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国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧する名曲解説

国立国会図書館のデジタルコレクション(以下「デジコレ」)の活用にハマっている今日この頃です。

先に「昔の新聞」「百科事典」を取り上げましたが。今回はクラシック音楽の「名曲解説」。
具体的には音楽之友社の「最新名曲解説全集」,「名曲レコード全集」,「耳による音楽史」。
(及び、類書として平凡社「N響名曲事典」東四郎著「レコード音楽名曲解説全集」を附します。あと、個人的な興味によるオマケも。)

上記のうち「名曲レコード全集」については……私が中学生の頃、当時でもだいぶ古ぼけた本に見えたこのシリーズを学校で見つけて。それが私のクラシック音楽入門の道を開いたという、なかなか思い出の書だったりします(^_^;)。


以下の資料閲覧には国会図書館のアカウント作成が必須。オンラインで登録可能。無料。
「デジコレ」のアカウント登録については、先の私の記事(「昔の新聞」)の途中で触れているので、適宜参考にしてください。

百科事典の時にも思ったのですが、こんな風にネット記事にするのは何となく出版社の方には申し訳ないような気もします。
ただ、どうやら「名曲解説全集」も今では絶版(?)。音楽之友社のサイトで検索しても出てきませんので(思えば「古い本」なのですよね、確かに)。

とあれば、こういう音楽知識の宝庫をただ眠らせるより、ネットでいつでも見られるようにしたほうが良いでしょう。きっと。

すごーく余談を言うと。
交響曲,管弦楽曲,協奏曲……というこの順で並べるのを日本の好楽家は当たり前のように感じていますが。
これはそこまで普遍的な並べ方というわけでもないようです。今、参考になりそうな資料がパッと出てこないのですが……。

最後に念のため。コンサートホールで実演を聴きつつ、以下の解説書をスマホで見るようなことはお控えください(苦笑)。
もっとも、最近は公演パンフを電子配布して、演奏中もスマホで見て可、なんていうコンサートもありますので、そういうのは例外として……。


「最新名曲解説全集」


第1巻 (交響曲 1)

第2巻 (交響曲 2)

第3巻 (交響曲 3)

第4巻 (管弦楽曲 1)

第5巻 (管弦楽曲 2)

第6巻 (管弦楽曲 3)

第7巻 (管弦楽曲 4)

第8巻 (協奏曲 1)

第9巻 (協奏曲 2)

第10巻 (協奏曲 3)

第11巻 (室内楽曲 1)

第12巻 (室内楽曲 2)

第13巻 (室内楽曲 3)

第14巻 (独奏曲 1)

第15巻 (独奏曲 2)

第16巻 (独奏曲 3)

第17巻 (独奏曲 4)

第18巻 (歌劇 1)

第19巻 (歌劇 2)

第20巻 (歌劇 3)

第21巻 (声楽曲 1)

第22巻 (声楽曲 2)

第23巻 (声楽曲 3)

第24巻 (声楽曲 4)

補巻 第1巻 (交響曲・管弦楽曲・協奏曲)

補巻 第2巻 (室内楽曲.独奏曲)

補巻 第3巻 (歌劇・声楽曲)

最新名曲解説全集 別巻(総索引)

附1:「N響名曲事典」(平凡社)

類書ですが、オーケストラ作品のみ。

第1巻 第2巻 第3巻 第4巻 第5巻 第6巻

附2:「レコード音楽名曲解説全集」(東四郎著、名曲堂出版部)

ずいぶん古いものでどうしようかと思ったのですが。選曲に独自性があったりと、どこか捨てがたい感があったので、これも載せておくことにしました。
第1 (A-Be) 第2 (Be-Bo) 第3 (Br-Dv) 第4 (Dv-Li)  第5 (Li-Sa) 第6 (Sa-Sz) 第7 (T-Z)




「名曲レコード全集」


昭和39年(1964年)の本です。なので、今読むと、曲の解説とかが古かったりします。
(私は Ralph Vaughan Williams をこの本で「ラルフ〜」と覚えたのですが。「レイフ〜」と呼ぶのが「正しい」のですね。等々。)

でも、わたし的には「今でも十分読める内容だ」という感じの方が強く。最初に書いたような思い入れがあるせいかもしれませんが、クラシック音楽入門書として独特の魅力があるシリーズだと思います。
(曲数が絞られているのが、むしろ入門者には好適ということもあるかと。)
本書で取り上げられている録音についても、当然ながら古いものばかりです。ただ、その代わり、今日ではそのほとんどが著作権切れになっています(下註)。そのため、本書には「パブリックドメイン音源」を探すためのガイド本という価値が新たに生じたかもしれません。世の移り変わりの妙味とでも申しましょうか(?)。

この種の本では「巨匠」の演奏を極端に褒めちぎることもよくあって、この全集もそういう感じが全く無いとは言えませんが。それなりにバランスのとれた評価をしているかなと。

第1 (交響曲)

第2 (管弦楽曲)

第3 (協奏曲)

