〔ショートショート〕桜回線
同い年のユウジと付き合ってもう二年。私も今年で30才、そろそろ奥の手を使うか。スマホから電話をかける。
『プレミアム回線サービスです』
「あ、桜回線お願いします」
『お相手の電話番号は?』
私はユウジの番号を告げる。
『では、お繋ぎしますのでお話しください』
呼び出し音の後、ユウジが電話に出た。
「どうした?電話なんて珍しいな」
「あんたが何日も既読スルーするからよ!」という私の言葉を、桜回線が変えていく。
『あ、連絡ないから体調でも悪いのかと…』
「いや、心配させてごめん。