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~ひかりのうま銀行券~

ここに来て軒並み都内のライブハウスが臨時休業したり、
予定されていたliveがこれまでのようにチラホラでではなく、
連日中止になったりしているけれど、
それはおそらく、先週末28・29日の首都圏での外出自粛要請をきっかけにしたというよりも、
4月1日に判明した、都内のあるライブハウス(報道によれば、LOFT HEAVEN)での集団感染の影響だろう。

そのあたりから、やっとこれまでなんの対策表明も公にはしてこなかった各ライブハウスも、
除菌しているだの、換気しているだのHPでうたうようになったが、
私から見れば、多少遅きに失したような。

というのは、前から小出しに報道されてはいたものの、
空気中に浮遊して残るという、マイクロ飛沫による感染の可能性を、
メディアがこのとこ強調して言い立てるようになったからで、
そうするともう、一定の時間重たい扉で密室になることが避けられないライブハウスなどは
(まあ、実際はライブハウスに限ったことじゃなくて、カラオケボックスだって、会議室だって同じことなんだけどね)、
どうしたって、感染リスクが高い場所であることを否定するわけにはいかない。

もう少し前だったら、そういったリスク軽減策を取ることでなんとか続けられるかもしれないと思われた各liveやイヴェントも、
これはしばらく――というのは、ワクチンや特効薬ができるまでなのか、それともその前に流行終息の兆しが少しでも見えるまでなのか――やらないほうがよさそうだ、という気になるのは、店に限らずミュージシャンだって変わりはしないだろう。
(もちろん、そうではない店も人も相変わらずいるのは知っている。事情はさまざまだと推察する)

ということで、感染者を出してしまうよりはいっそ、と、
次の自粛要請の目安となっている12日(日)まではとりあえず臨時休業とする苦渋の決断をした店が現在いくつも出ているわけだが、
なら、12日まで休業すればコロナの流行は抑えられるのか、と言えば、
連日都内での感染者数が増加しているこの数日、それは状況からして考えにくい。

それで、それとはまた別に、
要請どおりに休業するから金銭的な補償をしてほしい、と、
行政に休業補償を求める「SaveOurSpace」のような署名運動が起きたり
(署名30万突破と公表)、
YouTubeの課金投げ銭システム「Super Chat」の利用資格の取得を目指して、
動画配信を始めて、将来の収入の足しにしようとするライブハウスもこれまたいくつも出てきている。

私も自分のかかわってきたライブハウスなどが立ちゆかなくならないように、
自分のできる範囲でなんらかのことはしたいのだけれど、
私の考えでは、せめてもの店の一助に、と、この状況下でliveを企画することは、
感染の可能性を広げてしまうことにつながるので避けたいし、
通常のバー営業も兼ねている店なら、お酒だけでも飲みに行けばいいのかというと、
やはりそれも今は自粛を求められている、感染を広げかねない行動に当たってしまうのと、
そもそも、私はそんなにお酒を飲まない(飲みたいという気持ちになることがほぼない)ので、
そのような行為ではささやか過ぎてろくに店の助けになりそうにない。

などという気持ちを抱えてもやもやしていた矢先、
5年前に開業してからずっとliveをさせてもらってきた、
大久保の「ひかりのうま」の支援のお願い、に出合った。

「ひかりのうま」は「ひかりのうま」だけで通用する、「ひかりのうま銀行券」を発行するそうだ(「ひかりのうま」が存続している間は無期限で有効)。
そして、当面のところ、4月いっぱいは休業することを決めたという。

✴︎大切なお知らせ
ひかりのうまは新型コロナ禍をかんがみ、2020年4月末まで休業いたします。(状況に応じて延長もありえます)つきましては当面のご支援をいただきたく、営業再開後にひかりのうま店内で使用できるひかりのうま銀行券の販売をいたします。

※出典:音楽と珈琲 ひかりのうま

(トップ画像はその「ひかりのうま銀行券」[見本])

これなら私も支援しやすい、と思ってさっそくネットで購入。
「ひかりのうま」が再開した時に、誰かのliveを見に行く時に使えるし、
自分のliveをする時にも、追加のドリンクが飲みたくなった時などに使える。

いさぎよく休業することにして、
さらっとご支援をいただきたい、と言っているところがまたいい。
自身もミュージシャンである店長のマルタさんの人柄が感じられるというものだ。

きっとこれまで出演してきた人たちや、
「ひかりのうま」の雰囲気を好きな人たちが、こぞって購入するだろう、と思ったら、
ツィッターによるとなかなか反響がいいらしい。

もちろん、小規模な店だからこそできる切り抜け方で、
維持費に一月何百万もかかる中規模以上の店ではできないことかもしれないけれど、
まずは各ライブハウスがこのようにいろんな発想で当座をしのいでいくしかないところかと思う。

みんななんとかめげずに頑張ってほしい!

でも、どうして「ひかりのうま」なのに券面がうまでなくて、犬の絵なのかは謎……。


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