもっと…」



シラス愛は郷土愛だけど …


ー ところで、前から不思議なのは、ここでしか食べられないっていうシラス、あっちこっちで聞くんですが、高知でも興津でも日本海側でも… あれは一体なんでしょうか?
M「… たぶん郷土愛でしょう。その土地で捕れたものは、その土地の最高の味だ、うちのシラスは美味しいよぉ。って感じじゃないのかな。」

ー ハハハ、そういうことか。なるほどね。
M「でもね、シラス人気はいいけれど、小魚を食べ過ぎて漁獲量が減るってこともあるんだよね。シラスはカタクチイワシの稚魚なんで。」
ー そうか、小魚やじゃこは体にいいと言われ、私もよく食べる…。でも、クジラもガンガン食べちゃうんじゃないのかな?なんせあの巨体だし。
M「確かに捕鯨禁止も影響しているのかもしれないけど、世界の流れだし…まぁ、上手に付き合っていくしかないんじゃないかな。」

ー そうですね、お話聞かせてもらい有難うございました。


                      焼きすぎないようにイワシの醤油干し


感 想


この干物屋さん、ホームページを見るとこじんまりしています。家族経営らしく手開きしたお魚を天日干しで仕上げており、保存料も着色料も使用しないそうです。丁寧な仕事の積み重ねが、美味しさになるのでしょう。

ただ気になるのは漁獲量の減少、ジャコ山椒が好きで手作りするのですが、これからは少し控えようと思います。代わりにマイワシの梅干煮とか作ろうか… まぁ、どちらにしてもイワシですね。

気づいてみれば、イワシはほんとに有難いお魚です。栄養豊かなそうですが、安くて美味しい。かつ、洋風にアンチョビにもなってくれる。これからも孫たちにも残せるように、上手に食べていきたいと思います。



                浜辺に群生する花


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?