見出し画像

母乳育児についてのあれこれ

『フランスの子どもは夜泣きをしない』という本を読んで、「次に赤ん坊を産み育てる機会があったら絶対フランス式育児する!!」と思っていた私ですが、まぁ、見事にできておりません。笑

娘は3ケ月を前に完全ミルク拒否になり、生後半年をこえた現在も1日7~8回(いやもっと?)しょっちゅう母乳を飲ませていて、すっかりおっぱい大好きっ子に。寝かしつけはもちろん、お風呂でも飲んでるし、夜中もべったり添い寝・添い乳というありさまで……

赤ちゃんの健康に良いとされる「初乳」の意味を、本当に生まれてすぐの母乳であるとして、それ以降はミルクを躊躇せず飲ませ、夜中の添い乳でかえってちょくちょく起きてしまわないよう、生後すぐから深い睡眠の練習をさせる(もちろんベッドは親と別、深夜は極力授乳をしない)、というフランスの子育てとは程遠い現状。3年前の息子の育児とかなり似たような経過です。(ちなみに息子、妹が生まれてから赤ちゃん返りで一時、復乳!?し、約1ヶ月の間、ちょくちょく飲むように(!)。さすがにこちらの身体がもたないので、彼の3歳の誕生日でなんと2度目の断乳(!)しました笑。いやぁ~どうなることかと思った……でもすごく嬉しそうに飲んでたなぁ…ゴクゴク音たてて……)

日本における最近の育児の考え方(母乳至上主義や、できるだけ抱っこする、など、実は英米のトレンドを追っていることが多いことを、『フランスの~』本から知った)はそれはそれで生活に即した便利さがあり、だからこそ、そちらに自ずと寄っていくところがあるんだなぁ、ということも実感しつつ、とはいえ、母乳をあげている間は本当に身体がしんどいので(息子のとき1歳7か月まで授乳していて、やめたときに「ああ、ずいぶんラクになった」と思ったことで初めて気づいたのだけど)、個人的にはやっぱり復職時には断乳、あるいはほとんどやめている、という状態に持っていきたいなぁ、と。(この感じだと、たぶん無理ですが…)

医学的にも、そういう意見は実は多いような気がします。息子が1歳超えてから、自分や息子が風邪などで医者に診てもらったりするとき、まだ授乳していると告げると、「お母さんの身体のためにもそろそろやめたほうが」的なニュアンスのことを、それとなく言われることが多かったです。授乳中は薬もごく限られたものしか飲めないし、やっぱり身体への負担が大きいということなのかな、と思います。

しかし一方では、赤ちゃんの発達・健康の観点等から母乳は絶対的にいい!というのが今の日本の育児のトレンドとして、そしてすごく大きな母親へのプレッシャーとして存在しているのも確かです。(私は幸いとても良く母乳が出るほうだけれど、そうでない人はとても悩んでいたりするし、そのせいで偽母乳ネット売買の事件みたいな問題も起きています)

1歳過ぎて言葉が喋れるようになった赤ちゃんが飲む母乳の意味は、栄養を摂るというより、ほとんどがコミュニケーション、精神的安定なんだろうけれど、それもまた、とても大切だという考え方もあります。なかには4歳とか5歳まで飲ませるという人も。確かに、安心した顔でこちらを見上げて幸せそう~に飲み、1歳半ともなると「おいちい」と言ってニッコリしたりするので、そこに育児の幸福感もかなりあると思います。

というように、私が感じた(&世に言われている)母乳育児のメリット・デメリットをなんとなくまとめてみると……

【メリット】……●赤ちゃんの免疫力を上げる●乳幼児突然死症候群を防ぐ●お出かけの荷物が少なく便利●ミルク代がかからない●ある一定の期間授乳することで、母親の乳がん・卵巣がん・子宮がんのリスクが減ると言われている●食育につながる(?という説も)●子どもの精神的安定 ●母親のリラックス●夜中に起きたときの授乳がミルクよりラク●子どもが感染症などで食事・水分摂取ができないとき、母乳だけは飲んでくれたりするので「母乳飲めてればOK」と入院をまぬかれることもある ●おっぱいを飲んでいる子どもの姿はとても可愛い(コミュニケーションができる。まぁ、ミルクでも出来ると思うけど)●母親がいくら食べても太らない(もちろん、個人差あり)

【デメリット】……●母親の身体的負担、免疫力が下がる ●母乳育児中は乳腺が発達するため、かえって乳がんに気付きにくいこともある ●体質によっては、乳腺炎のリスクあり●母親の慢性的な肩こりや貧血●赤ちゃんが夜中に何度も起きる(1歳過ぎて、むしろ新生児期より起きるようになることも)●赤ちゃんの栄養摂取が上手く食事に移行できないと、貧血になったりすることもある(後期の母乳には栄養が少ないため)●外出時、授乳の場所確保が難しいこともよくある ●歯が生えて噛まれたり、どこでもドリンクバーのように求められたりして母親にストレスが生じることもある ●母親の骨粗しょう症のリスク ●母親が飲酒できない(しようとすると、時間をあけたり搾乳したりとかなり面倒)●母親と赤ちゃんが長時間離れられないので人に預けにくい ●母親がいくら食べても痩せる、やつれる ●子どもの虫歯リスク ●次の妊娠をしにくい、あるいは妊娠中の授乳は流産リスク高めるとも言う

