僕は君の中

球体の海を泳いで

イルカの夢をみる

長く閉ざされた扉のありか

鍵は外からしか開かない

ただ君の声が聞こえる

はるか胸の奥から響く子守唄

ごまんといる漣の輩から

はぐれたのはとうの昔

寂しがっていた子供のこころも

涙さえ愛おしく奏でている

自由と希望の歌を

月の船に乗り見つめ合った

かの星の汽車が汽笛を鳴らす

『ここだよ　ここだよ』と

蜜のような河に潜り

雨露のささやきを飲んだ

残らず調べようと胸の奥を漁る

君の指に触れた

なににも染められぬ真珠のような輝き

はためいて天に昇る光の羽

いつか一番星になる白鳥

僕は

鳥になるイルカになる

卵の中で龍になる

つぶての嵐が駆け抜ける地上の荒波で

君を乗せて宇宙を駆ける獅子になる

わたしのなかに
孵化を待っている彼がいる