「欲望の資本主義2022」を見て感じた事

元旦の番組「欲望の資本主義2022」
ご覧になった方も多いと思います。
中でも斎藤幸平さんとチェコの経済学者
:トーマス・セドラチェク氏の対談は
とても興味深いものでした。
「脱成長」を今後の人類の課題として
掲げている点では両者ともに認識を共有
していると感じました。

しかし、私の中で若干違和感を感じた場面も
何度かありました。
それは、「共産主義」に対する斎藤氏と
セドラチェク氏の認識に「ズレ」があるように
思われたからです。

対談は英語で行われたので二人とも共産主義を
[Communism]と表現していましたが、斎藤氏は
この言葉をどちらかと言うと肯定的な意味で
用いていたのに対し、セドラチェク氏は恐らく
「忌まわしいもの」のひとつとして捉えていた
ように思います。
それはセドラチェク氏が若年期に共産主義を
実際に体験し、食料不足や環境破壊、そして
圧政を目の当たりにした経験から来ているの
でしょう。

しかし、ここでハッキリさせておきたいのは、
「共産主義」の対義語は「資本主義」であって、
「民主主義」ではないという事です。
「共産主義」や「資本主義」は経済のシステムの
問題であり、過去、旧ソビエトや東欧で行われ、
そして現在でも北朝鮮や中国、ミャンマーなどで
行われている「一党独裁=全体主義」は
共産主義とセットではないということです。

実際、ヒトラーやムッソリーニ、そして
戦前の日本の軍国主義の時代も経済システムは
資本主義でしたし、戦後もスペインの
フランコ政権や韓国の朴正熙政権、全斗煥政権は、
ほぼ一党独裁と言えますが、経済システムは
資本主義でした。

つまり右であれ左であれ「全体主義/ファシズム」
は「民主主義」の対義語であって、経済システム
が資本主義かどうかは別問題なのです。

話は戻りますが、私も斎藤氏やセドラチェク氏の
言う「脱成長」には賛同します。このまま行けば
人類は資源を使い尽くし、環境を破壊し尽くすのは
間違いありません。そして、それを止めるのは
神でも宇宙人でもない、我々人類しかいないのです。

私たちはとかく日常の雑事に心を奪われ、環境問題や
経済格差の問題から目を逸らしがちですが、危機が
自分の身に迫ってきてからでは遅いのです。
「もっとグローバルな意識を持つこと」を今年の
最重要課題にしたいと思います。

●番組は、今ならここで見れます。
https://www.youtube.com/watch?v=8Z1ZtyDGKJw


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