死守せよ
彼女 『ねぇ、今日で付き合って半年だよ
知ってた?』
私 『うん、日付みて何となく。』
その日は彼女とランチデート。
同棲する話も出ていたので、午後から近くの不動産屋さんへ行く事に。
ランチは、焼き鳥屋さんで鶏そば。
私は鶏白湯、彼女は醤油。濃厚で、手の込んだ鶏そばは、焼き鳥屋さんとは思えないクオリティ。セットのミニ親子丼も甘辛い味付けでこれまた絶品。
PayPayで支払いを済ませお店を出た。
時間が少し早かったので、近くのコーヒーショップへ。対面に座りコーヒーを啜る。
(ドッ、ドドッ!)
下腹部に激しい痛み。
(ギュッ、ギュルギュル〜)
嵐、嵐が来たのです。
お腹の弱い私、少し刺激的だったか?
何食わぬ顔、彼女にお手洗いを告げた。
大丈夫、トイレは近くにある。
入ってるかぁ、トイレって欲しい時に埋まってる気がする。仕方ない。
10分程経過、待てど暮らせどって訳では無いが開かぬ扉。
ノックすると、すぐさま、ノックの返答。
少し間をおき、またノック。
(このくだり実に3度)
やばい、限界が近い。
少し先のスーパーはトイレがある。そこしかない。最近購入したデニム。何としても死守。
『耐えよ肛門、出よトイレ。』
ベルトを緩めながら祈る想いでトイレへ。
そうか、神様は居ないのか、、、。
肛門の限界、肛門は門限だ。
パンツごし左手、溢れるおもいを受け止る。
パンパンのパンツ、何とか受け止めた。
『よく頑張った私。』
トイレまで我慢したんだもの、よくやった。
負けたけど、惨敗じゃない。
鍵のマークはスッキリとした青へ、閉ざされた扉がゆっくりと開いた。
スッキリとした表情のおじさん。
ズボンを下ろし、お尻を押さえる私。
『間に合ってはいないが、なるべく間に合った表情で中に入った。』
これまで生きてきて最も慎重に、靴、ズボン、靴下を脱いだ。
溢れるおもいはトイレットペーパーに包み、最大限身体を清潔にし、カフェへと向かった。
遅かったね、混んでたのと、彼女。
混んでた、凄く混んでたと、私。
一回家に帰っていい?
実は漏らしちゃたと、私。
遅いから心配してたと、彼女。
ズボン大丈夫だった?
どれくらい漏らしちゃったの?
丁度、どんぶり一杯ぐらい。
『やだー』と笑う彼女。
帰り道、
彼女と繋いだ左の手
臭くなかったか心配です。
明るく優しい彼女。
今では一緒に暮らしています。
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