年間読書人

その名のとおり、読書が趣味で、守備範囲はかなり広範ですが、主に「文学全般」「宗教」「映…

年間読書人

その名のとおり、読書が趣味で、守備範囲はかなり広範ですが、主に「文学全般」「宗教」「映画」「アニメ」に関連するところ。昔から論争家で、書く文章は、いまどき流行らない、忌憚のない批評文が多い。要は、本音主義でおべんちゃらが大嫌い。ただし論理的です。だからタチが悪いとも言われる。

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  • 「純文学・文芸評論」関連書のレビュー

    主に「文学・文芸評論」関係書のレビューを紹介しますが、分類は目安に過ぎず、「ミステリ・SF」系の作品も含みます。

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    人文書、科学書など(別立ての宗教関連書を除く)学術書と啓蒙書を紹介します。

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    「政治」「経済」「社会」などの関連書のレビューを紹介します。

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    広く「マンガ」「アニメ」「映画」など、エンタメ作品関係のレビューを紹介します。後日整理の予定。

  • 「Amazon」「note」その他の記事

    私が、このノートを始めたのは、Amazonのカスタマーレビューの管理に不審を覚えたからです。問い合わせに対する回答メールによると、Amazon管理者は、レビューNO閲覧者評価である「役に立った」や「参考になった」の数字を、何の説明もなく、管理者判断で勝手に弄れると言うのです。これには心底あきれました。

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〈宇山秀雄殺し〉の 謎を解く : 『宇山日出臣 追悼文集』の密室

書評:太田克史編『新本格ミステリはどのようにして生まれてきたのか? 編集者宇山日出臣追悼文集』(星海社) エディターネーム「宇山日出臣」、本名「宇山秀雄」が、「新本格ミステリの仕掛け人」などと呼ばれた名編集者であることについて、ここであらためて説明する必要などないだろう。本書を購読したり、ネットで本書の内容を確認したりするほどの人なら、宇山についてそれなりの予備知識を、あらかじめ持っているはずだからだ。 本書は内容は、次のとおり。 (1)序文(太田克史) (2)編集者・

    • J・D・サリンジャー 『ライ麦畑でつかまえて』 : 優しさと弱さと

      書評:J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(白水社) 私が活字本を読み始めた高校生の頃、すでにサリンジャーは人気作家であったし、そのデビュー作にして代表作である本書『ライ麦畑でつかまえて』も、すでに「現代の古典」としての評価を受けていて、まだ活字本を読まなかった頃の私に耳にも、その特徴的なタイトルだけは入ってきていた。 いまさら『ライ麦畑でつかまえて』(以降、適宜『ライ麦』と略記)を読む気になったのは、先日、NHKのテレビ番組で『ライ麦』を取り上げており、「ベトナ

      • 犬童一心監督 『ジョゼと虎と魚たち』 : 障害者とハッピーエンド

        映画評:犬童一心監督『ジョゼと虎と魚たち』(2003年・日本映画) ここ数年来の話だが、「映画」というものの全体像に興味を持って、古今東西の作品をあれこれピックアップして見るようになった。そこで、これまではほとんど見てこなかった「日本の劇映画(実写映画)」の中でも、かつて「気になった作品」くらいを見てみようという気にもなった。 その第1弾が、本作『ジョゼと虎と魚たち』である。 公開当時からこの映画の評判は聞き及んでいたし、その奇妙なタイトルが気になって、ずいぶん前にネット

        • 切られ者の小唄

          今日は、ずいぶん前の記事の、補足記事をアップさせてもらった。 最近、よく記事を読んでくださり、律儀にイイネまでつけてくださっている方が、その記事の「リンクが切れていて読めません」という、なんとも有難いご指摘のコメントを寄せてくださったのだ。 まずは、リンク切れになっていた当該記事「非・日本人的な〈議論〉の実践: Amazon「6月問題」をめぐって」と、その補足記事「リンク切れ「論争ログ」の再録」のリンクを張っておこう。 で、「リンク切れ」のご指摘をいただき、「どれどれ、

