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私のショートストーリー

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自作のインスタントフィクションやショートストーリーをまとめています。
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記事一覧

〔ショートショート〕真夜中の万華鏡

真夜中にこの万華鏡を覗いてはいけないと、先生は言っていた。物静かで、細い指が綺麗だった美…

ネコハル
3日前
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〔ショートホラー〕足音

夜道は嫌いだ。特に静かな住宅地で、シンとした空間に自分の足音だけが響くのは、不気味だし心…

ネコハル
6日前
30

〔ショートストーリー〕こどもの日

「子どもの日、どこか行きたい所ある?」 母が私に問う。高校生にもなって『子どもの日』とい…

ネコハル
6日前
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〔ショートストーリー〕小さなオルゴール

きっかけはYouTubeだった。大学で付き合いだした有香とふたり、いつものように廃墟や心霊スポ…

ネコハル
10日前
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〔ショートストーリー〕黒い鍵

アパートで目覚めると、もう正午近くになっていた。平日の昼間、天気も良い。理由もなくこんな…

ネコハル
13日前
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〔ショートショート〕常春の地

もう嫌だ。 会社の業績悪化で僕は切られ、次の派遣先も見付からない。全財産は財布の二万円。 …

ネコハル
2週間前
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〔ショートショート〕オバケレインコート

「この脱出ゲーム、イマイチだな」 思わず呟く。謎解きは強引だし、タップしても反応が悪い。さっさと終わってアンインストールしたいのだが、最後のアイテムが手に入らない。何だよ、『オバケレインコート』って。あちこちの棚や引き出しを開け、片っ端から探しても見付からない。見張りに気付かれずに脱出するためには、必須のアイテムなのだが。 どうしても見付からず、とうとう攻略サイトに頼ってしまう。なになに、お化けを呼び出すためにお化けダンスを踊れ…?はあ?分かるか、そんなもん!そりゃ、選択肢

〔ショートストーリー〕#祈りの雨

2階の窓から見える、重苦しい灰色の空。早く、早く雨が降ればいいのに。傘を差しても濡れてし…

ネコハル
3週間前
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〔ショートストーリー〕ミニチュア・トリガー

風車のミニチュアが、机にちょこんと無造作に置いてあった。これはあのテーマパークで、開業10…

ネコハル
3週間前
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〔ショートショート〕深煎り入学式

今日は久美の入学式。真新しい制服を着てダイニングに入ってきた久美は、何だか大人っぽい。 …

ネコハル
4週間前
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〔ショートストーリー〕卒業

卒業の条件は、誰にも知られないように一人の「悪人」の命を奪うこと。方法は自由、期限は今日…

ネコハル
1か月前
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〔ショートストーリー〕Change

変わる時が来た。ただ耐える日々はもう終わりだ。朝食を食べ終わると、僕はいつもの度の強い眼…

ネコハル
1か月前
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〔ショートストーリー〕たった一人

始まりはいつもと同じようなケンカだった。 「何でまた勝手なことしたの!」 怒る私に、陽子は…

ネコハル
1か月前
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〔ショートショート〕桜回線

同い年のユウジと付き合ってもう二年。私も今年で30才、そろそろ奥の手を使うか。スマホから電話をかける。 『プレミアム回線サービスです』 「あ、桜回線お願いします」 『お相手の電話番号は?』 私はユウジの番号を告げる。 『では、お繋ぎしますのでお話しください』 呼び出し音の後、ユウジが電話に出た。 「どうした?電話なんて珍しいな」 「あんたが何日も既読スルーするからよ!」という私の言葉を、桜回線が変えていく。 『あ、連絡ないから体調でも悪いのかと…』 「いや、心配させてごめん。