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総武中央押し合い圧し合い

休日においては中央線の客が、我ら総武線に流れ込んでくる。
迷惑な話である。
ただ、私の乗る駅の隣、中央線の通る駅で少し降りてくれるので、それを見るのは子気味が良い。
中央線は遅れるから嫌いである。
信じすぎると遅刻するのである。
日本に生まれて恵まれすぎたこの身は、なんでも時間通りに来るものと考えてスケジュールを夢想してしまう。失敗である。
電車はかろうじて、正確。
バスは、どうか。
バスは気ままな秋の空、移ろう女心(男も変わりゃしない)である。きままさの象徴である。
時間通りになんか来やしない。運転手のきまぐれ、信号、客の乗り降りのスピード、頻度なんかですぐ到着時間が変わってしまう。

バスは人情の乗り物である。
人に合わせるから、遅れもする。
人に寄り添ってるというより、人に左右されるのである。

電車は冷酷無比な乗り物である。
人も、線路にいたら、轢き飛ばす。
乗り遅れそうな者があっても扉は閉める。

電車、どうにも冷たくていけない。
冷酷かつ、混んでいるかつ、時間にルーズ。
速いから乗る、と人は言うが、そんなもので好きになるか。速くて好かれるのは小学校までである。

中央線のように、生き急ぐ癖に、結局時間に遅れる人生は、御免だ。

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