料理教室で料理をしない2才児に、先生が言ったこと『ようこそ!子育てキッチンへ〜子どもがのびのび自立する2歳からの子育てレシピ』
20年間、音楽教室をやってきて、子どもの成長を見守り続けていると、ならいごとの教室って、教えている内容そのものを子どもの身につけるだけではもったいなくて、それを行う過程において、子どもたちに生まれる心の変化、学び、成長こそに価値があるよなぁと思います。
その価値をちゃんとキャッチして、保護者様に「みなさんのお子さんはこんな風に成長していますよ」と届けることができたら、ならいごとは強力な子育て支援になると思います。
コンテンツやカリキュラムがどれほど優れていても、それが子どもにどのようにどのくらい浸透し、その子の人生においてどんな意味があるかということは、広告や宣伝では分からないです。
それで、ならいごとの先生がどんなまなざしで子どもを見つめているかということにとても興味があって、それっぽい本を見つけると読んでみます。この本は、いつ、どこで手にしたのかもう全然覚えてない(Amazonの履歴にはなかったから、本屋で手に取ったのだと思う)のですが、京都にワーケーションしに行くお供に連れて行きました。
パパパーっと読みやすい文章で、あまりにも共感したので、思わず著者さんをFacebookで検索し、こんなメッセージを送りました。
そしたら・・・、お返事をいただけただけではなく、「京都にいるんですか?!明日、会いません?」と・・・!2秒は考えました。会うことに躊躇したんじゃなくて、ワーケーションでやらなければいけないことが終わってなかったから。
でも、2秒後、このフットワークの軽い人とは絶対に繋がっておいた方がいい!と判断し、「会いましょう!!」とお返事しました。
はじめましての二人で、二条城を散策したり、ご飯食べたりお茶したり。たっぷり1日、10年前からの知り合いのようにおしゃべりしました。
たった1日でも、三保子先生がとっても魅力的で人間らしく、等身大、そしておもろい!!ということが分かるには十分でした。この人柄で、いろんなことを成功させてきたんだろうな、誰より、通っている保護者様たちが三保子先生のファンだろうな、とよくよく分かりました。
著書内には、そこかしこに三保子先生の温かいまなざしが散りばめられています。
たとえば、巻頭の「包まない焼売」のレシピに、こんな注意書きがありました。
わたしはこんなに積極的に子どもに台所仕事をやらせなかったから、「小さい子が生のお肉を口に入れてしまう」ことがあるなんて知りませんでした。そんな場面すら作らなかったんだと思います。最初から「子どもにできること」を勝手に想定して、やらせなかったんだなぁ。
わたしの母はとても料理が上手で、いつも野菜たっぷりの手の込んだ料理が5品も6品も食卓に並び、おやつも手作りでした。手際もよくて、いつもみんなと一緒に食卓についていたし、鍋がシンクに山になっていることもありませんでした。
それで、わたしがどんな子になったかというと、美味しいものは好きだけど、「料理は面倒くさい」と思うようになってしまいました。キッチンは母の城で、手際の悪いわたしが一緒に立つことはありませんでしたし、料理は母が作るような「ちゃんとしたもの」という印象がありました。
母になって、しぶしぶ料理をしたけれど、いちばん楽しかったのは、夜中に誰にも迷惑をかけず、焦らされず、自分のペースで作り置きの弁当のおかずを大量に作るとき。映画を見ながら、手際の悪い料理を好きなだけのんびりと。
この本の中には、こんな風に「自分のペースで好きなように料理を楽しむ子ども」がたくさん出てきます。そして、そんな子どもを見てられなくて、口を出したり手を出したりするのを、三保子先生に厳しく止められるママも(笑)。
わたしがいちばん好きなエピソードは、ジャグに夢中な2才さんのおはなし。三保子先生の「こどもカフェ」では、子どもたちが自由に飲み水を注げるジャグが置いてあります。2才さんはこのジャグに夢中で、何度も試して周りは水浸し。おまけに肝心の料理レッスンには興味を示しません。
最初は優しく声をかけていたママも、「いい加減にしなさい!」と抱き上げようとしました。そんなとき、三保子先生は「好きにさせて」と助言しました。ママの気持ちも十分理解した上で、
とお伝えしたそうです。
あぁ、すごく分かる・・・。子どもの育ちを考えたら、今は料理のカリキュラムよりも何よりも、ジャグの実験が大事。でも、そのことを毅然とママに伝えられる先生はそう多くはありません。しかも、三保子先生の関西弁で、すごくママに寄り添って上手に伝えたんだろうなぁ・・・と想像しました。
この子はこの日は料理をしなかったけど、ママは自分の接し方をふりかえり、2回目からは嘘みたいに参加したそうです。充分、納得したんだね。
以前、Twitterにこんな投稿がありました。
わたしは、「これだよな、子ども側が望むのは、ちゃんとしたお母さんじゃない。どんな環境であっても、身を寄せ合って、協力して、等身大の家族として、母がちゃんと自分の方を見ていてくれたら、子どもは幸せなんだよな」って、強く思って、よくよく記憶していたツイートでした。
思い切って、初対面のお料理の先生にそのことを伝えてみました。「わたしは、親の料理って、結局、そういうことだと思うの。食を幸せに楽しく感じることができた、子ども側の思い出だと思う」って。
三保子先生は、「そやねん、そやねん!」と同意してくれました。
さて、そんな三保子先生が子育てのおはなし会を開きます。
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