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「学術書・学術啓蒙書」のレビュー

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人文書、科学書など(別立ての宗教関連書を除く)学術書と啓蒙書を紹介します。
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#文芸評論

吉村萬壱 『みんなのお墓』 : 開放と死

書評:吉村萬壱『みんなのお墓』(徳間書店) どう評していいのか、困ってしまう作品である。…

年間読書人
11日前
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サミュエル・R・ディレイニー 『ノヴァ』 : オリエンタリズム的「文学性」の勘違い

書評:サミュエル・R・ディレイニー『ノヴァ』(ハヤカワ文庫) サミュエル・R・ディレイニー…

年間読書人
2週間前
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リンク集 「〈心って何?〉 ロボット・AI系 漫画・アニメ・小説・批評研究書」関連レ…

【収録作家(作品)】 (ロボット系漫画) 矢寺圭太『ポンコツぽん子』 池辺葵『私にできるこ…

年間読書人
3週間前
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小林秀雄 『戦争について』 : 戦時における「時局迎合と 俗情との結託」

書評:小林秀雄『戦争について』(中公文庫) これまでは「小林秀雄の恥部」として、全集には…

年間読書人
3週間前
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J・D・サリンジャー 『ライ麦畑でつかまえて』 : 優しさと弱さと

書評:J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(白水社) 私が活字本を読み始めた高校生…

年間読書人
1か月前
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円谷英二・ 大伴昌司・ 小山内宏 『怪獣画報 〔復刻版〕』 : のどかな時代

書評:円谷英二【監修】、大伴昌司・小山内宏【著】『怪獣画報〔復刻版〕』(秋田書店) 1966…

年間読書人
1か月前
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九段理江 『東京都同情塔』 : あなたは、AIにも劣る人間ではないのか?

書評:九段理江『東京都同情塔』(新潮社) 芥川賞なんぞ、ほとんど信用していない私なので、受賞作を読むことなど滅多にない。受賞作家がもっと本を出して、それでも評判が良ければ、その代表作と言われるものを読んでみて、それが面白ければ、それ以前のものも含めて、いろいろ読んでみればいいじゃないかと、そう思っているからである。 したがって、芥川賞受賞作はそれほど読んでいないし、読んで「面白い」と思ったこともほとんどない。これは面白かったというほどのものが、記憶にないのだ。 だが、本書は

千葉雅也 『センスの哲学』 : 「見る前に跳べ」と言われても…。

書評:千葉雅也『センスの哲学』(文藝春秋) 「売れっ子」千葉雅也の本としては、売れない本…

年間読書人
1か月前
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リンク集「ミステリー小説+α」関連レビュー

(※ ミステリ小説、探偵小説、推理小説関連レビューを幅広く収録しています) 【主な収録作家…

年間読書人
1か月前
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大谷能生 『〈ツイッター〉にとって美とはなにか SNS以後に「書く」ということ』 : …

書評:大谷能生『〈ツイッター〉にとって美とはなにか SNS以後に「書く」ということ』(フィ…

年間読書人
2か月前
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川野芽生 『Blue』 : 新しくて古い問題

書評:川野芽生『Blue』(集英社) 本作は「第170回(2023年度下半期)芥川賞候補作」となる…

年間読書人
2か月前
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山田宏一 『友よ映画よ、 わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』 : 殉教者と転向者

書評:山田宏一『友よ映画よ、 わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』(話の特集 1978年、増訂版1985年…

年間読書人
2か月前
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『検証 ナチスは 「良いこと」もしたのか?』 : 典型的な「中二病」の逆張り

書評:小野寺拓也・田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波ブックレット)…

年間読書人
2か月前
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スタニスワフ・レム 『捜査』 : この世界の捉え方

書評:スタニスワフ・レム『捜査』(ハヤカワ文庫) 「難解」と言われるレムの中でも、「難解」と言われることの多い作品であるが、今となっては、それほどのことでもないのではないだろうか。 どういうことかと言うと、この作品が「難解」と言われるのは、一般的な分類に収まりきらないからに過ぎない。 例えば、人間にはオスとメスがいるけれども、稀に「両性具有」というものが生まれてくる。これを「オスメス」しかないと思い込んでいる人が、無理やりに、どっちかに分類しようとすれば、おのずと「難解」