見出し画像

辻村深月 - ツナグ『アイドルの心得』

ずいちゃん @zui_o0o0 がおすすめしてくれた小説、辻村深月さんの『ツナグ』を読んでいる。第一章の『アイドルの心得』を読み終えた。※ネタバレなし

"一度だけ、逝った人との再会を叶えてくれるとしたら、何を伝えますか――。死者と生者の邂逅がもたらす奇跡。心に染み入る感動の連作長編小説。"

僕は逝った人と会いたいと思ったことはなかった。でもこの小説を読んでみて、尾崎豊さんに会いたいと思った。一夜だけでもいろいろなお話ができたなら。話ができなくてもいい。そばにいることができたなら。その情熱を、悲しみを、そばで感じることができたなら。そんなことを思った。

その後、ジョン・レノンにも会いたいと思ったけれど、僕は英語が話せないのでやっぱり尾崎豊さんに会いたいと思った。彼の思想に触れたい。人生に触れたい。彼が見ている景色を共有したい。残念ながら、尾崎豊さんは僕がまだ一歳の時に逝ってしまった。それでも、わずかな時間でも同時代の空気を吸うことができたということは誉れだ。

アイドルの心得。アーティストの心得。

僕が尾崎豊さんに挨拶をして、もしも万が一、尾崎豊さんがそれに返してくれたとしたら、それだけで僕は宇宙が反転してしまうくらい嬉しいだろう。もしも万が一、その柔らかな眼差しの奥に潜んだ野性の本能を垣間見ることができたとしたら。その深い優しさに触れることができたとしたら。そして愛。絶望。自由。

僕にとっての永遠。尾崎豊さん。

(2024.4.17)

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?