こちらあみ子〜子どもの孤独〜
「こちらあみ子」という映画を見ました。
最初はカジュアルな、田舎の子どもの話かと思い、気軽な気持ちで見始めました。あみ子役の子が演技未経験だったそうで、うーん、なるほど、何を言ってるのかよく聞き取りにくいし、変なテンションと声の大きさで、どうしようかなー、見るのやめようかなーと思ったときでした。
予想外の展開に・・・。
その後は、あみ子の「変な演技」がどんどん意味を持ち始め、中学生になったあみ子の小ささや背中の丸め具合などが、すごいリアルさを表現するのです。
途中、おばけの表現としてファンタジーな映像があります。普通だったら、急に映画の演出が変わったぞ?と違和感がありそうなものですが、「あぁ、あみ子にはこう見えてるんだな」と、スッと受け止められます。
終始、あみ子は辛そうな顔はしません。けろりとしています。大人の気持ちを逆撫でするようなことを言うし、友だちのこともキレさせます。
でも、あみ子の行動にはひとつひとつ、全部、あみ子なりの意味があります。説明をしないのと、タイミングが壊滅的に悪いので、あみ子が悪いように見えてしまう。誰もあみ子の想いを解説してあげないので、最後まで、理解されないままです。
「辛い」「悲しい」と言わないから、誰もあみ子の孤独を理解してあげないけど、あみ子はどんどん汚くなっていく・・・。それは心が病んでいく象徴のようです。
大人の視点がいかに偏っているか、理解されない子どもがどんなに孤独か、リアルに描かれていて、心が苦しくなります。
どんな大人も見て欲しい。あみ子は、現実のそこかしこにいます。心のきれいなまま、誰にも理解されずに、そこかしこにいます。近くにいると腹の立つこともいっぱいあります。5回腹を立てたら、1回は「意味があるんかもしれん」と、あみ子の心を想像してみて欲しいです。あみ子はとても素直でストレートだから、その1回を糧に、人を信じることができます。
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書籍が原作です。
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