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【連載小説】港区タワマン32歳女物語

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ゲイと女の、女の方:ヴァジャが連載する、港区のタワーマンションを舞台に繰り広げられる女5人の群像劇。彼女たちの共通点はたった二つ。1989年生まれということと、同じマンションに住… もっと読む
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ベストパーソナリティ賞受賞!

ベストパーソナリティ賞受賞!

#わたしとポッドキャスト

第3回ジャパンポッドキャストアワードでベストパーソナリティ賞を受賞しました!昨日は授賞式があってとても楽しい思い出となりました。つい先日学生時代の思い出特になし!という配信をしたばかりですが、学生時代って強制的に恒例の行事に参加させられて感想文を書かされて、楽しかったとか学びがあったとか先生ウケと親ウケを狙わないといけなかったですよね。そんな私ですが、昨日は本当に思い出

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#50 クミ【最終回】

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#50 クミ【最終回】


#50 クミ

タワマン女子会。ついにこのタワマンに住むのは私だけになった。

マミは渡韓し整形をして海街で改心したかと思ったが、財閥と結婚をしてセレブとして嫌味な生活を送っている。
ナミは田舎暮らしと言いながら軽井沢に近いところでオシャレな生活をし、YouTube「田舎暮らし始めましたチャンネル」が人気で「ライフスタイルコンサルタント」を名乗り出して鼻につく。ねずみ講はまだやっているのだろう

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#49アミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#49アミ


#49 アミ

マミからの衝撃的なLINEを読んで、私も変わりたいと思った。
元カレが準備をしてきたお店に私が出資をし、会社を辞めて一緒にお店作りをすることにした。タワマンを売ることにしたのだ。

東横線沿いに物件を見つけ、3人でパン屋を開くことにした。
フランスに住んでいた彼との共通の友人が「本場フランスのバゲットとクロワッサンを日本の方にも気軽に美味しく食べてもらいたい」と脱サラして修行し

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#48 グループLine『Teamタワマン♡1989』

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#48 グループLine『Teamタワマン♡1989』



『Teamタワマン♡1989』
Mami♡;久しぶり!急に消えてごめんね
奈美;まみ!!心配したよ><今どうしてるの?
ゆみ;まみーーーーー!!!!!元気?心配だったよ。
アミ;ま み !!!
KUMI;まみ、LINE復帰したんだね
Mami♡;みんなどうしてるのー?私は元気♡
ゆみ;元気だよ。もうすぐNYに駐在に行くの。
Mami♡;憧れの駐妻LIFEだぁ♡
ゆみ;色々大変だよー。まみ引っ越

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#47 ユミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#47 ユミ


#47 ユミ

夫のYouTubeが炎上をした。言葉選びを間違えたため「視聴者を見下しすぎて不快」というコメントが続いていた。特定班も出てきてしまい、うちのタワマンは映っていないがタワマンの特徴をいくつか話していたため3つに絞られてしまっていた。もうblogやYouTubeをやめて大人しくしていてほしい。もしかしたら浮気が出来なくなって承認欲求を満たすための行動なのだろうか。

最新の動画はコ

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#46 クミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#46 クミ


#46 クミ
新しいVERYのカバーモデルの経歴が私に近かった。高学歴で外資系証券会社勤務歴があり美人。年齢も同じくらいだろう。しかし私は「妻」でも「母」でもない。私には仕事をしながら読モをやる余裕はなかったし、男性と出会ってデートをして結婚に至ることもなかった。美容院と美容皮膚科、エステに行くだけでもやっとだった。このモデルさんを見ると「自分は仕事を言い訳にしていただけで、本当は女として劣っ

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#45ナミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#45ナミ


#45 ナミ

田舎での丁寧な暮らしに憧れた私だったが、友人に「田舎は甘くない」とピシャリと言われたのだ。

「私は肩書きとかインスタとかでは田舎暮らしで成功しているように見せてるけど、この町の人からは認められていないの。嫌がらせも沢山受けてる。でもね、自然や野菜は私に寄り添ってくれる。いつでも受け入れてくれるの。人間って嫌よね。それは都会でも田舎でも一緒。田舎暮らしをするなら孤独にも耐えられ