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        〈宇山秀雄殺し〉の 謎を解く : 『宇山日出臣 追悼文集』の密室

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          リンク切れ「論争ログ」の再録

          ※ 当ページは、「2021年7月12日 00:21」アップの、note記事「非・日本人的な〈議論〉の実践: Amazon「6月問題」をめぐって」を補足するものとして、新たに作成しました。 あくまでもこのページは、「論争のログ」をアップするためのものであり、詳しい経緯については、元ページをご参照ください。 ⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎⬜︎ 【Solaris1さんとの、やり

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          ジャン=リュック・ゴダール 『ゴダール 映画史』 : 「美的レジスタンス」としてのゴダール

          書評:ジャン=リュック・ゴダール『ゴダール 映画史(全)』(ちくま学芸文庫・2012年) ゴダールが亡くなった2022年つまり一昨年の暮れの追悼上映会で、代表作の『勝手にしやがれ』と『気狂いピエロ』を見て以来、こんな「意味不明な作品」を撮りながら、一部映画マニアからは「天才」「巨匠」と崇められているらしい、この「謎の人物」に興味を持ち、私なりにその理解を深めようとしてきた。 要は、「この作品の、どこがどう面白いんだろう?」というのと、「この人(ゴダール)は、何を考えてこん

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          ショーン・ダーキン監督 『アイアンクロー』 : 「家族愛と強くあること」の呪縛

          映画評:ショーン・ダーキン監督『アイアンクロー』(2023年・アメリカ映画) 1960年代から70年にかけて、必殺技「アイアンクロー(鉄の爪)」をひっ提げて、日本においても、若きジャイアント馬場やアントニオ猪木らと死闘を繰り広げたアメリカ人プロレスラー、フリッツ・フォン・エリック。 本作は、「呪われた一家」とまで呼ばれた、彼とその家族たちの波瀾の人生を、次男ケビンの視点から描いた、文字どおりの「衝撃作」である。 フリッツは、信仰心厚い妻との間に、6人の息子に恵まれた。ただ

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          理屈っぽい夢 : 子供の自転車遊び

          今朝、寝覚めに見ていた夢なのだろう。あるいは、半覚醒の状態でいろいろ考えていたということなのかもしれない。とにかく、目覚めた後でも、夢の中で考えたことの大半を記憶していたし、これは書かねばならないと思い、「こんな夢を見た」という仮題だけは、スマホにメモっておいた。 タイトルは変更したものの、それをいま書いているのである。 夢で見たのは、今の家から200メートルくらいの場所にあった、小さな商店街である。父が最後に店(寿司店)を出していたのがここだったのだが、今ではそこがどうな

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          リンク集「Amazon」&「アレクセイの花園」関連レビュー

          ※ Amazon関連の記事については、一番上の「Amazonレビューの全転載を終えて」以外は、それに至る経緯がわかるように、時系列順に並べてあります。 ○ ○ ○  ○ ○ ○  ○ ○ ○  ○ ○ ○

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          円谷英二・ 大伴昌司・ 小山内宏 『怪獣画報 〔復刻版〕』 : のどかな時代

          書評:円谷英二【監修】、大伴昌司・小山内宏【著】『怪獣画報〔復刻版〕』(秋田書店) 1966年(昭和41年)に刊行された、子供向けの読み物本である。 表紙の画像を見て貰えばわかるとおり、「写真で見る世界シリーズ」の1冊として刊行されたものだが、当然のことながら、本物の「怪獣」の写真というのはほとんど存在しないから、本書に収められている写真といえば、それは「円谷プロ」の特撮テレビドラマ『ウルトラQ』『ウルトラマン』、あるいは円谷プロが関わった特撮映画である「ゴジラシリーズ」な

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          クリストファー・ノーラン監督 『オッペンハイマー』 : 他人事ではない。

