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『ゲームエッセイ』カンパイした夜。#いい時間とお酒。「スーパーマリオブラザーズ」

ぼくはお酒が飲めないしお酒は飲まない。
今までも飲みたいと感じたことはないし
これからも飲まないだろう。

お酒に注ぐ時間が見つからない。

以前の勤務先で超絶イケオジのKさんがいた。
物静かで口数も少なく、
仕事もデキるし、上司からの信頼も厚く
甘いマスクで女子社員にもモテにモテていた。

元々のスペックが高いのもあるのだけど
聞き上手でついつい色々なことを
話したくなってしまうステータスを持っており
なるほどこれはモテるわ、とカンパイした。

ある時休憩中のKさんとお話ししていると
「コケ、ゲーム好きなんだろ?ウチに来いよ」と
誘われ、ホイホイついて行くことになった。

なんでもKさんのパートナーは
めちゃくちゃ「マリオがウマイ」とのこと。

ゲーマーとしてはチェックしないわけには
いかない!!し、勉強にもなりそう。
わずかにぼくのウデもみてやろうとやましい
思惑もアリ。




Kさんのご自宅は当時住んでいた
ぼくも家から歩いて5分と超ご近所。

デキル男の生き仏みたいなKさんは
もっと豪勢な住宅かと思いきや、意外や意外
とても質素で静かな暮らしをしている。

お部屋も最低限の家具しかなく、派手さもない。

「あらいらっしゃい!!」ととても華やかな声で
お出迎えされた。明るい雰囲気で、華がある。
この方がパートナーさんで、マリオの達人。

Kさんにわからぬよう静かに
闘志を燃やしているぼく。

さっそくご案内されたお部屋。
そこには質素なお部屋からは想像も出来ないほどの「マリオ・マリオ・マリオ」グッズ!

この世の全てのマリオがここにあるのではないかと、思えるほどマリオに溢れていた。

なんせ壁紙が「マリオの背景」なのだ。
カラーコピーして拡大して…一枚にして…と
途方もない工夫をしてお部屋をマリオ使用に
している。

・・・負けた。
カンパイだ。マリオスキがここまでとは…!!

パートナーさんにさっそくマリオを
プレイしていただき、あまりのテクニックに
空いた口が塞がらない。

パーフェクトウィンだ。
勝ち目なんかなかったわ。

ぼくもマリオには自信があったが
さすがに神の領域。上には上がいるって
ほんとなのだ。さすがに凹んだなぁ。

人知れず落ち込むぼくをよそに
Kさんはお楽しみタイム。

最近ハマっている日本酒を持ってきている。

「コケは酒飲まないんだろう?」
「まったく飲まないです。」

「俺さ、嫁のマリオを見ながら酒飲むのが
好きなんだわ。」

お…お酒とマリオ!?

「ちょーウマイだろ!?嫁のマリオ見ながら酒ってすげ〜贅沢な気持ちになるんだ。」

普段、静かにお仕事をしているKさんの顔からは
わからない、幸せオーラが滲み出ている。

「この人、毎日マリオやれって言ってくるのよ!
だから上手くなったの!」

「毎日…!!ジゴクですね…!!」

「好きだからいいんだけどね。最新作もやりたいのに、ファミコンばっかりやらされるの!自分でやればいいのに!」

「俺のウデ前見せてやるよ!酒飲んだらな!」

・・・見事すぎる下手さだ。

めちゃくちゃヘタですごく笑った。
あえて言わせていただくと、センスない。

お酒がまわってきてコントロールできないと
言い訳しているけど、ぜったいちがう!!

夜遅くまでマリオをサカナに
お酒がすすんだKさん。

毎日マリオを楽しみにしているんだ。

マリオグッズの囲まれてマリオのBGMに
酔いしれながら毎晩ゆったりしたお酒を
嗜んでいる。

職場のKさんからは想像も出来ないほど
おしゃべりで、たのしそう。

お酒は飲まないし、飲みたいとも
お思わないのだけれど、
お酒を飲める人が羨ましいなぁとすこしばかり
感じた冬の夜。

苦労の末みごと2-4をクリアした
Kさんに乾杯!!

コケでした〜。


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