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【一人読み】地平線は続く

性別不問 人称変更可 語尾変更可

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多くの笑顔が溢れていた日。
夢や希望が輝いていた日。
世界は一瞬にして深い青に染まってしまった。
誰もが恐怖し、逃げ惑うなか僕は1人でその様子を見ていたんだ。
逃げたって変わらない。
焦ったって変わらない。
闇に染まることは誰にも変える事ができない現実。
神様が決めたことなんだ。

空は光を忘れたのか永遠に太陽は昇らない。
海は空腹の子供のように多くの大地を食べ尽くした。
陸地は闇と海水に負け植物たちはみな姿を消した。
周りに広がるのは荒れ果てた大地のみで先程まで聞こえていた多くの声はもう何処にもない。
そう聞こえてくるのは僕の湿った呼吸音と乾いた風が流れる音のみ。
あぁ。本当に1人になってしまったんだな。
落ち込み立ち止まっていても何も変わらない。
自分で自分を奮い立たせる。
僕は前を向かないといけないのだ。
唯一生き残った人間として。

僕は何日歩いたのだろうか。
真っすぐ。
ただ真っすぐに歩いてきた。
太陽が昇らないために気温は上がらず。
永遠に寒さが続く。
拾った上着を羽織っても。
瘦せ細った身には寒さが染みてくる。
恵みの雨も雪も塵が混ざりそのままでは口にすることもできない。
のどが渇いて目が霞む。

誰かいないのだろうか。
そんな希望を持っても…何も…。
いや。建物はかろうじて残っている。
でも僕が探しているものはそんなものじゃない。
僕は『命』を探している。
たまに見つかる埃を被った缶詰めや瓶詰めが唯一、僕の血肉になった。

1人がこんなに虚しく貧しいものだったなんて。
過去の自分に教えてやりたい。
「僕は、1人が好きなんだ。だから構わないでくれ」
今なら言える。
その考えは間違っていると。
仲間が欲しい…。
空腹は耐えられる。
だけど孤独は耐えられない。
会話ができなくてもいい。
贅沢はいわない。
温かさが恋しい。

僕は…。
今日も『命』を信じ歩き続ける。
何処までも続く地平線。
遠くで何かが動いた気がする。
あれは…夢か幻か。はたまた現実か…。

おわり
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手に取って頂きありがとうございます。こちらは他サイトでの企画に投稿していたシナリオになります。
拙い文字たちですが可愛がってくださると嬉しいです。

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