荻窪随想録15・西田端橋の下で――昭和45年のある日のできごと――
西田端橋――にしたばたばし――という、うっかりすると舌をかみそうな名の、善福寺川にかかっている橋。
その橋が荻窪団地に行くバスの決まって通る道だったし、団地に住む小学生や中学生が通学するために通る道でもあった。
今は左右に人が通るための歩道をつけ足して、ずいぶんと広くなっているが、以前はもっと狭く、もっと飾り気のない橋だった。
橋の下を流れる善福寺川も、今の善福寺川しか知らない人には想像もつかないほど汚かった。
常に薄汚れた感じで、浅い川の底ではいつも、得体の知れない大きな灰