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四角い穴

私は視力が悪くてメガネをかけている。
なので、お風呂も結構ボヤッとした視界の中で入っているんだけど。
先日、お風呂に入った時、ちょっと違和感があった。
まずお風呂場内が臭い。
台風のせいで排水溝から臭うのかな?と思いながら
シャワーを浴びていたら、鏡越しに見える天井が気になった。
何か黒い。
うちのお風呂には使っていない浴室乾燥機があったから、
温風が出る場所か…と最初は思った。
でも、いつも見慣れているのに何か気になる。
ふと、左上を見てみると、思っていた温風の排出口っぽい場所がある。
あれ…ここにこれがあるってことは、この鏡越しに見える黒い四角い穴はなんだろ?
そう思って見上げたら、
その四角い黒い穴は温風の排出口ではなくて、お風呂によくある開閉できる部分だった。
それが台風の影響か、斜めに開いていて配管のような管が見えている。
そういう時だけ不思議なぐらいギュンと視界が鮮明になった。
でも、本能的に私は視線を逸らした。


ワタクシ猫野パンダはビビリだ。
ビビリなくせにホラー番組とかホラーゲーム実況とかを見ちゃうタイプ。
お風呂場の天井が開いているなんて今まで一度もなかったから、正直怖い。
時間は真夜中。みんな寝ている。
誰か起きていたとしても今の私は素っ裸。天井のフタを閉めてくれとは頼みにくい。
だからと言って、シャワーのお湯を浴びただけでお風呂を出るのも中途半端過ぎて嫌。
今日は湯船には入らないで、ササッとシャワーで済まそう。
そう思って目を伏せたまま急いで頭を洗う。
洗っている間に妄想スイッチがオン。
脳内の住民達が色々と妄想し始めてしまう。
妄想だけじゃ物足りないのか、過去に見聞きした怖い話、経験した体験を語り始める。

悪臭がする場所には何か悪いモノがいるって聞くよね。
上の隙間から何か覗いているかもよ?

ヤメテクレー!と頭の中で叫んでみるが無意味なこと。
怖い夢を見ている時みたいに体が強張り始める。

私は昔から怖いモノを見る。
学生時代は
「猫野パンダと一緒にトイレに行くの怖い!夕方とか放課後とかめっちゃ嫌」と言われて女子あるあるの連れションを拒否されたり。
その話をフワッと聞いただけで、何か勘違いしたのか
「怖いから猫野パンダ、一緒にトイレについてきてよ」とか自分からチャレンジャーになっちゃう友達が現れたり。
被害者が結構いた。
特に10代後半~20代前半の頃はそういう体験が多かった。
何かの姿がはっきり見えるとかではなくて、
邪悪な気配が~とか聞こえてきそうな、そういう曖昧な感じが多い。
The青春!な年頃にみんなと夜の海に行っても
すんごく気持ち悪くて私一人だけ帰りたがっていたり。
あ、この人ダメかも…って何か纏っていそうな相手を見つけてしまったり。

それでちょっと悩んでいた頃、バイトしていた飲食店に霊とかオーラとか、そういうのが視えちゃう系のお客さんが来た。
初めて会った時に、私が誰にも話していなかったことを指摘されてチキン肌になったことがあった。
だから、本物だと思うその人に相談してみることにした。
お客さんは私の話を聞いて、手を握りながら俯くように下を見た。
少ししてから顔を上げて、何回か頷くと
「なるほどね。キミはね、念が強いんだよ。見ているのは霊とかそういうのじゃない」とお客さん。
「念…?」
「そう。暗い場所とかさ、怖い雰囲気の場所にいたら、こんなのいたら怖いな…こんなこと起きたら怖いな…って想像するでしょ? それが具現化しちゃうぐらい念が強すぎるの。だから一緒にいる人も見ちゃうんだよ」
そんな風なことを言われて、私の頭の中は?ハテナだらけになった。

「じゃあ、霊とかに取り憑かれたりとかは…」
「それもないない。大丈夫」
そう言われてホッとした。
それ以来、あんまり意識しないようにしているからか、見たりはしなくなった。
でも、一つだけ気になる出来事があった。

ある時、女性のお客さんがふらっと一人で入ってきた。
いらっしゃいませ~とお客さんの方を見たら、何か暗くてお客さんの顔が見えない。
店内も薄暗いけれど、お客さんの全身が暗い…というか黒い。
すぐにカウンター席の端っこに座った。
そこは他のスタッフが接客する場所だったので、私がいる位置からはよく見えない。
カウンター近くのテーブル席へ行くついでに、そのお客さんをチラッと見てみた。
黒いロングヘアーなのはわかるけれど、やっぱり黒くて顔が見えない。
カウンター席には照明もあるから、お客さんの表情はそれなりに見えるはずなのに。
まっすぐ前を向いたまま無言で座っている。
気になりつつも自分の仕事をしていたら、そのお客さんはすぐに帰った。
私は離れた場所にいたから、そのお客さんが何か注文したのか、会計をしたのかも全然わからなかったけど、店内にいた時間は凄く短かったと思う。
何よりとにかく不気味だった。
そんなことを考えながら顔を上げると、視えるお客さんが近くに座っていて目が合った。
あー、さっきの黒いのもまた私の想像、妄想、念が作り出したモノなんだろうか…なんて思った。

視えるお客さんはふぅ~っと大げさにため息をつくと、ビールを一気に飲んで私の顔をもう一度ジッと見た。
「おい、パンダ(視えるお客さんは常連さんで、かなーり年上の殿方なので、名前で呼ばれてた)、今帰った客、ヤバかったのパンダも気づいただろ? あいつはヤベーの連れてたよ。あんなヤベー奴、この店に置いていかれたらマズイから、出ていけって俺が追い払ってたんだよ。どうにか帰ってくれてよかった」
そう言って視えるお客さんは満足そうに笑った。
私の頭の中では…ん? どゆこと?って言葉が回遊魚のようにぐるぐるしていた。

前に相談した時は『具現化しちゃうぐらい念が強すぎるだけ。見えてるものは霊とかそういうのじゃない』と言っていたのに
今は『さっきのお客がヤベー奴連れてたの、パンダも気づいただろ?』と言う。
もしかして私をビビらせないために『念が強すぎるだけ』なんて言ったんだろか…。
そう思ったけれど、『実はそうだ』と言われるのが怖くて聞けなかった。
その後店を辞めて、視えるお客さんに会う機会も無くなったので、今も曖昧なまま。
っていうか、私には黒くしか見えなかったけど、
ヤベー奴って常連さんにはどんなのが見えていたのか、今でもちょっと気になる。
なんにしてもこの一件があってから
何か怖いことがある度に これは本物? 私の想像力が豊かなだけ? と混乱して、無駄に怖くなることが増えてしまった。

最初のお風呂場の話に戻すと
脳内の住民達が色々と妄想し始めた時、
考えれば考えるほど怖い何かを自分で具現化してしまうかもしれない…
いや、もしかすると本物だったら? 自分が引き寄せていたら?

なんて、まるで綿あめみたいに自分で恐怖を膨らませて、バカみたいにパニックになった。ってお話。

曖昧なままでも、怖いことがあった時は『念が強すぎるだけ』って
できるだけ考えないようにしているけど。
自分と合わない人、関わると何かありそうな人、嘘をついてる人…とか
そういう何かは今でもフワッと察知しちゃう。
これは念がどうの…とは別物なんだなって確信している感覚なんだけど。
これはこれで面倒くさいやつ。
また別のノートに今度書こうかな。

言葉にするの下手っぴなので、よくわからなかったらごめんなさーい。


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