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[人生手帳]#33 愛の原理

[人生手帳]では、幸せになるための知恵や助言など、人生に役に立つコンテンツを紹介しています。



愛とは何か。

この問いに答えることは、人間の一生の課題であると言っても過言ではないだろう。

フランスの作家スタンダールは、愛についてこう語っている。「愛情には一つの法則しかない。それは愛する人を幸福にすることだ」。彼がこの言葉を残した時代や状況は定かではないが、彼が愛に対してどれほど真摯に向き合っていたかが伝わってくる。

スタンダールは、幼い頃に母親を亡くし、その後も母親への深い憧れを抱き続けたという。それゆえに、彼は愛されることを渇望し、愛することを至上の喜びとしたのではないか。彼は自分の愛する人を幸せにすることが、自分自身を幸せにする唯一の方法だと信じていたのだろう。

愛に関しては、科学的に分析すれば、様々な法則や原理が見出されるかもしれない。しかし、私はそうした理屈ではなく、自分自身の経験から得た愛に関する「原理」を紹介したいと思う。

この「原理」という言葉は大げさかもしれないが、私にとっては重要な「気づき」であった。


私たちは人を好きになったり、愛するようになったりする時、その背景には自分自身の好き嫌いや価値観があると思う。それは必ずしも意識的なものではなく、無意識的なものかもしれないが、存在している。それがあるからこそ、相手に対して好意や愛情を感じるようになるのだ。

例えばこうだ。街で見かけた女性が美しく見えたり、魅力的に感じたりする時、それは自分自身が美しさや魅力と考える基準があって、その基準に合致したからだ。その基準や価値観があるからこそ、相手に惹かれるようになるのである。

そして人間は自分自身の基準や価値観に合致した時、喜びを感じるようにできているのではないだろうか?この喜びという感情が相手への関心を高め、さらに親しみたいと思わせるようになる。これが言葉で表現されれば、「惹かれた」とか、「興味が湧いた」とか、「愛情が芽生えた」とかいうことになる。

人間は人と話す時も同じような心理的プロセスを経ている。話が合ったり気が合ったりする人とは仲良くなりやすく、反対に話が合わなかったり気が合わなかったりする人とは距離を置きやすい。これも自分自身の基準や価値観に合致したかどうかで決まってくる。これが相手への惹かれ方や愛し方を決める原理である。

合コンなどの場面でこの原理を確かめてみるとよいだろう。合コンに行ったら、まずは外見が自分の好みに合う人がいるかどうかを見てみる。その中で自分の理想に近い人や許容できる人がいたら、相手に興味を持ち始める。話してみて、自分と気が合う人だと感じたら、さらに相手のことを知りたいと思うようになる。こうして段階的に相手と親密になっていくのだ。

テレビ番組などでも、出会い系のものがあるが、最初は理想の人だと思っていても、実際に会って話したり、相手の態度や行動を見ているうちに、自分の基準や価値観と合わないと感じて、関心が失せてしまうこともある。これは自分の基準や価値観に一致しなかったから、喜びを感じられなかったためだ。関係を続けるには、常に喜びを感じられることが必要であり、そのためには互いの基準や価値観の一致が必要である。

離婚の理由で「性格が合わない」というのが多いが、これもこの原理から見れば、「自分の基準や価値観に合わないから、喜びを感じられない」ということになる。


では私たちはこの原理を知った上で、どうすればよいのだろうか?

私が提案したいのは、「好き嫌いの判断」を見直してみるということである。

私たちが好きだとか嫌いだとか思うことには、必ず何かしらの理由がある。例えば過去に嫌な経験をしたから嫌いになったり、何かの情報によって偏見を持ったりすることもある。しかし、それらは必ずしも真実ではなく、修正できるものである。美しさや魅力というものも、時代や文化によって変わってくるものであり、何かしらの情報によって作り出されたものである。

もし自分が好き嫌いの判断に何か条件をつけているなら、それを一度リセットしてみてほしい。

例えば背が低い人は嫌いだと思っているとしたら、背が低くても素敵な人や許せる人は周りに一人くらいはいないだろうか。芸能人でも誰でもよい。その人を見て素敵だと思えば、背が低い人への抵抗感は少し減ってくるはずだ。こうして少しずつ自分の判断基準を広げてみれば、嫌いだと思える人は少なくなってくるだろう。

自分自身の判断基準や価値観を変えてみれば、今まで見えなかった人が見えてくるようになるはずだ。私はそう信じている。


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