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高知の八彩帖(ヤイロチョウ)15・「アイスクリン」

 かつてとある会社のサイトに連載していたショートエッセイです。高知のあれこれを書いています。

 今回のテーマは「アイスクリン」。夏はもう終わりに近づきましたが、高知では道端でアイスクリンという冷菓を売っています。お値段は¥150〜¥200と良心的。お祭りでは¥300と、ぼったくり価格になります(笑)。

  ひんやり冷たくシャリっとした食感、さっぱりとした風味のアイスクリン!いろんな味があるけれど、やっぱり定番のバニラが一番かな♪……ん?バニラ⁉︎

 ご存知の方も多いかと思いますが、あの風味はバニラではなくバナナ香料で付けているというのは、いつぞやテレビで見た情報。知るまではずっとバニラだと思い込んでた私。いずれにせよ、美味しく食べられることに変わりはないんですがね。

 このアイスクリンみたいな露天アイス屋(というのか?)。高知県だけのものではない。有名なのは長崎の「チリンチリンアイス」。意外なところでは秋田の「ババヘラ」。

 ババヘラなんて不思議な名前の由来は、婆さんがヘラでアイスを盛るかららしい。若い女性だとアネヘラになるとか。ジジヘラやアニヘラがいるのかは不明(当社調べ)。

 ちなみに高知のアイスクリンは半月状のディッシャーですくうが、ババヘラはヘラですくうため「バラ盛り」という飾り盛りができるのだ!上手な人は息をのむほど綺麗なバラを形作る。映えますね〜。

 アイスクリンといえば、昔はコーンにかぶせるフタがあったと思いませんか?今でもあるんだろうか。フタ付きのアイスクリンは特別感が増して、より美味しく感じられたものだ。

 あとは子どもの頃の疑問で、なぜ大人は最後にコーンの端っこを捨てるんだろうと思っていた。あそこがカリカリとして1番美味しいのにもったいないと、子ども心には謎だった。

 今思えば歩きながら堂々とアイスクリンを食べられるのは、子どもの特権だったような。大人になってしまったら、食べ歩きなんて気恥ずかしくて出来ない。ほのかに甘いアイスと記憶が、夏空の下で溶けて行く。

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