「どうしてトナカイさんは空を飛べるの？」
クリスマス絵本を見ながら娘のリカが聞いた。
「サンタさんの魔法かな。」
最近は何にでも「どうして？」だ。
「どうして良い子かどうか分かるの？」
絵本を閉じて毛布を肩までかけ直す。
「もう寝ないとブラックサンタさんが来ちゃうよ。」
「どうして起きてちゃいけないの？」
しーっと人差し指を立てる。
「おやすみ。」
「…おやすみなさい。」

ドアが閉まるとリカは頭まで布団をかぶった。
いいもん。サンタさんに聞いてみるもん。今日は絶対に寝ないんだ！

しばらくして、すぅすぅ眠るリカの枕元にプレゼントが置かれた。
少しだけカサッと包み紙の音がしてぼんやり目を開けたリカは真っ黒な羽が見えた気がした。
「見られたかな？」
「眠ってるよ。大丈夫だろう。」
静かに静かにカラス達は次の子供のところへ飛んでいく。
サンタが本当はカラス達だなんて、みんなには秘密です。だって正体がばれてしまったら、電線や公園でそっと見ているのがバレちゃうでしょう。

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