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芋づる式 … 座布団の縦横から

「芋づる式」って、変なタイトルのシリーズを始めることにしました。日ごろの会話などでは話題があちこち広がりますが、連想ゲームのようで面白いし、たまに嬉しい発見をすることもあります。一つのきっかけから何か見つけられるか? お芋ではなく石ころばかり掘り当てるかもしれませんが、雑談気分で楽しんでもらえればと思います。


座布団は長方形

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     同じ座布団を90度回転して並べると…


恥ずかしながら、若い頃は座布団を正方形だとずっと思い込んでいました。カバーをはめようとしてやっと気づきました。クッションや業務用の小座布団は正方形ですが、それとすっかり混同しておりました。(座布団は10種類くらいあり、判の呼び名もサイズも様々です。)


決まりだとしても、なぜ長方形が多いのが不思議でした。調べてみると、正座した身体に沿う形に作られており、座る足がきれいに収まるように奥行を長くしているのだそうです。(縫い目のない輪になっている一辺が正面だそうです)そうだったのです。足の短い私は気づくこともなく、奥行浅く横長に座布団を敷いておりましたが… 


座布団の縦横などあまり気にしていなかったのですが、お客様とこんな話で盛り上がりました。丁寧に物事を見てみると、それなりの理由があったりします。そういえば、紙のサイズは結構ややこしいものです。



紙のA判、B判


困るのは、紙がA判かB判かについて区別できず、印刷でよく失敗することです。こちらは縦横比ではなく、基準になる大きさが違います。B判の面積はA判の約1.5倍です。

A判はドイツの工業規格に基づく国際的な紙の寸法の規格です。B判は日本独自の規格です。明治になると和紙にまじってサイズの異なる洋紙が使われるようになり、色々な不都合が生じました。そこで、それまで使われていた美濃和紙のサイズを元にB判が作られ、1929年(昭和4年)に日本工業規格としてA判、B判が定められたそうです。

ところで、A判、B判も共に縦横比率は1:√2(約1.4)です。これは白銀比(はくぎんひ)ですが、黄金比ほどは有名じゃありませんね。

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                       お椀 巾14cm÷高さ9cm ⇒ 約1.4 白銀比



黄金比と白銀比


美術の授業で最も美しい比率として、黄金比(縦横比率 約1:1.6)を教えられました。代表的なものとしてクフ王のピラミッド、パルテノン神殿、ミロのヴィーナスなど。じゃあ西洋美術にしか美しい比率はないのかなと、そのころ私は少し疑問でした。

「縦横比1:1.6」はBC4世紀頃のギリシャの彫刻家により発見され、19世紀に広く知られるようになりました。これは美を構築する神聖なる比率だとして、「黄金比」と名付けられました。そして、その黄金に準じるものとして「縦横比1:1.4」は「白銀比」とされました。(ちなみに上記の比率は貴金属比とも呼ばれ、続いては青銅比で… あ、オリンピックのメダルと同じ)

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 五層目と一層目の屋根の長さを比べると白銀比になっています(法隆寺)

明治以降に翻訳されこれらの名称が使われるようになりましたが、もともと日本には白銀比の美しい物があったのです。法隆寺の搭や回廊や仏像などです。とはいえ、生活の中には黄金比も白銀比も混在しています。例えばカードや名刺は黄金比でデザインされています。ただ、わが国で好まれるのは白銀比が多いそうで、嬉しいことに大和比と呼ばれることもあります。(ドラえもんやキティちゃんなど、今時のキャラクターにも多いのだとか)

黄金比はらせんにも通じ動的、白銀比は落ち着いて静的と言われます。物差し片手に、身近な美しい比率を探すのも面白そうですね。


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時には日本文化の根っこに思いをはせるのも興味深いと思います。気づいてみれば、私たちの顔も白銀比らしいので。


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     顔の縦横比ほぼ1.4(美的じゃなくすみません。例外はつきもの)



次回は、「料理は発見 … 和食の日」です。

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