マガジンのカバー画像

詩。

21
つまり、皮フと心臓です。
運営しているクリエイター

記事一覧

そのほかに[詩]

「ここに手を置いて」 と彼女が云った 放課後の美術室の机をはさんで二人 (分厚い天板は絵…

アイウカオ
6か月前
26

どこか遠くの空の下より#そらいろレター

散らばる光を 集めてたんだ それはきみを 形作っていた きみそのものだった さよなら ステー…

45

今日の贈り物#そらいろレター

秋の日の 晴れた日は それだけで満点の1日 きみの誕生日 昨日までの曇天を 塗り替えた 空のペ…

26

忘れないでね

声という声のこだまの中で 何を言おうとしたのかいずれわからなくなるだろう いつもの私へ 空…

20

ブランク

「きみが死んで20年経った」 とは 言えない。 「きみの不在を20年生きた」 そうだ きみはい…

26

ボタン

掛け違えたボタンのように 何にもならない努力を 延々延々続けていくだけなんだな 自分を鼓…

19

天色の鳥

頭上を黒くて大きな陰が横切り ふり仰げば 空の一角を覆う巨大な鳥が 渡っている 陰がさしたと思ったのは 気のせいか 大きな鳥は透けている 空と同じ色 その翼に 数多のたましいたちを乗せ ゆっくりと空を横切っていく 羽ばたきは見えない 大きな翼は風をきってすすむ 晴れわたる冬空の あまいろの鳥 「死ぬのは わるいことじゃない 始まりと終わりを持ったいのちが にんげん世界の ごたごたから ぬけて 始まりも終わりもない循環のなかに まじりあう

金ちゃん

きんちゃん ごめんね きみのことなんて ぜんぜん好きじゃなくなったの オレンジを 潰した…

15

坂道の頂上で真夏の光を浴びたから

正しさにすくわれない こころがからっぽだ 復讐を考える 真夏に穴をほる 背後から突き落と…

18

数として

生のなかにいても 数でしかなかった 数でしかない私は 紛れ 消され 誰からも数えられなくなる…

17

魔女

憂い顔の魔女 丘を登る 若輩者のチタン 訳知り顔の硫黄 金剛石の民 浴びせるは石の飛礫 「魔…

18

負犬

あんたの前では誰だって 圧倒的敗者なんです負け犬なんです 自身において 軽んじてることが …

21

北緯66度[詩]

どんな熱い国でも 太陽は沈むのに 北極圏には 太陽の沈まない夜が来る 北の果て目指して 往く…

31

墓碑銘[詩]

重く冷たい石碑の下で 醜い私の体が朽ちたら 見えない指で こう刻みます 「私の 言葉に 迷いは あった 嘘は なかった」 私が死んだら 内なる言葉は 弔われず逝くでしょう 見えない指は 最期に 魂の名前を刻むでしょう 私の知らない 私の名前 それが 知りたい