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#44 クミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#44 クミ


#44 クミ

ソノさんの騒動が落ち着いてきた。私は相変わらず仕事は激務だが愛犬ソノとの平穏な日々を過ごしていた。愛犬ソノ用のインスタアカウントがあるのだが、そこへマミからDMが届いた。

「クミ!お部屋の内装ですぐにクミって分かったよ。よく私のアカウント辿り着いてくれたね><ハングルなのに!嬉しいよ!もしかしてキムソノのファンになったの?意外!!」

ソノの写真しか載せていないが、やはり同じ

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#43 アミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#43 アミ


#43 アミ

久しぶりに学生時代の友人と会った。友人とはいつも自分の彼氏や遊んでる男の話になるが昨年ついに結婚したのだ。今まで顔も良い人しか付き合ってこなかったのだが結婚相手は容姿では選ばなかったようだ。友人が一番こだわったのが「高校」だった。常にT大卒のエリートしか興味のない友人だったが、「エリートの中ではT大卒は当たり前だからわざわざ聞かないの。学閥は高校にあるらしいのよ。」その友人から

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#42 ユミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#42 ユミ


#42 ユミ

ニューヨーク駐在が決まり有頂天になっていたが、また旦那の秘密を知ってしまった。今回は浮気ではないのだが、このタワマンを貸すにあたり調べものをしようと夫のiPadを借りたのだ。そこにはblogの下書きがブラウザに残っていた。夫は「財閥系商社マンのblog」という所謂自己啓発系ブログをもう2年も続けていた。

商社マンたるものこうであれ
一流とは
商いとは
就活生よ俺を目指せ

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#41 ナミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#41 ナミ


#41 ナミ

干し柿を作りに来た。さつま芋も収穫の時期で焼き芋にして食べた。焼き芋のための落ち葉集めがパーソナルでのトレーニングよりキツかったが、苦労して焼いた焼き芋は絶品だった。よくハワイに移住したモデルが「ハワイが救ってくれた」とハワイの大自然に感謝をしているが、私はこの田舎町の焼き芋に救われたのだ。

偽物のバーキンを掴まされ、彼氏に裏切られ、ネットワークビジネスで友人を失った。泣きな

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#40 クミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#40 クミ


#40 クミ

愛犬ソノがTwitterでもインスタでも人気だ。思い切って2022年カレンダーを作って販売したところ即完売になった。次はTシャツにしようか、マグカップか。
『リアル海街チャチャチャの街が話題』というネット記事を見つけた。
ロケ地の近くの港街で、ソウルからは車で1時間程のところだとか。
ドゥシクのいない海街なんて興味はないわと思いながらも見てみた。その記事を書いたライターのところ

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#39 マミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#39 マミ


#39 マミ

韓国に来て1ヶ月が経った。最初こそ整形しカンナムで港区にいた頃と同じ生活をしようと思っていた。カンナムで知り合ったオッパに誘われて海街に遊びに行った。湘南のような海と勘違いをしていたのもあったが、丁度「海街チャチャチャ」が始まった頃でロケ地が近いというのでミーハーな気持ちで行った。オッパのオンマがイカを捌く仕事をしていたので、私も手伝ったのだが「初めてだとは思えない!」「なんて

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【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#38 アミ

【連載小説】『港区タワマン32歳女物語』#38 アミ


#38 アミ

元彼から連絡があり数日悩んだ。
気持ちがないわけではないが、全てを失った彼との未来が見えなかった。婚活に上手くいかないのは彼への気持ちがどこかにあったからかもしれない。だから相手のスペックにばかり気になってしまった。誰からも羨ましがられるような、認められる相手を探していた。

彼氏はいるのか、何をしている人か、大学はどこか、会社はどこか、顔はかっこいいのか、服は何を着ているのか

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