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【Unity】ゲーム開発中の「苦しみ」をケアしよう

※苦しみが喜びになる人には、必要のない話。


1.原始時代の脳で生きてる現代人

人間は同じ作業を繰り返すのは動物的・生物的に不得意らしい。

肉食動物に命の危険を感じながら生きていた時代が何万年も続いた。原始人は長時間ずっと同じ作業に没頭していると命の危険があった。

スマホを毎日いじってる人類が登場したのは「直近100年にも満たない」。
だから、情報化社会に脳は生物的にはまだ全く進化できておらず、原始時代の脳のままらしい。19世紀時代の貴族が一生かけて消化する情報量を現代人は1日で消費していると言う。そんな急激な変化が僅か2〜3世代で起きたとしても生物的にはあまりに突発的だから進化なんて起きないのだ。

獣はマンションには来ない。それでも原始的な時代から、あまり進化していない我々の脳は定期的に周りに命の危険がないかと注意を払うように思考を止める。

同じ作業を繰り返すと集中力がなくなり飽きて注意散漫になる本能は、何万年も生存戦略として最適解だった。だから仕方がない。

2.ゲーム開発には長時間の集中力が求められる

アイデアを面白いゲームに仕上げるのは難しい。インディーゲームの9割は完成しないとも言われている。ゲームが無事に完成するより、交通事故に遭う確率の方が高いのだ。

簡単に仕上がらないから「どうすれば面白い?」と試行錯誤を何回も繰り返すことになる。

長時間ずっと同じ作業を続けることは、原始時代には死を意味した。獣に襲われたり、日が暮れて道に迷う危険があった。だから、現代人も同じ作業を続けると、「生存本能」が危険と判断し、本能的に集中力が途切れるよう邪魔してくる。

ゲーム開発は、脳が本能的に抵抗する「繰り返し作業」を、頑張って続けないといけない。未完成の退屈で面白くないゲームを何度も繰り返すのが好きな人は別だが、普通は大変な作業だ。

3.生物的な弱点・苦痛をケアしよう【生物的な特性を利用する方法】

人間は作業の繰り返し(未完成ゲームを何回もテストして直す作業)が苦手だが、それでも、裏技はある。

原始的な本能にはバグがあるからだ。「意識を注意散漫に仕向ける本能」を黙らせる方法は、現代人には必要不可欠だ。
需要が高く人気の高い研究テーマだから、どんどん研究が進んでおり、近年は様々な裏技が発表されている。

例えば心拍数を上げるだけで「ドキドキする時は集中しないと死ぬ」と脳は無意識に判断するらしい。この仕組みは、目の前にライオンがいて逃げる時には、注意散漫だったら死んでたからと言われている。

この方法を利用するには、10分前ぐらい走り、心拍数を「220ー年齢」まで上げるだけで、十分に効果があるらしい。その効果は年齢に関係なく、退屈な繰り返し作業やテストへの正解率は上がるらしい。

走るだけで良いのなら、カフェイン過剰摂取したりエナジードリンクをガブ飲みするより健康的で手軽ではないだろうか。

4.生物的な弱点・苦痛をケアしよう【Unityを使いやすくしよう】

運動したら集中力が上がる裏技をやったところで、Unity使用環境が足を引っ張るヒドイ環境なら裏技も台無しだ。

Unityにはテストの苦しみを和らげる方法が幾つかあるので、ざっくり概要のみ共有したい。

Unity EditorのUIはカスタマイズできる
例えば、UnityのGamePlay(ゲーム実行)ボタンの周りに、「いつも使う機能のボタン」を追加したり、特定のテストを実行するボタンを設置することができる。詳しくは Unity Editor UIなどで検索すれば出てくる。

Unityに関連する支援ツール導入で負担は激減する
ゲームに限らず、長期に渡る開発では、「繰り返し作業を軽減する開発支援ツール」を積極的に導入すると劇的に作業が楽になる。手作業が減るのだから楽になるのは当たり前だ。

例えばゲームのシナリオを描いている場合、「キャラクター名」別でセリフを文字数や場面ごとに書き出すツールなどが出回っている。そういった整理や抽出を楽にするツールを使えば制作が楽になる。

RPGやアクションゲームであればパラメータの変化を視覚的なグラフに表示するデバック支援アセットを使うのも重要だ。バグを「感覚」では判断するのは困難だし大変だ。そんな努力するより論理的かつ視覚的に見つけやすい方が絶対に良い。

音楽も無料のミドルウェア導入するだけで、音ズレやメモリリークなどのトラブルを未然に防ぎやすくなる。

「精神論」より「機械のアップグレード」の方が即効性がある
Unityに惹かれる人は「無料だから」「すぐ使えるから」で採用した人も多い。その背後にある根本的理由が「PCの性能が低いから」という人も見かける。予算削減は当たり前のテーマだけど、あまりにキツイ作業の長期化が起きていたら、諦めて予算を増額し、設備投資する事をお勧めしたい。

PCはお金を掛けていたらキリがないのだけど、それでも、例えば「メモリやGPUやネット通信速度」は性能があがれば上がるだけ楽になる。

「同時に処理できる情報量」が増えれば1時間あたりに確認できる情報も増えて圧倒的に効率が良くなる。人間の脳の9割は視覚情報の処理に使われている。だから「複数ディスプレイ+なるべく高解像度」にして目を使う時間も短縮する方が絶対に良い。

5.まとめ

ストレスをためて開発効率を落としたり、不満や愚痴だらけで週末を過ごすぐらいなら、そもそも現状の効率化を見直す事が重要だ。

ゲーム開発に限らず、PCでは、繰り返し作業の負荷を軽減する支援ツールや環境を用意しないと何年たっても成長のない足踏みを続けるハメになる。マウスやキーボードを他人の何倍も叩いたからといって身体は健康にはならないし、脳は退屈な繰り返し作業には抵抗し続けるからだ。

同じ操作を数回やったら「人がやるべき作業じゃない」って感じて改善に乗り出すようにしないと、いずれダメージが蓄積して体が本格的に壊れる。

単調でウンザリする繰り返し作業を頑張るメリットは皆無だ。もし、そんな繰り返しを賞賛する奴らがいたら外へ追い出そう。それが職場なら10年後の自分が何を得て何を失うか考えよう。

自分のことを大切にできない人を、わざわざ他人が自分以上に気遣って大切にするなんて起きないのだから。

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