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餃子が好き

※ショートショートではありません。(1000字)

「今日なに食べたい?」
と子供達に聞けば、たいてい唐揚げか餃子だ。
この質問を投げかけた時は正直作る気力が無いのだけれど、子供達は容赦なく付け加えてくる。
「ママが作ったやつね!」
鬼である。しかも三人の小鬼は育ち盛り。
母としてはサラダとかスープとか付けたいのだけれど、彼らは白飯と餃子だけでお腹いっぱいになりたいんだ、と訴える。

皮は作った方が美味しい気がする。でもそんな気力は無いからニラとひき肉と共に買ってくる。
冷蔵庫に白菜かキャベツを見つけて刻む。無くても構わない。小鬼たちはニラとひき肉が包まれていればいいらしい。玉葱や椎茸なんかも気が向いたら入れるけれど、彼らはキノコが嫌いらしいので入れても黙っておく。
生姜とニンニクを入れてものすごく大雑把に味付けし、四つのボウルに分ける。スプーンと水を入れた小皿も人数分持ってテーブルへ。
「手洗った人は手伝ってもいいよー。」
小鬼達は我先にと手を洗い、みんなで包む。
末っ子はペタンとくっつける。
娘は3回ヒダが作れるようになった。
長男は…亀型とかクワガタ型とか食べづらいわ。
「俺が食べるんだもん。」
途中から下の二人も遊びだし、色々な形の餃子が山盛りできる。
ホットプレートに並べる。形が色々ありすぎて並べづらい。水をかけて蓋をする。
やがて白い煙といい匂いがしてくる。
蓋を開けると、あぁ、くっついた。
カリッと美味しそうに色が付くまでに皿や箸、醤油、辣油などを運んだりご飯をよそってくれたりとせっせと働く小鬼達。そのお手伝いは毎日やってくれていいのに、餃子の日限定だ。
焼けたら各々のお皿に同じ数づつ盛り、私は次の餃子を焼き始める。
くっついていようが破れて中身が見えていようが関係なく、小鬼達はハフハフと頬張る。
「美味しい!」
「これ何の形だったっけ?」
小鬼達が食べるスピードにホットプレートは追いつけないので、二回目の餃子も小鬼達に分ける。
それぞれ何個食べたのか聞き出したらそろそろお腹が膨れてきた合図。ようやく私が食べる分も焼ける。
満足した筈の小鬼達が私に聞く。
「ママ、何個食べる?全部食べられる?」
「無理。焼いておいたら明日の朝食べる?」
「食べる!!」
小さい頃はあんなに食が細くて心配したのに。そのうち餃子屋か!ってくらい焼くのだろう。いや、いつかお店の方が綺麗で美味しいって気がつくだろうか。
それまであと何年だろう。
「ママ、そろそろ餃子食べたい。」
はいはい。今日は何個焼こうかな。

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