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新規事業の立ち上げにたくさんのお金と時間はいらない

ありがたいことに、新規事業を担当されている方と話す機会が最近増えています。
そのなかで気になるのが、新規事業を創るための取組みが大層過ぎたり、案すらもででいないのに時間をかけ過ぎていたり、PoCなのにお金をかけ過ぎている、と感じる点です。

新規事業の「予算承認されない問題」はなぜ起こる?』でも書いた通り、極端な話ですが、新規事業は「事業アイデアと確からしさ」をセットにすれば良いだけ、とも取れます。
特に初期の段階では、そこまでお金と時間と労力をかけなくても走り始められるはず、とも言い換えられます。

なのに「お勉強」が多過ぎて頭でっかちになってしまい、「制度」の型が決まり過ぎて自由さが奪われている。
内的・外的な要因で、事業を動かす担当者たちががんじがらめにしてしまっている、混乱しているように見受けられます。

例えば、仮説として置いたターゲットが特殊な相手でない限り、事業アイデアが響くかどうかはほぼ無料で検証できます。空いてる時間でもできます。

PoCも数万円からできますし、その数万円でできることを進化させていくと自ずから検証規模が大きくなるので、多少の費用は必要になりますが、それだって数百万円でできます

このプロセスはとてもシンプルで、言うなれば、事業アイデアと顧客と課題と解決策の4つの要素に「マネタイズ」の方法を加えたことで売上を創る作業です。

起業家やスタートアップは自分のお財布と貯金でできることの範囲でしか始まりません。「これでいこう」という覚悟ができた時にデッド(借入)で資金を創るか、エクイティ(株式)で引っ張るかですが、企業の事業担当者の場合は、借入ではなく「予算=投資」を得る活動をしていますよね。

価値検証の規模を大きくするごとにピッチをして、資金を得ていく(=限りなく承認を得ている)訳ですが、企業における新規事業とスタートアップの流れはほぼ同じです。

企業とスタートアップでやることはほぼ同じなのにスピードに差がついてしまうのは、他にも要素がありますが、そのうちのひとつに、
はじめから検証しようとするスコープが大きすぎて、必要とする資金も自ずと大きくなり、結果予算が取れないことにも繋がる=スピードが遅くなる、からではないか?と考えています。

事業化の問題は、事業の"進め方”にある

一か八かの構想や、もしくはプロダクトアウトで良しとされているような環境にいる人は違うのだろうけど、時間がかかり過ぎていることも、先に進んでいる感覚が得られないことも、進め方に問題があるのだと思います。

ビジコン事務局の方々と話してよく話題に上がるのが「会社の中に事業創出の文化を創りたい」「新規事業が当たり前に出てき続ける仕組みを持ちたい」ということです。
つまり、成熟企業においてビジコンの目的は、事業を創出し続ける環境を企業内に根付かせることであって、必ずしも型化や仕組み化が目的ではない、ということなのですよね

その昔、バズワードのように「共創」とか「コ・クリエーション」とか、「オープンイノベーション」とか言われて廃れていった言葉がありますが、

現在も未来も、共創もオープンイノベーションも絶対に必要な要素で、でもそれは手段であり目的ではないから、バズワードを目的化して取り組んだ人たちは「何も起きなかったね」という顛末を迎えて廃れていってしまうのだと思います。

事業化を前進させるために大切なことは、手段を目的化せず、目的のために適切に手段を活用するということです。

往々にして事務局側は審査する側に居るので、事業アイデアの起案者に対して良かれと思ってサポートしているのだけど、思いがけずにそれが立場に上下を作っていたり、制約を設けたりしているかもしれない、と感じます。

これは僕の想いですが、起案する人たちの個性を理解して、もっともっと自由闊達に推し進められる環境が用意できるといいな、とか思ったりしてます。

大企業であればあるほど資金は潤沢にあるので、「これは大きく予算を投下するべきだ」という所まで如何に持っていくかに尽きます。
そのための方法は多岐に渡るし、ゼロベースの場合には「確らしさ」を積み上げる以外の方法はないのです

なので、積み上げ方にも工夫が必要ですし、時間もお金も不必要にかけることなく一歩一歩を踏み出していけるように支援できる環境を整えようと、ここ最近の面談の機会に常々感じているところです。

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