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DaBaby - 『KIRK』 (2019)

ライター:清水ダマロン

はい。
皆聴いたこのアルバムです。

DaBabyは1991年生まれ(2019年現在27歳)、J. Coleと同郷のノースキャロライナ出身のラッパー。
2015年にBaby Jesus名義での1st mixtapeをリリース後、同年のSXSWでのタフすぎるパフォーマンスが話題に。
その後mixtapeを着々とリリース、今年Dropされた"Suge"(『Baby on Baby』収録)がそのMVの内容と共に超バズを起こし、登竜門でもあるXXL Freshmanにも選ばれ、現在のキャリアを築いています。

自身のステージネームにあるBabyをもじった戦略と、コミカルなキャラクターを前面に打ち出していてなんとも良い意味でも悪い意味でも現代っぽいふざけたラッパーな雰囲気もあるが、特筆すべきは超オリジナリティーのあるフロー!
リズム感が尋常じゃない。16分と三連符の織り交ぜ方が最高に気持ちいいというか。ラップのリズムという意味で圧倒的偉業を為したのはEminemだったりE-40だったりといるが、DaBabyはトラップ以降のフローとしてマジで次のステージに持ってきている気がする。

概要はこの辺で。
2019年、DaBabyは2枚のスタジオアルバムを出しました。3月に『Baby on Baby』、9月に『KIRK』。
俺はこの2枚目の『KIRK』が楽しみで楽しみで仕方なかった。
なんでって、まぁ細かい話になるんですけど、2枚のリリースの間にDaBaby当人の父親が死去しているんですね。不謹慎な話ではあるけども、アーティストがどうしようもない悲しみに打ちひしがれたときに出した表現というものは大抵めっちゃ輝いてるから。
そこに自身の本名を冠した『KIRK』というセルフタイトル。セルフタイトルって一生に一回しか使えない必殺技なんす。たまに2とか付けるズルもあるけど。とりあえず気合が入ってる時しか使えない。
そして『KIRK』からDropされた1se single "Intro"。これが本当にやばかった。出た瞬間に30回くらい聴いて普通に泣いてしまった。
というわけでここからレコメンドトラック。

1, Intro

はい。
亡き父と、上り詰めた自分を取り囲む環境についてSpitする、DaBabyにとって初めてといってもいいシリアスなガチ曲。
ボースティング抜きの等身大の心情を吐露するそのリリックは本当に涙モノ。
Hookの


Don’t give a fuck about the world, just ‘bout my people
I don’t care what the fuck they told you, we ain’t equal
Niggas ain’t cut from the same cloth, these niggas see-through
And I be too busy doin’ me to see what he do, nigga

っていうラインの言葉遊びとライミングは鳥肌。
ぜひGeniusでチェックしてみてください。

3, BOP

プロデューサーは2020年注目のJetsonmade。
BOPとは"めっちゃいい曲"のスラング。まぁボースティング。
曲中で同期といってもいいMegan Thee Stallionの名前もシャウトアウト。
笛使いが光る、まさにDaBabyらしい気の抜けたトラック。
MVも最高。Jabbawockeez出すのはずるい。

4, Vibez

こちらもJetsonmade。
MVサムネに撮られてるDaBabyの表情含め個人的に最高のアゲ。
6,7,8拍目のバウンシーなサブベースが内臓揺らしてくる。
アホではあるが、ワードプレイがめちゃくちゃ光る曲でもある。

6, Gospel
こちらはChance The RapperとGucci Maneと、DaBabyと同じく19年のFreshmanに選ばれたYK Osirisの3人が客演。
Chanceという人選と曲名から分かるゴスペルトラック。
Hookでは「親父が死んだ週に、Nipseyまで逝っちまった」と申すDaBaby。
Nipseyの名前出されるとほんと胸苦しくなるし名曲だと思っちゃうの良くない。
Verse 1を蹴るDaBabyのフローが、まさに冒頭で語ったリズム感の爆発。
ChanceとGucci Mane様はいつも通り。

9, Really
この曲にはDaBabyが率いるレーベルBillion Dollar Babyに所属する直属の弟子ともいえるStunna 4 Vegasが参加。
Tygaさんとかがやりそうなコテコテのアゲ曲。
とりあえずStunna 4 Vegasを聴いてほしくて書いてます。
上ずった声で少し粗いフローがストリート魂ガンガンって感じでめちゃくちゃ気持ちいい。2020年に期待。

11, Raw Shit
Migosの3人が参加。
QuavoとOffsetのやる気のなさがよくわからないが、安心と信頼の3rd Man(3rd Manではない)、Takeoffのverseが超かっこいい。

Ain't in a UPS or with the FedEx, but a nigga be packing it (Smash)
Ain't tryna brag or boast or tell 'em something they don't know
But a nigga be having it (Cash)

最高のライン。
Migos関わるとふざけちゃうからやめます。


ちょいちょい曲中で触れているBETのパフォーマンスはこちら。
まだまだあるけどね。今年のBETはマジでDaBaby独壇場みたいなところあった。

この辺で。
Juice WRLDのニュース最悪。
もう「RIP 〇〇」って簡単に言いたくないよ。
これ以上好きなラッパー誰も死なないよう、2020年、よろしく。

#レビュー #Hiphop #DaBaby #KIRK

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