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【一人読み】私の恋は…

性別不問(女性推奨) 人称変更可 語尾変更可

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私は恋をした。
人生で5回目の恋。
相手は会社の近くにあるコンビニで働いている店員さん。
年齢はきっと私よりも年下で身長も私よりもちょっぴり高い人だった。
胸で輝いているネームプレートには『牧野』と書いてあった。

恋に落ちるきっかけは本当に些細な事だった。
仕事も終わり疲れた自分を癒すために立ち寄ったコンビニ。
いつもと同じプリンと紅茶をレジに出すと。
彼は「仕事帰りですか?いつもお疲れ様です」と笑顔で話しかけてきた。
純粋な瞳にあどけない笑顔。
私はその瞬間に恋に落ちた。
なんて単純なんだろう自分でも思う。

久しぶりの恋だったから。
なんて返して良いのか分からなくて。
私はただコクリと頷く事しかできなかった。
恥ずかしさから私は商品を受け取ると逃げるようにコンビニから離れた。
胸の鼓動は激しくて。
なんとなく懐かしさを感じた。

それから私は仕事帰りには必ずそのコンビニに立ち寄ることが日課になった。
買うものは決まってプリンと紅茶。
こんな行動が何か月経った頃だろう。
私はいつもニコリと笑ってくれる彼とちゃんと話してみたくて。
ありったけの勇気を持ってコンビニに向かった。
だけどそこに彼の姿が無くて…。
少々呆気にとられている。
彼はアルバイトを辞めたらしい。
就職するために地元に帰ったと教えて貰った。
コンビニの店長さんから。
「これ、あいつから」と小さな封筒を手渡された。
手紙かな?と胸を躍らせながら封を開けると。
大好きなプリンのクーポン券が1枚だけ入っていた。

私は小さな自分の部屋で大好きなプリンを口に運んだ。
涙があふれて止まらなかった。
初めて「牧野君…」と声を出して呼んでみた。
返事も笑顔も返って来るはずも無くて。
彼の笑顔が冷えた空気に浮かび。
静かに消えていった。
もっと早く勇気を出せばよかったな。
私の5回目の恋は思いを告げる前に終わってしまった。

おわり

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手に取って頂きありがとうございます。
こちらは他サイトで投稿していたシナリオになります。
拙い文字たちですが可愛がってくださると嬉しいです。

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