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"cent mento tent" in daphnegallery

DaphnegalleryKOZA(ダフネギャラリーコザ)に初めて行けた。沖縄市に新しいギャラリーができたのは、知っていたがタイミンクがあわず、やっと行くことができました。
ギャラリーは広く、外光が綺麗に入る気持ちの良い明るいギャラリーでした。

ダフネギャラリーでは、”cent mento tent”の展示最終日でした。
めんどうくさがりで緊張しいの写真家大屋玲奈さんと、中古品リサイクル品回収に一生懸命のtatottanさんによる展示でした。


外光が気持ちよい、展示スペースに入ると左の壁面いっぱいの写真と小さなポッチのオブジェ。右の壁にはボルトを形どったオブジェと壁に一列に並んだ写真でした。
今回の写真は、線と面と点を撮る写真屋さんこと大屋玲奈さんの作品。オブジェは、点と点に魅了されたおっぱい屋さんtatottanさんの作品とありました。
tatottanさんのオブジェは、何を表現しているのかわかっておらず、現代アートだな、左のオブジェにあたる光具合と影がきっと作品のポイントなんだろうとみていました。ボルトの意味は良く分かっていなかったが、その造形の良さに感心していた。
この文章を書き始めて気付いたのですが”cent mento tent”は”線と面と点と”だったんですね(笑)

前置きが長くなったが、私も写真屋の端くれ、視線を写真に移動させてじっくり見させてもらいました。
この日はcent mento tentの展示の最終日、大屋玲奈さんが在廊していたので、話ができました。これがよかった。

まず、一列に並んだ写真。大屋玲奈さんは普段は家族の写真を撮っているが、今回は建物を中心に作品を作っていました。
建物全体やその一部分を切りとり、直線的な幾何学的な構図や道のタイルなどの模様で構成された写真は見応えがあった。団地の写真や県立博物館・美術館を撮った写真は力強く、見入るものがあった。
反対の壁面の写真群も展示に迫力があった。A4サイズのプリント10×10で構成された写真は個性豊かでよかった。最初の壁面にあったような建物の幾何的な模様の美しさや面白さを表現した写真だけでなく、シーサーあり、タイル模様あり、よくわからないが不思議な模様がありとバリエーション豊かな写真がぎっしりと並び、1枚1枚も楽しかったが、展示の構成も見る者に飽きが来ない工夫された展示でした。見ていてとても楽しい。
直線で構成した建造物は、部分をみる、全体を俯瞰してみる、光の入り具合で幾何的な美しい模様が見えてくる。美しい建造物は美しい幾何模様によって構成されている。普段は意識することはほとんどないが、それを的確に捉え、作品とすることで、着物の柄を連想させる美しい幾何模様が身近に存在することに気付かされる。人間の造形に含まれた美を実感することができた。タイトルのとおり、人が作り上げる造形美、線と面で構成され、街の中に点在するそれらを的確に捉え、つなぎ合わせることでる造形美のアートになっていた。



通常ならここで終わりなのですが、今回、大屋玲奈さんと話を聞くことで、展示の別な側面を知ることになり、まったく別な視点で一層楽しむことができた。
話を聞くまでまったく気付かなかったですが、大家さんの写真は建物をメインに撮りつつも、一緒に個展をしているtatottanがテーマにしている”おっぱい”を意識して写真を撮っていたそうです。お互いのテーマをクロスさせた作品が今回の展示で行っていたそうです。
お恥ずかしいながらまったく気付きませんでした。
一番下の段の左から4番目の写真が乳首を連想して撮った写真だと言われ、やっと気付きました。


一つ教えてもらうとその左隣の写真もそれを連想させるし、浦添美術館の屋根の連なりもおっぱいをイメージした写真だと気付くし、ポールの並んだ写真も同じようなイメージした写真であることに気付く。マンホールが2つの写真も、右から列目、下から4段目の白い写真もそう。大屋玲奈さんの一言で、作品群をより楽しく見ることができた。
そして、浦添美術館の屋根を胸との連想や最初に乳首をイメージした写真など、彼女のイマジネーションの豊かさを感じた。
これを知ることで、作品の中にあるおっぱいを探す、まるで宝探しをしているような気持ちになり楽しくなったし、tatottanさんのボルトや小さなポッチが沢山ある作品もが乳首の連想であることに気付くことができた。言われると納得したが、ボルトの並びと胸の連なりを連想するイマジネーションの豊かさに感心した。
強いて言えば、もう少し分かりやすいヒントがあればと話をしたが、それは気付くことができなかった自分のいいわけだったかも知れない。
さらに気付かされたのだが、最初に教えてもらった乳首の写真は、男では撮れないのではないと感じた。
おっぱいから連想する胸は女性の胸。男の胸、乳首を連想する者もいるだろうが、大勢が女性の胸を連想するでしょう。浦添美術館の屋根を胸と連想している点からも女性の胸がイメージの根源にあることが感じられる。
最初の紹介された乳首の写真や白い写真は男の胸よりも女性の胸に近い。それは、大屋玲奈さんが女性で身近な身体として接しているから気付くことができた視点だと思う。私も言われることで気付くことはできたが、大屋玲奈さんと同じ被写体を見ても、胸や乳首をイメージしてシャッターを切ることはできないし、気付くことすらできない。女性らしい感性で撮られた作品だと実感しました。
こう言っては何だが、男も子どもも本能的に女性の胸が好き。きっと母親をどこか連想するんだろうね。
子どもに、この中におっぱいがあるよと言ったら、きっと楽しそうに”ここにもあった”と言って喜ぶ姿が想像できる。
大屋さんのおっぱいを連想させる作品には女性らしい優しい視点とユーモアが溢れているから、子どもが喜ぶ姿が想像できるのだと思う。優しさとユーモアに溢れた楽しい作品でした。

「この展示の秘密を知ったらなんでもおっぱいに見えるようになりますよ。」
大家さんが言ったこの言葉、耳に残っていました。
そして、その通りでした。
ギャラリーの帰り道で見つけたおっぱいです。
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