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わたしのいとしい、かいじゅう14

何者かになろうと必死だったから
自分を置き去りにした。
何者にもなれないのだと知って
何者になるのもやめた。
自分は置いてきたまんま。

ずっとそうしてろよ。

いつか別れたあの人が言った言葉の通り
そのまんまになってしまった自分で
ようやく気付いた。
あの苛立ちはわたしに向けたものじゃなく
彼が彼自身に向けたものだったのに。
他者とのエネルギーの境目がわからずに
全てを飲み込んでしまった。

わかっていて飲み込んだのかも知れない。
受け止めることしか
愛情表現が出来なかったから。
今更なんだけど
ほんとはぶつかるべきだったし
きっとそれを望んでたんだな。

このまま死んでるみたいに生きて
死んでいくんだろうか。
わたしはきっと
死んでるみたいに生きてるわたしを
葬りたいんだ。

ぶつけようのない気持ちを
スケッチブックにひたすら塗り重ねたら
ほんの少しだけ落ち着いた。

今日もまだ生きている。
あのままのわたしで。

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