三好達治 - 草の上(詩集『測量船』より)
どうしようもない恋に落ちていて何もできることがないので、
せめて同じ境遇の人にシェアできるような詩を紹介でもして気を紛らわせたいと思います。
野原に出て座っていると、私はあなたを待っているような気持ちになる。
- 僕も同じように感じた美しい金曜日だった。昼下がりの日差しは神保町澤口書店2階のラウンジスペースを切り刻むように照らしていて、外国人観光客がアメリカ訛りの英語で若干囁いているのが聞こえたので僕はCentre Pompidouで試験勉強していた頃の表象を抱いていた。僕の好きな人もきっとこんな日差しが大好きだろうけど、その人は東京にはいない。
それはそうではないのだが、
たしかな約束でもしたやうに、
私はあなたを待つてゐる。
- 何かの約束のようなものを僕も感じている。短いが、すぐに途切れない糸を僕らは両端で握って信号を送り合っている。海を渡ろうとしたら、きっとプツンと切れてしまう。けれどまだ繋がっている。
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