第4 (室内楽曲)

第5 (歌劇)

第6 (声楽曲)

この他、「名曲レコード事典」「レコード名演奏家全集」「レコード音楽講座」「名曲を尋ねて」などのシリーズもデジコレに入っています。


「耳による音楽史」


クラシック音楽史の名著として、どこかで名前を見たような記憶があります。
今回、はじめて読んでみましたが、結構クセのある本だなと思いました。

まず。
刊行当時の詳しい事情は全く知りませんが──ざっくり読み取れた範囲で判断しますに。
英オックスフォード大学から "History of Music in Sound" という、タイトルどおり、付属のレコードと連動するタイプのクラシック音楽史の解説叢書が刊行され。
実際にそのレコードもプレスされ。
音楽之友社がその日本語版を出すことになった。が。
原書の日本語訳としてではなく(そちらは「底本」という扱いで)、新たに日本の音楽学者がレコードに合わせた解説書を書いた(!!??)。

今ではちょっと信じがたいような話ですが、中身を読むとそういうことのよう。
少なくとも、書籍のクレジットにおいては、日本の音楽学者の方々が、訳者とか監修者ではなく著者として記されています。

(原書と「日本語版」の違いは、今日ならその気になれば簡単に調べられそうですが、そこまでやる気は起きないのでした^_^;)。

それは別としても、選曲もだいぶクセがある気がします。
書籍中にも、特に後半の巻の選曲については「しばしば録音され,レコードとしてかんたんに入手できる楽曲は,実例としては避けることにしてある」等と断りがあります(9巻序文)。
しかし、それにしても、今日この種の本を企画するとしたら……。そう、少なくとも私だったらセクエンツィアの「怒りの日」、ペロティヌス(ペロタン)のオルガヌム、ベートーヴェンの交響曲、ワーグナーの楽劇、ブルックナーかマーラーの交響曲……ぐらいは数分の「さわり」としてだけでも入れたいところ。

……などとここまで書きましたが。やはり全体として、今でも参考になる本だと思います。

そして、何よりいいことに。元の音源(レコード)、今日では10巻以外、著作権切れになっているため、普通にネットで聴けてしまうのです。
(下註。なお、本書の「日本語版」刊行は1959〜62年。当然に、録音はそれ以前に遡るはずです。)
頑張れば、デジコレで本書を読みつつ、裏で音源を流す、なんていうこともスマホ一つで実行可能です。

というわけで「耳による音楽史」日本語版と、関連録音("History of Music in Sound") へのリンクを以下に。
録音はVol.9 まで見つけていますが、置き場所のサイトは archive.org とYouTube にまたがっています。
(あと、まだ全部をしっかり確認していないので、もしちゃんと聴けないリンクなどがあったらごめんなさい。)

《デジコレ》

耳による音楽史 第1-3

耳による音楽史 第4-6

耳による音楽史 第7-10

《録音》

History of Music in Sound Vol.1
https://archive.org/details/lp_ancient-and-oriental-music_various

History of Music in Sound Vol.2
https://archive.org/details/lp_history-of-music-in-sound-volume-ii-ea_various

History of Music in Sound Vol.3
https://archive.org/details/lp_history-of-music-in-sound-volume-iii-a_various

History of Music in Sound Vol.4
https://www.youtube.com/watch?v=zkvG31fwpYI

History of Music in Sound Vol.5
https://www.youtube.com/watch?v=_D4RDlFoICM

History of Music in Sound Vol.6
https://archive.org/details/lp_history-of-music-in-sound-volume-vi-th_various

History of Music in Sound Vol.7
https://archive.org/details/lp_history-of-music-in-sound-vol-vii_various

History of Music in Sound Vol.8
https://archive.org/details/lp_the-age-of-beethoven-volume-viii-of-the_various

History of Music in Sound Vol.9
https://archive.org/details/lp_the-history-of-music-in-sound-vol-ix-rom_various-rubbra-gruenberg-pleeth-trio


おまけ

以下は、まったくの自分用の心覚えとして。
アルス」の音楽講座。

アルス西洋音楽大講座
1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻

アルス西洋音楽講座
2巻 別巻

アルス音楽大講座
1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻 9巻 10巻 11巻 12巻


* * * * *

「名曲解説全集」は旧バージョンの方もデジコレに入っています。もしいつか余力があったら、そちらも本記事に追加するかもしれません。


(註)ネットで調べた限りでは「作曲家が1967年までに死去(「戦時加算」による例外あり)」「録音が1967年まで」の2条件を満たす場合、基本的にそのレコード(録音物)は著作権切れのようです。

と言うことは、1967年(昭和42年)までに発行された本に紹介されているクラシック音楽のレコードは、そのほとんどが今日では著作権切れになっているわけです。
(現代の作曲家の中には、最初の条件に引っかかる人もいますが。例えばストラヴィンスキーが亡くなったのは1975年。)

*トップ画像はWikipedia にあったもの(部分)。左上ワインガルトナー、右下ニキシュなど。