          映画評:クリストファー・ノーラン監督『オッペンハイマー』(2023年・アメリカ映画) 第二次世界大戦後半、世界各国で「原子爆弾」の開発競争が加速していた。 戦況が不利に傾いていたナチスドイツは無論のこと、日本でも極秘裏に原爆開発が進められていたのだ。 当然、連合国であるアメリカやソ連も、ドイツや日本に先を越され、戦況の巻き返しをゆるすわけにはいかないから、必死の開発を進めていた。 そんなアメリカにおける、原爆開発プロジェクトが「マンハッタン計画」であり、その科学者スタッフの

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          九段理江 『東京都同情塔』 : あなたは、AIにも劣る人間ではないのか?

          書評:九段理江『東京都同情塔』(新潮社) 芥川賞なんぞ、ほとんど信用していない私なので、受賞作を読むことなど滅多にない。受賞作家がもっと本を出して、それでも評判が良ければ、その代表作と言われるものを読んでみて、それが面白ければ、それ以前のものも含めて、いろいろ読んでみればいいじゃないかと、そう思っているからである。 したがって、芥川賞受賞作はそれほど読んでいないし、読んで「面白い」と思ったこともほとんどない。これは面白かったというほどのものが、記憶にないのだ。 だが、本書は

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          ジュリアン・デュヴィヴィエ監督 『ゴルゴダの丘』 : ユダへの同情と フランス・カトリックの独自性

          映画評:ジュリアン・デュヴィヴィエ監督『ゴルゴダの丘』(1935年・フランス映画) デュヴィヴィエ監督の初期作品。もちろん戦前の作品であり、「ヌーヴェル・ヴァーグ」のずっと前のモノクロ作品。 内容は、イエス・キリストの後半生を、聖書にほぼ忠実に描いている。 一一と言っても、私が聖書を読んだのはだいぶ前だし、聖書学の本も長いこと読んでいないので、イエスの生涯を描いた福音書だけでも四本を収める新約聖書の、その矛盾を含む記述の中から、本作がどこをどうチョイスしたのか、細かいとこ

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          リンク集「キリスト教(プロテスタント+α)」関係レビュー

          (※ トップの『証し』は新旧共通。「ルター(宗教改革)以前」は「カトリック」の方に含めました。「科学・無神論」以下は「カトリック」と共通。並びの都合上、一部カトリック関係者も含んでいます) ○ ○ ○  ○ ○ ○ ・ ・ ・ ・  ○ ○ ○ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 【ユダヤ教】 ○ ○ ○ 【科学・無神論】(※ 以下は、「カトリック」と共通) ・・ ・

          リンク集「キリスト教(プロテスタント+α)」関係レビュー

          リンク集「キリスト教(カトリック+α)」関係レビュー

          (※ トップの『証し』は新旧共通。以降は大雑把に、「異端」「歴史」「思想」「事件」「教皇フランシスコ」「日本のカトリック」ほかと続き、そのあとは「プロテスタント」と共通の「科学・無神論」「エンタメ(小説・映画・漫画)」ほかとなります) ○ ○ ○  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 【日本のカトリック】 ・ ・ ・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 【正教とユダヤ教】 ・ ・ ○

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          千葉雅也 『センスの哲学』 : 「見る前に跳べ」と言われても…。

          書評:千葉雅也『センスの哲学』(文藝春秋) 「売れっ子」千葉雅也の本としては、売れない本になりそうな臭いがプンプンする。 なぜなら、本書は「哲学」と題しているけれど、いわゆる「学問としての哲学」ではなく、自身の興味があるテーマについて、哲学的知識を援用して「哲学して(考えて)みました」という内容の本であり、言うなれば「哲学的エッセイ」でしかないからだ。 したがって、「哲学」の権威をありがたがりたい「哲学オタク」たちには、少しも「ありがたくない本」なのだ。 これまで千葉雅也

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