J・D・サリンジャー 『ライ麦畑でつかまえて』 : 優しさと弱さと
書評:J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(白水社)
私が活字本を読み始めた高校生の頃、すでにサリンジャーは人気作家であったし、そのデビュー作にして代表作である本書『ライ麦畑でつかまえて』も、すでに「現代の古典」としての評価を受けていて、まだ活字本を読まなかった頃の私に耳にも、その特徴的なタイトルだけは入ってきていた。
いまさら『ライ麦畑でつかまえて』(以降、適宜『ライ麦』と略記)を読む気になったのは、先日、NHKのテレビ番組で『ライ麦』を取り上げており、「ベトナ