他に好きな人ができたんだって。
彼に会うのはいつも横浜駅。
彼との出会いは、私が彼の高校の文化祭に遊びに行ったことから。
私は公立高校に通っていたのだけど、女友達が別の高校に進んだ中学の同級生に告白したいから、今度その人の通う高校の文化祭があるから・・一緒に来てと誘われて、私も同行した。
文化祭当日、その女友達が告白している間、私に話しかけてきたのが
その彼だった。M嶋君。
でもそのM嶋君とはそれほど仲良くなる前に別れてしまった。
彼は、その私立高校でとある運動部の部長をしていた。
そして同じ私立高校の女子校の方の同じ部活の部長と意気投合したらしく(合同練習とか会う機会があったみたい)そのまま付き合ったんだと思う。
別れることになる少し前から、その女の子の話が出ていた。
彼女のことを嬉しそうに・・というか誇り高そうに話していて
私は何でいちいちそんなことを報告するのだろう、と思っていた。
そもそもM嶋君とは学校が違うのでたまにしか会えなかった。
彼と会えるのが嬉しくて、彼との予定を手帳にいつも書いていた。
シールとか色々使って。
その手帳には、彼との予定しか書いていなかった。
でも、どこかで、この手帳は最後まで使い切れるのかなって不安になっていた。
横浜駅のモアーズの屋上で会ったのが最後の日。
昨日のことのように覚えている。
当時の横浜モアーズの屋上には遊園地があった。
昼間は子供達が多かったのかもしれないけど
夜はカップルも沢山いた。
今日が会うのは最後だねって、抱き合っていた。
寒い冬の日、グレーのダッフルコートを着て、私たちは同じ色だねってよく言っていたコート。
抱き合っている時に、私が背中を撫でていたら
そんなことしたらドキドキしちゃうよ って笑いながら言った。
なんとなく、馬鹿にされているような気がした。
この人は、自分に他に好きな人ができて
それで私達は別れるのに・・
最後の今日に、そんなこと言うの?って。
その笑顔は、どういう意味?って。
やっぱり、手帳は最後まで使い切ることはなかった。
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