という感じでしょうか。私は、これらのメリット・デメリットと自分の経験をふまえた上で、とにかく復帰のタイミングで母乳の負担は軽減しておきたい、と思うようになりました。復帰以降は、初めて外界のウイルスにさらされて次々に感染症をもらってくる子どもと生活すること、そして仕事&育児ダブルの負担を考えると、そのほうがいいなぁと。もちろん、断乳そのものの大変さは、いつ行っても必ずあるのですが(3日間くらいは夜中に起きても飲ませてもらえないので泣き叫ぶ。ほとんど寝れず、朝5時から外に連れ出したり……それはそれで壮絶。笑)。その断乳の苦労をなんでもなく感じるくらい、私の前回の復職後、授乳しながらの半年間というのは、ちょうどウイルス全盛期の冬だったことや、離乳食のお弁当をこしらえて電車で保育園に通わせていたこともあり、本当に本当に今思うと大変だった。次から次へと子どもが新しいウイルスを持ち込み、家族の誰かしらが必ず体調不良。環境の変化もあってか、寝かしつけてから1時間おきに起きられては授乳、しかも寝ぼけて噛まれたりが酷くなり、皮膚科にかかるほどの裂傷ができたりもして、発狂しそうでした……なんというか、満身創痍な半年間。

だからとにかく、母乳をやめて夜こどもが起きないだけで、しんどさが全然違う!1歳7か月で断乳して、ようやく「産後」が終わった、と思ったし、ぐっすり朝まで起きずに眠れることは、実は子ども本人にとってもそのほうが良かったりするんじゃないか、と思ったのでした。

そういう経緯で今回は混合栄養にしようと生まれる前から決めていて、生まれてからしばらくは、出来るだけ1日1回はミルクをあげるようにしていたのですが、ほんのちょっとサボってしまったら全く飲まなくなって今に至る、というわけです……(泣)

つまりは、それぞれの理想と選択、そしてそれを叶えられるかどうかはまたわからない(子の個性に拠るところも大きいし、逆にもっと母乳を続けたくても何らかのトラブルなどで強制終了せざるを得ない場合も)、という現状があるのですが、もう少し、母乳とミルク「それぞれの」メリット・デメリット、断乳の時期に関しての情報がきちんと伝えられるといいのになぁ、とは思います。

産院では、母乳育児が軌道に乗るようすごく熱心に指導する場合が多いけれど(いま、母乳主義のところがやっぱり多いと思う)、じゃあいつやめるの?というのは全くと言っていいほど教えられなくて、母乳外来や助産院で聞いても「それはいつでもいいんですよ、赤ちゃんとお母さんのペースで…」みたいな、ぼんやりした答えが返ってくることが多いです。だから、特に一人目のお母さんは、「いつやめるんですか?」と思ってるんじゃないでしょうか(私もそうでした)。

いついつやめるものですよ、とか、このタイミングがベスト!とかはもちろん言えませんが、母乳・ミルクそれぞれの、そして断乳時期に関してのメリット・デメリットをきちんと伝えること、そしてそれに限らず育児全般(妊娠、出産も含む)のあらゆる選択肢についてもメリット・デメリットをフラットにわかりやすく提示することは、もっともっと必要では?とよく感じます。

(ちょっと話がずれますが、離乳食とかも、保健センターでの健診時にわざわざ赤ちゃん抱えて20~30分の座学をするなら、「誰がそんなこといちいちやるの?」というような模範的なメニューや進め方を言うより、市販品の上手い取り入れ方とか、冷凍の仕方とか、実践的なのを教えたほうがよっぽどためになるのに…と思います)

育児に関しての物言いは、「いや、ミルク足してもいいんですよ、それはお母さんのやりやすい方法でね…」「出なければミルクでも大丈夫ですよ……でももうちょっと母乳で頑張ってみてもいいけど」とか、なんとなく、「オススメはしないけれど」「こっちのほうが本当はベストだけれど」みたいなニュアンスが多くて、しかもまずは理想形だけを伝えられるので、母親には「やっぱり極力、ミルクじゃないほうがいいんだ…」と感じられるようなことが多いと思うのです。(「ミルクはダメなんですか?」と質問することすら憚られるように感じることもあると思う)。そうじゃなくて、母乳にはこういうメリット・デメリットがあり、ミルクにはこういうメリット・デメリットがある、母乳もいいですし、ミルクもいいですよ、と最初からフラットに提示すればいいのになぁと、(母乳のことに限らず)常々思います。

ちなみに、冒頭の『フランスの子どもは夜泣きをしない』、すごく面白い本です。別にフランス式育児をするつもりはなくても、いろいろな視点を持てるのがいいです。(しつけに関する話とかも、真似たけど結局ダメだったのですが……笑)

さておき。娘の母乳育児に関しては、やっぱりおっぱい飲んでる姿は可愛いし、この経験も最後だろうと思うと無理ない範囲でもうちょっと続けてもいいかなぁ…などと揺れています。(そもそもミルクを飲んでくれないし…)
息子とは違って離乳食がんがん食べて「おっぱい?もうそんなのいりませーん」って自然卒乳しちゃうようなタイプの子になるんじゃないかと、なぜか何の根拠もないのに思ったりしていたけれど、全然ダメでした(笑)きょうだいで体質や性質が似る、というのもあるのかな。全く違うところもあるけれど。

「思ってたのと全然違う!」それも含めて、育児は面白いなぁ、と、あらためて思います。子育てに関して、ちょっと大変なしんどいほうをあえて選んじゃうところが自分にはあるのかも、というのも一つの発見。逆説的に、そっちのほうが自分にとってはラク、あるいは楽しいということもあって、やりたいのかもしれない。子育てのやりかたには、子の個性だけじゃなくて親の個性や性格もおおいに関わってきて、それはそれで、どんなものでも、私たちだけの経験になるのだよなぁと。だから、自分がよければちょっとの無理はアリだと思うけれど、それが楽しさを超えないようにだけ、気を付けよう、と思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?