【一人読み】君の好きな
性別不問 人称変更可 語尾変更可
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小さな喫茶店でことりと置かれた可愛らしいカップ。
ゆらゆらと美味しそうな香りを纏った湯気が私の鼻を擽ってくる。
カップの中では黄金色に輝く液体が「飲んで」とまるで私に語り掛けている気がした。
私はカップのふちからミルクを注ぎ砂糖を1つ落とす。
ゆっくりとスプーンを走らせると黄金色から伽羅色へと姿を変えていく様子にクスリと笑ってしまった。
1くち口へ含めると温かい甘さが広がっていく。
どこかホッとする甘さに私の心の傷は癒されていく気がした。
甘いものを口に運ぶと何となく塩味が欲しくなる。
君を紅茶と一緒に頼んでいて良かったと思いながらフワフワの君に手を伸ばした。
黄色や緑、桃色と多くの色を包み込む君をパクリと頬張ってみる。
シャキリと歯に当たる感触に私は拍手を送っていった。
食べ進めていくと口の中では舞踏会が行われる。
卵にレタス、ハムにチーズの心地よいステップに私の心も踊り始めた。
最後の一口を楽しんだ後に再度紅茶を口に運ぶ。
のんびりとした余韻を味わった後に私は向かいの席に目を向ける。
また一緒に来ようねと言ってくれたのに。
そこに大好きな君は居ない。
私はきっとここにまた来るのだろう。
君が大好きだったミルクティーとサンドウィッチを求めて。
おわり
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手に取って頂きありがとうございます。
大変短い小説になります。
拙い文字たちですが可愛がってくださると嬉しいです。
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